Friday, July 23, 2021

高い機動性とユニークなエンジンが魅力の「ヤマハMT-07」がマイナーチェンジ。その走りを試す。 - webCG

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ユニークなエンジンに磨きをかける

MT-07に搭載される、ヤマハが「CP2」と称する270°クランクの並列2気筒エンジンは、不思議なトルク感にあふれている。通常、大排気量の2気筒エンジンといえば、ハーレーダビッドソンのVツインに代表されるドコドコとした鼓動感と、それと連動した力強いトルク感が想像される。しかしこのCP2エンジンは、ドコドコしない。感覚としては、スキップをしているような鼓動感が特徴だ。2つのシリンダーの爆発間隔が近く、そして次の爆発サイクルまで間隔が開くことから、スキップのような“トトッ、トトッ”というフィーリングになるのだ。

この不思議なリズムによる、4気筒エンジンの猛烈にダッシュするような感覚とも、単気筒エンジンの歩くような感覚とも異なる軽快な加速感こそが、ヤマハがつくり上げたCP2=クロスプレーンコンセプトの2気筒エンジンの特徴であり、またMT-07の最大の特徴でもあるのだ。

ヤマハは2014年にデビューした初代MT-07で、このエンジンフィールをつくり上げた。今回発表した改良型MT-07では、冒頭で触れた通り欧州と日本の厳しい排ガス規制に適合させるとともに、その軽やかなフィーリングを高めるため、アクセルの微少開時のエンジンレスポンスをさらにつくり込んでいる。通常、2気筒エンジンで回転数が落ち込んでから再加速を試みると、独特のギクシャク感が生じる。今回のCP2エンジンではそこを煮詰め、ギクシャクの少ない柔らかなフィーリングを強めた。この柔らかさはペースを上げてのスポーツ走行でも効いてくる。コーナーからの立ち上がりでリアタイヤが路面を捉える感覚が分かりやすく、安心して加速していけるのだ。

そもそもCP2エンジンのもととなるクロスプレーンコンセプトとは、エンジン内で上下運動または回転運動するパーツの慣性トルクを少なくし、燃焼によって生まれるトルクだけを効率よく引き出すエンジンの設計思想だ。それを実現することで、シリンダー内の爆発とリアタイヤが路面をつかむ感覚をクリアなものとし、アクセルを開けやすくすることでバイクを操る感覚を最大化しようというものだ。

この並列2気筒エンジンでも、クロスプレーン型クランクシャフトを採用した「YZF-R1」の並列4気筒エンジンや、MT-09の並列3気筒エンジンのように、シリンダー内で上下するピストンのタイミングをずらすことで慣性トルクを打ち消している。理論的にそれをゼロにはできないが、CP2エンジンでは270°クランクを採用することでクランク内圧の上昇も抑えるなどして、よりクリアなトルクを生み出しているのだ。

エンジンは吸排気系の改良やECUの仕様変更、燃料噴射の最適化などによって排ガス性能を強化。スロットルの開き始めにおけるレスポンスも改善させた。
エンジンは吸排気系の改良やECUの仕様変更、燃料噴射の最適化などによって排ガス性能を強化。スロットルの開き始めにおけるレスポンスも改善させた。拡大
新採用のマフラー一体型の2in1エキゾーストパイプも、環境性能の向上に一役買っている。
新採用のマフラー一体型の2in1エキゾーストパイプも、環境性能の向上に一役買っている。拡大
足まわりでは、フロントのブレーキディスクをφ298mmに拡大。これに伴い、フロントフォークのアウターチューブの形状も変更している。
足まわりでは、フロントのブレーキディスクをφ298mmに拡大。これに伴い、フロントフォークのアウターチューブの形状も変更している。拡大
リアには「MT-09」と同じ仕様のブレーキを採用。タイヤは耐候性や摩耗時の操作性も考慮した「ミシュラン・ロード5」である。
リアには「MT-09」と同じ仕様のブレーキを採用。タイヤは耐候性や摩耗時の操作性も考慮した「ミシュラン・ロード5」である。拡大
パワートレイン関係では、トランスミッションも2、3速での再加速時のダイレクト感を向上。従来モデルより滑らかになったトルクカーブとも相まって、優れた加速特性を実現している。
パワートレイン関係では、トランスミッションも2、3速での再加速時のダイレクト感を向上。従来モデルより滑らかになったトルクカーブとも相まって、優れた加速特性を実現している。拡大

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