Sunday, April 4, 2021

本当にエンジン車をなくしていいのか? 次の世代に残したいニッポンの名エンジン7選 - ベストカーWeb

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 自動車業界は現在「100年に一度の大変革期」と言われている時期となっていることもあり、パワーユニットもカーボンニュートラルに向けた電気自動車の普及促進をはじめとした電動化が急速に加速している。

 しかし、電動化によるライフサイクルアセスメントと呼ばれる製造から廃棄までという長期的に見た環境負荷など議論すべき点も多く、「本当にエンジン車をなくしていいのか?」と感じている方も少なくないだろう。

 またスポーツエンジンであれば、日本車に搭載されたものにも「自分の子供たちにも乗って欲しい、次世代に残したい」と思う名エンジンがあるのも事実。

 こうしたエンジン(を搭載したモデル)を本当になくしていいものなのか? そんな名残惜しい、次の世代に残したニッポンの名エンジンを紹介していきたい。

文/永田恵一
写真/ベストカー編集部、ベストカーweb編集部、トヨタ、日産、ホンダ、スバル、三菱 

【画像ギャラリー】NA、ターボ、ロータリー、水平対向、今のうちに乗っておきたい名エンジン搭載車


■トヨタ/4A-GE+AE86型カローラレビン&スプリンタートレノ(1983年)

4A-GE型エンジン(1983年)。排気量は1587cc。1気筒4バルブで、T-VIS(トヨタ バリアブル インダクション システム)やEFI-Dなどを組み合わせている

■エンジン形式:1.6リッター直列4気筒DOHC
■搭載車種:80系から110系までのレビン&トレノを含むカローラ系、初代MR2、カリーナなど
■登場時のスペック:130ps/6600rpm、15.2kgm/5200rpm(グロス値)

AR86型カローラレビン。2ドアと3ドアのモデルを設定した(写真は3ドア)

 4A-GEはそれまで1.6リッター級スポーツエンジンとして使われていた2T-G系の後継エンジンとして、1983年にカローラ&スプリンターが80系にフルモデルチェンジされた際に登場した。

 4A-GEは当時の庶民にはまだ高嶺の花だったDOHC4バルブというエンジンを、若者にも買えるカローラ&スプリンターといったモデルに搭載した功績は非常に大きかった。

 特にカローラ&スプリンターでは最後のFR車として4A-GEを搭載したAE86型のレビン&トレノは当時でもいいクルマとは言えなかったのも事実だが、全体的にシンプルなクルマだったことなども幸いし多くのドライバーを育てるなど、今でもファンの多いモデルとなっている。

AE86型スプリンタートレノ。レビンと同様に2ドアと3ドアを設定(写真は3ドア)

 また4A-GEは登場後、ハイオクガソリン化による140ps仕様(1989年の90系カローラ&スプリンターのマイナーチェンジ)、5バルブ&4連スロットル+可変バルブ機構VVTの160ps仕様(1991年のカローラ&スプリンターの100系へのフルモデルチェンジ)。

 最終進化版となる165ps仕様(1995年のカローラ&スプリンターの110系へのフルモデルチェンジ)と、市販状態での改良が積み重ねられた点も大きな魅力で、改良されたエンジンがAE86などへスワップされることもよくあった。

 さらに4A-GEはレースをはじめとしたモータースポーツでも使われたエンジンだっただけにアフターパーツが豊富なことに加え、プライベーターでも比較的手が加えやすい点も愛されている大きな理由で、AE86ユーザーの支えもあり未だに新しいパーツが開発されるなどの進化が続いているほどである。

■日産/RB26DETT+R34型スカイラインGT-R(1999年)

R34GT-RのファイナルモデルのニュルのRB26DETTエンジンはN1仕様をベースに専用チューニングが施されていた。ゴールドのヘッドカバーが特別感を強調

■エンジン形式:2.6リッター直6DOHCツインターボ
■搭載車種:R32型からR34型までのスカイラインGT-R、初代ステージア260RS
■登場時のスペック:280ps/6800rpm、40.0kgm/4400rpm

1999年1月に8代目となるR34型スカイラインGT-Rがデビュー。前期型のVスペック、後期型のVスペックII、ファイナルバージョンのVスペックIIニュルなど、さらに走りを磨いたモデルも設定

 RB26DETTは1989年登場のスカイラインとしては8代目モデルとなるR32型で最強のGT-Rが17年ぶりに復活するにあたり開発されたエンジンである。

 R32型GT-Rは当時のグループAレース制覇を目標としたモデルだっただけに、グループAレーシングカーがターゲットとした600psに対応する強さや6連スロットルに代表されるメカニズムに加え、市販状態でも官能的なサウンドと回転フィールを持つ点も大きな魅力だった。

 なお、2600ccという中途半端に見える排気量は、グループAレースでの最低重量やタイヤサイズといったレギュレーションから最適となるものとして選ばれたものである。

 1999年に登場したRB26DETTを搭載したスカイラインGT-Rとしては最後となるR34型は、R32型からR34型までのRB26DETT+アテーサET-Sというパワートレーンを搭載する第二世代スカイラインGT-Rの集大成という点が最大の魅力である。

R34型スカイラインGT-Rのリアフォルム。R33型で大きくなったボディをスリムにして、張り立たせた前後フェンダーによってスポーティなフォルムを形成

 ノーマル状態でのサーキットのラップタイムに代表される速さはインプレッサWRX STIやランサーエボリューションの台頭もあり、日本一とはいえなくなっていたが、ボディ剛性の高さやVスペックに採用されたディフューザーなどの空力パーツも貢献した安心感の高さはR34型スカイラインGT-Rらしい世界観だった。

 また、RB26DETTもアフターパーツの豊富さにより、現代のパーツを使えば600馬力程度を出すことはそれほど難しくない。

 さらにHKSが「600psをキープしながら、現在の厳しい排ガス規制をクリアし、WLTCモード燃費もリッター20kmを目指す」というRB26DETTの開発に着手しているなど、いまだ進化が続いている点も大きな魅力だ。

次ページは : ■日産/VR38DETT+現行R35型GT-R(2007年)

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