このスタリオンは、1984年のホットモデル“GSR-V”をベースにしたチューンドだ。グループAのパーツを使いながら匠の手で仕上げられたスペックは、今見ても垂涎ものだ。(OPTION誌2004年12月号)
カンサイサービス渾身のフルチューンスタリオン!
ワンオーナーで21年以上かけて育て上げた珠玉のG63B
1982年にギャランの2ドアであるラムダの後継車として登場したスタリオンは、1983年には日本車初となるインタークーラーを純正装着。
1984年5月に追加されたGSR‐VグレードにはSOHCながら高回転では3バルブ、低回転では2バルブとなる”シリウスダッシュ3×2”G63Bエンジンを搭載し、200ps(グロス表示)を発生した。2.0Lで200psオーバーというと、1984年2月に登場したDR30スカイラインのRSターボC(205ps)も思い浮かぶ。
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スタリオン対RSターボC、この両車は後のグループAレースでも直接のライバルとなる。当時、ギャランシグマ1.6Lのソレックスツインキャブ仕様に乗っていたオーナーは、200psというスペックに惹かれてスタリオンを購入。
しかし、自分の憧れていた200psのイメージとなかなか一致せず、以前から「三菱車の良いところを教えてもらっていた」というツインパワー(カンサイサービスの前身)向井さんの元を訪れ、チューニングを開始した。
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まずはブーストアップ、次にTD05H-18G(10cm2)、そしてWRCで使われていたという272度カム。それでも目標のフィーリングに至らなかった。その目標とは300km/hオーバーだったからだ。
そこで辿り着いたのが、280度のRカム、いわゆるグループA用のカムだ。加えて、1000ccのグループA用インジェクター、高ブースト対応のグループA用の燃圧レギュレーターも手に入れた。
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当時はチューニングしたくてもパーツが少ない。そのため「パーツが手に入ってはじめて“これならフルチューンが作れる”やった」と向井さん。
HKS製85.5φ鍛造ピストンを使い、排気量は2020ccに。ノーマルコンロッドには熱処理を施し、ピストンと重量バランス取り。ヘッドはポート研磨をし、280度カムに合わせるバルブスプリングを特注。バルブシートカット、バルブフェイス研磨など、全てが手探りとなるワンオフエンジンを作った。
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タービンも一回り大きい、TD06H-18G(10cm2)に交換し、等長EXマニにセット。アクチュエーターをロックしてスイングバルブを固定し、HKS製STDタイプを使ったウエストゲート仕様とした。
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インタークーラーはHKSの4層タイプを水平に配置しているが、ノーマルもこのレイアウトのため正確には純正置き換えだ。後のマイチェンで垂直マウントに変更されている。
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リミッター関連はSLDとFCDでカットし、制御系はPFC F‐CON+GCCIIという、当時の定番フルチューンメニューである。
ブースト1.5キロ時に340ps/5600rpm、トルクは42.1kgmというのが完成時のシャシダイチェックデータ。その後ブースト1.8キロまで煮詰めたが、「乗ったフィーリングに満足できていたので何馬力かはどうでも良かった」とオーナー。
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室内はノーマル然とした仕上がり。スピードメーターは輸出用の240km/hスケール。ちなみに北米ではクライスラーブランドでコンクエスト(Conquest)という名で販売されていた。
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センターコンソールには、F-CONでセッティングしたデータを回転数ごとに微調整できるGCCIIや、初代EVC、初代ピークホールドのブースト計&排気温度計が装着されている。クラリオンのカセットデッキも年代もの。もちろん、これら全て現役で稼働する。
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セカンドカーとして、ランエボVのブーストアップ仕様にも乗っていたというオーナーいわく「同じようなパワー&トルクだと思うんです。だけど、フィーリングが全く違います」と語る。
続けて「回転を引っ張っていった時に、ランエボは頭打ちになるけど、スタリオンはタレない。最新のクルマは良く出来ていて、長距離乗るのも快適ですよね。チューニングカーは乗るのも大変だけど、楽しさがあるんです」。
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新車で買って21年目、自分仕様のエンジンを作ってもらって16年目。「向井さん、周りのスタッフさんと二人三脚で作ってきたクルマなので大切にしたいですね」。このオーナーの言葉に心から敬服したい。
●取材協力:カンサイサービス 奈良県奈良市小倉町1080 TEL:0743-84-0126
【関連リンク】
カンサイサービス
http://www.kansaisv.co.jp
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