高くなった要因のひとつが、原子力規制委員会が2013年に策定した新たな規制基準にあります。
再稼働するには、福島第一原発の事故を踏まえて厳格化された基準をクリアすることが求められ、電力各社は安全対策のため、多額の追加費用が必要だとしています。
NHKが原発を持つ電力11社に規制基準の対策費の推計について取材した結果、東京電力を除く10社の合計で、少なくとも4兆5000億円余りに上ることがわかりました。
このうち6月、運転開始から40年を超えて再稼働した関西電力の美浜原発3号機は安全対策工事などにおよそ2700億円かかるということです。
一方、東京電力は、柏崎刈羽原発の7基について、2007年に起きた新潟県中越沖地震以降の耐震工事なども含めた試算で、少なくとも1兆1690億円の見通しだということです。
電力会社の中には、テロ対策施設や防潮堤など、費用の総額を算出できていないところも多く、コストはさらに膨らむとみられています。
経済産業省は、原発1基当たりの追加的な安全対策の費用をおよそ2000億円と見積もっていて6年前と比べると2倍に増えています。
原子力の発電コストを押し上げたもう1つの要因として国が掲げ続けてきた「核燃料サイクル政策」の遅れが挙げられます。
「核燃料サイクル政策」は、原発で使い終わった核燃料を化学処理する「再処理」を行い、原発で再び利用するもので青森県六ヶ所村の再処理工場や核燃料の加工工場の操業が当初の計画より大幅に遅れ、総事業費は増え続けています。
再処理工場の総事業費は、6年前より1兆8000億円増えて14兆4000億円、核燃料の加工工場は3000億円増えて2兆4000億円になる見通しとなっています。
このほか再処理を行った際に出る高レベル放射性廃棄物=いわゆる「核のごみ」についても処分場に関わる費用は6年前より3000億円増えて3兆1000億円にのぼる試算となり、発電コストにはこうした費用も含まれています。
一方で、経済産業省は、原子力は再生可能エネルギーと異なり安定した電源であり、化石燃料などのエネルギー資源に乏しい日本では長期的な視点でエネルギーの選択肢を確保する必要があるなどとして、政策の方針を維持する必要があるとしています。
梶山経済産業大臣は今月13日「特定の電源のみではなく、原子力を含むあらゆる選択肢を追求していくことが必要だ。1つの電源で完璧な電源は今のところない」と述べ、再生可能エネルギーと原子力などを組み合わせ、最適な電源構成になるよう議論を深めたいという考えを示しています。
からの記事と詳細 ( 「エネルギー基本計画」再生可能エネルギー割合36~38%に - NHK NEWS WEB )
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