『ゴルフ8』の日本上陸が遅れたことで近いタイミングになってしまった新型アウディ『A3』だが、プラットフォームを共有するとはいえオリジナリティはふんだんに盛り込まれている。
見た目の印象はまさにアウディ然としていて、従来型をよりブラッシュアップしたのがわかる。シングルフレームグリル周りは一新され、ヘッドライトのユニットの造形と合わせ、これまで以上に“ロー&ワイド”になった。
アウディ A3スポーツバック 新型
ポジションライトが光ると、LEDライトが横一本の線を描く姿がかっこいい。サイドビューもそう。クワトロを意識させるリアフェンダーの膨らみはマッチョな雰囲気を漂わせる。新デザインのリアコンビネーションランプも個性的だ。
エンジンは2種類で1リットル直3ターボのTFSI+48Vマイルドハイブリッドと2リットル直4ターボのTFSIが用意される。アウディ独自のエンジンパワーを示す数字は前者が「30」、後者が「40」だ。
理想的なA3のパワートレインは
アウディ A3 新型
どちらも扱いやすく不満を抱くところは無い。1リットルユニットもモーターとの組み合わせでキビキビと走る。ただ、試乗コースが箱根のワインディングだったので、正直不得意な領域もあった。当然だが上り勾配が強くなると軽快さは影を潜める。下りの楽しさとは別物だ。
そこを鑑みると2リットルユニットの秀逸さが光る。どの環境でもドライバーが求める速さが供給される。しかも、アクセルに対するレスポンスがクイックなのがいい。2つのエンジンをラインナップすることで、よりスポーティなセッティングができたのだろう。アウディのブランドバリューからしてもこちらが理想的なA3と言っていい。
また、2つのエンジンではリアサスペンションの形式が異なることも付け加えよう。1リットルユニットのトーションビーム式もかなりスポーティに仕上がっているので、そこはちょっと驚きだ。シンプルな構造でここまでリアのスタビリティを高められるのはさすがである。ここはゴルフ8でも感心させられたポイントだ。
ラグジュアリーとサスティナブルの共存は成立する
アウディ A3 新型
インテリアはシンプル&モダンなテイスト。突起したスイッチ類は少なく、キレイにデザイン処理されている。インテリアデザインのトレンドど真ん中と言えるだろう。機能操作をモニターの階層内におさめ、それを実現する。また、デジタル部分はアウディの得意分野でもあるが、それと同等にシートやトリムに高級感を持たせているのは特筆ポイント。同カテゴリーの中でもひとつ上のクラスといった感じだ。
実際に目にしてはいないが、Sラインのシートの一部にはリサイクル素材(原料はペットボトル)を使用しているそうだ。先日『e-tron GT』を取材したが、そこにも同様の素材を採用した話があった。アウディは電動化とともに、サスティナブルをテーマに掲げている。しかも、インタビューしたアウディジャパンの社長の口から、ラグジュアリーとサスティナブルの共存は成立するというコメントもあった。今後この辺はアウディをウォッチする上でのキーワードになるであろう。
2リットルエンジン搭載の「40」がベストバイ
アウディ A3スポーツバック 新型
ボディタイプはスポーツバックとセダンがあるが、かっこいいのはやはりスポーツバックの方。ハッチバックとしての実用性を備えながら、ワイド&ローに構えたグラマラスなボディが強調される。
新型A3の上には今回も『S3』が設定されるが、そこはまた異次元な存在。最高出力310psの走りは同じ土俵では語れない。それに価格も一気に上がることを思えば、2リットルエンジン搭載の「40」がベストバイのような気がする。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。
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