これほどの得票は予想外
今月号の本誌が届いたら、ジェリー・マクガヴァン(ランドローバーのクリエイティブ・ディレクター)は普段から高い鼻をもっともっと高くするに違いない。並み居る有名スポーツカーや高性能セダンを抑えて、新型ディフェンダーが堂々の3位表彰台。19点(2位)を投票した私が言うのもなんだが、日本ではどう見ても持て余しそうな大きなボディの本格派クロカンSUVが、スポーツカー好きばかりが揃った選考委員から満遍なく、これほどの得票を集めるとはまったく予想外だった。 1948年の創業時から数えて70年ぶりのフルモデルチェンジという触れ込みはちょっと盛りすぎだと思うが、それだけ長い歴史を持つブランドの背骨たる看板車種を、ここまで大胆に変身させるのは並大抵の覚悟ではない。そしてその挑戦は成功したというべきだろう。誤解を恐れずに言えば、新型はこれまでのディフェンダーとはまったく別物。受け継いだのはその名前だけというぐらいに違う。オールアルミのモノコックボディと4輪独立懸架を得て、オンロードの安定性と快適性が格段に向上したばかりでなく、いわゆる安全運転支援システムやインフォテインメントなども当たり前だが一気に最新となった。世の中に数多ある他のプレミアムSUVと比べてもまったく遜色ないばかりか、むしろ上回っているほどのレベル。もちろん、ランドローバーであるからには悪路走破性能もずば抜けているのは言うまでもない。そして、そのオールラウンドな各種性能を、あちこちに伝統的なモチーフを残しつつも、きわめて斬新でモダンなスタイリングにまとめ上げたことも大きな魅力だ。 それについては「全身最新鋭設計に秀逸デザイン、しかも世界最高峰のままの悪路性能。武骨な作業車から現代的キャラクター商品への脱皮は見事すぎる」(佐野委員)という論評をはじめ、各委員の意見はほぼ揃っている。古くからのクロカン・ファンからはちょっとアニメ調すぎるとの声がないわけではないが、大型SUVにはつきものの威圧感をできるだけ抑える手法としてはなかなか見事である。「コレ買うために引っ越したくなるほど、キュートなワイルド感と破天荒な走破性。眺めているだけでワクワクさせる性能の高さには感服です」(竹岡委員)、さらに「キャラ立ちするデザインでありながら演出過多になっていない絶妙なさじ加減。走らせれば本物感を感じさせるのもさすがランドローバー」(岡崎委員)と評価されている。 ディフェンダーの人気が何かと不安で不穏な世相を反映していることは間違いないだろう。多くの人が災害時にも頼りになりそうな逞しさを無意識に求めているのかもしれない。「四角いボディの内外に現代の性能や機能を採り入れた新しさ、そしてそこに伝統的な要素を飾らない気取りの無さとともに絶妙な塩梅で採り入れた“抜け感”に感服。山小屋を持つようにディフェンダーで自然を感じに出かけたい」(飯田委員)というように、息苦しい都会を抜け出したい(そうすれば図体のデカさも気にならない)という今の気分を強力に後押しするのが新型ディフェンダーである。 文=高平高輝 写真=阿部昌也 (ENGINE2021年9・10月号)
からの記事と詳細 ( ランドローバー・ディフェンダー 70年ぶりの新型がエンジン・ホット100で堂々3位の快挙!(ENGINE WEB) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
https://ift.tt/3o6y3cw
0 Comments:
Post a Comment