開発テーマは「新しい暮らし、エコカーのその先へ」
トヨタ自動車は7月19日、新型「アクア」の概要説明をオンラインで行なった。登壇したトヨタコンパクトカーカンパニー プレジデント 新郷和晃氏は、自動車を取り巻く環境変化の中で新型アクアに込めたトヨタの想いを紹介。
新郷氏は、トヨタが2019年に新型GA-Bプラットフォームをヤリスに投入したことに触れ、このプラットフォームはいわば「骨格」と「心臓部」に当たる部分で、今回同じプラットフォームを使いアクアもフルモデルチェンジさせたと紹介。また、2台が同じプラットフォームを使いながらも「ヤリスは鍛え抜かれたコンパクトボディで俊敏に走るクルマ。アクアは自分にもみんなにもいい。上質さと安心感を兼ね備えたクルマ」と、それぞれのキャラクターを説明した。
続けて新郷氏は、自動車業界は今「CO2排出ゼロ」という未来に向けて緊急性の高い課題に直面していることにも言及。さらに「10年前に“ハイブリッドカーをみんなのものに”という想いを込めて誕生したアクアは、生まれながらにカーボンニュートラルに向き合ってきたブランドといえる」と振り返った。
また同時に、世の中にはまだ「カーボンニュートラルといえばEV(電気自動車)」と思っている人が多いことにも触れ、走っているときに出す温室効果ガスだけで判断するのではなく、クルマや電気を作る過程でも出ているため、日本のエネルギー事情を含めて総合的に判断することが大切であると述べた。
実際に「製造工程から走行時まで」といったライフサイクルで比較した場合、EVとハイブリッド車は二酸化炭素の排出量はほぼ同等であるという報告があることも紹介。そこでトヨタは誰でも手の届くカーボンニュートラルへの取り組みを可能にするのがコンパクトカーであると考え、新型アクアには新しい型電池を採用し、ハイブリッドシステムを進化。さらに新型アクアでは、優れた燃費性能のほかにも、デザイン、安全・安心、走り、もしものときの防災といった、すべての魅力を高めることに挑戦したという。
また、アクアは東日本大震災のあった2011年、ものづくりでの地域復興を目的に震災からわずか9か月後に関東自動車工業岩手工場で生産を開始。その後、トヨタ自動車東日本や人材育成のためのトヨタ東日本学園を設立。「今では第3の生産拠点、復興の要として成長している」と新郷氏。続けて「手に入れやすいアクアだから、もっとやれることがあるのではないか?」との思いから、今回もしものときのための給電機能を全車標準装備としたことも紹介。いつどこで災害があるか分からない今の時代だからこそ、100%標準装備にこだわったと明かし、「移動するための乗り物としてだけでなく、そこに存在しているだけで頼られる。そんなクルマになってほしいと思いながら開発した」と締めくくった。
新型アクアの進化のポイントとは
続けてTC製品企画 チーフエンジニア 鈴木啓友氏から、新型アクアの進化のポイントが解説された。
走りについては進化したハイブリッドシステムにより、旧モデルよりも約20%燃費を向上させたことで世界でもトップクラスの低燃費を実現したと紹介。エンジン本体も小型、軽量化を徹底的に追求し、フリクションを大幅に低減さたことで最大熱効率を40%以上に向上させ、低回転域からトルクフルな加速フィーリングにより、実用域でも軽快感と燃費向上を高次元で両立したとしている。バッテリも豊田自動織機製による新開発のバイポーラ型ニッケル水素電池を世界で初めて搭載したと説明した。
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