国土交通省の交通政策審議会の答申を受け、東京地下鉄(東京メトロ)の上場に道筋がついた。地下鉄有楽町線と南北線の延伸計画も動き始める。特に、品川エリアは東京の「玄関口」としての役割をさらに強めることになりそうだ。
「メトロ株は国と都で2分の1まで売却する準備を進めたい」。東京都の小池百合子知事は15日、答申を受けて開かれた赤羽国交相とのオンライン会談でこう述べた。答申内容を履行する考えを示したものだ。国交相は「都と連携して取り組みを進めたい」と応じた。
都は、豊洲一帯への交通アクセスを向上させるため、有楽町線の延伸を望んでいる。延伸に向け、東京メトロへの発言力を維持するためには、株式保有が必要との立場だった。国保有株を買い取り、都営地下鉄と経営統合させる構想もあった。
これに対し、国は東日本大震災の復興財源に東京メトロ株の売却益を充てるため、早期の株式売却を目指してきた。業績が低迷する都営地下鉄との経営統合となれば、東京メトロ株への市場の評価が下がる恐れがある。計画通りに売却益を得られなくなる可能性があるため、経営統合に難色を示していた。
結局、都が経営統合の構想を白紙にする考えを示したことで、上場議論が前に進むことになった。かつて国有企業だった企業の上場としては、2016年のJR九州以来となる。
上場と並ぶ答申のもう一つの柱は、東京メトロによる延伸計画だ。
国交省は、有楽町線の豊洲駅―住吉駅間の延伸について、延伸区間の黒字化の見通しが立たないとしてきた。通勤客など十分な利用者が見込めないためだ。このため、東京メトロはこれまで、「新線整備(延伸)はしない」としてきた。
国と都は、補助金によって延伸にかかる費用を大幅に軽減する意向を示し、東京メトロの譲歩を引き出した。小池知事は15日、赤羽国交相との会談で、「国と都が補助などの支援をして(延伸の)早期事業化に向けて取り組みたい」と述べた。国は有楽町線の延伸自体は必要との立場で、都とともに財政面で後押しすることになった。
地下鉄延伸の対象区間には、南北線の白金高輪駅―品川駅間も盛り込まれた。品川駅は、羽田空港から都心への玄関口だ。リニア中央新幹線は始発が品川駅で、駅周辺ではJR東日本や京浜急行電鉄が再開発を急ぐ。
政府は30年に訪日客を6000万人とする目標を掲げる。品川駅と都心の接続を強化する延伸は、コロナ禍の収束後、海外からの観光需要を回復させる上で大きな意味を持つ。
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