Thursday, May 13, 2021

燃料電池に勝てる夢の内燃機関!? トヨタの水素エンジンが秘める『可能性』と現在地 - ベストカーWeb

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 トヨタが、また新しい挑戦を始めた。水素エンジンを搭載したマシンで耐久レース参戦を開始したのである。

 水素は、電気を発生させる燃料電池のとして利用できるだけでなく、燃料として直接燃やすこともできる。中学生の頃、化学の実験で試験管中の塩酸に亜鉛やマグネシウムなどの金属板を入れて水素を発生させ、アルコールランプに近付けてポンッと燃焼させるような実験は、誰もが経験しているだろう。

 燃料電池は水素を酸素と結合させて電気を取り出しているのに対し、燃焼によって酸素と結合させ熱エネルギーとして取り出すのが水素エンジンの原理だ。

 エンジン自体の仕組みは通常のガソリンエンジンとほぼ変わらない。空気と水素を混ぜて圧縮し、そこにスパークプラグで火を付ければ爆発的な燃焼が起こる。

文/高根英幸 写真/TOYOTA、BMW

【画像ギャラリー】マツダが開発した世界初水素ロータリーエンジン車 RX-8ハイドロジェンRE 厳選写真16枚


水素エンジンの挑戦と課題

BMWが開発したV12水素エンジン車「Hydrogen(ハイドロジェン)7」(2006年)。100台限定で生産された

 ご存じの方も多いと思うが、1990年代にはBMWが水素燃料のV12エンジン、マツダは水素燃料のロータリーエンジンを試作車レベルでは完成させている。

 クルマとしては完成しながらも、市販車として実用化できなかったのは、当時は技術的にも解決できない課題が残ったからだ。

 そもそもガソリンや軽油は、炭化水素がさまざまな分子構造で混ざり合っているモノだ。水素と炭素をそれぞれ酸素と結合させているのだから、水素エンジンは燃料から炭素をなくして水素だけを燃やしている状態だと思えばいい。

 ガソリンや軽油は、炭素によっていくつも水素が結び付いている状態、しかも液体で密度が高いから、燃焼時に大きなエネルギーを発生させるが、水素だけを燃やすとなるとたくさんの水素を燃やさなくてはトルクが出ない。

 しかも水素は常温では気体であり、とても軽いからMIRAIなどの燃料電池車も700気圧(!)まで圧縮してタンク内に蓄えている。

 これによって航続距離の問題をクリアしているのだが、今回の水素エンジンはこれまでにMIRAIで培った水素燃料のノウハウを活かして開発されたようだ。

GRヤリスのエンジンで快調に疾走も課題は「燃費」?

カローラスポーツをベースとし、水素エンジンを搭載したレース競技車両が登場。テスト走行が行われ、2021年5月21日から開催されるスーパー耐久シリーズ第3戦に参戦する

 エンジン自体は、GRヤリスに採用された1.6Lの3気筒ターボエンジン。1気筒あたりの容積が充分にあり、高い過給圧も見込めるのは、水素エンジンのベースとしても最適だ。

 燃料を水素に変更するにあたり、燃料の供給系と直噴のインジェクターを水素用に変更し、スパークプラグも水素用に最適化したものに交換している。そしてすでにベースエンジンのガソリン仕様とほぼ同じ出力(272ps)は確保しているというから素晴らしい。

 先日の富士スピードウェイで行なわれたスーパー耐久の合同テストでは、初走行ながら好調に周回を重ねたようだ。テストベンチやテストコースですでに開発されてきたから当然と言えば当然だが、残された課題はまだまだ多い。

 まず、ひとつめの課題は燃費だ。

 新型MIRAIに搭載されているモノと同じ高圧タンクをカローラスポーツの車体に搭載、それもMIRAIよりも容量を増やして7.34kgとしているのだが、今回のテスト走行の状態で12~13周ごと、距離にして50kmごとに水素を充填するためのピットインが必要だった。

 MIRAIは5.6kgのタンク容量で実燃費でも600kmくらいは走れそうだから、レースマシンとはいえ現時点で燃費は15倍程度悪い。MIRAIもサーキットで全開走行すれば燃費は半分くらいになるだろうから、実際には7、8倍といったところだろうが、燃料電池のほうが圧倒的に効率が高い。

テスト走行にて燃費に課題があったが、今回のレース参戦は水素エンジンの実用性を高めることを目標にしているので今後の開発に期待

 ただ、今回のレース参戦は速さを求めるものではなく、あくまで水素エンジンの実用性を高めることが目標で、ライバルがいない状態でクラス優勝しても仕方ないのだから、レースマシン状態での航続距離はそれほど優先順位は高くないかもしれない。

 ちなみにトヨタの担当エンジニアに燃費問題の改善について質問したところ、返ってきた回答は以下のとおり。

 「エネルギーが小さいという水素の特徴を考えると、まさに今後技術挑戦していくポイントであると考えています。詳細は開発中の内容になりますので、回答を控えさせていただきます」

 対策としては走り方や制御の仕方で燃料を節約する方法と、水素の貯蔵の仕方を変えることなどは、すぐに思いつく。

 貯蔵にはタンク内に水素吸蔵合金(自重より多くの水素を溜め込める!)を内蔵するのもひとつの方法だが、これは車重増に繋がるからレースマシンとしてはかなりのハンデとなってしまう。

次ページは : NOx対策と水素脆性をどうやって抑えるか

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2 comments:

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