Friday, January 3, 2020

【自然吸気V10エンジンの美魔女】BMW M6 中古購入、注意すべきポイント 維持費は後回し?(AUTOCAR JAPAN) - Yahoo!ニュース

V型10気筒の維持を甘く見ない方が良い

text:John Evans(ジョン・エバンス)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)
 
英国なら1万ポンド(140万円)を超えない価格から手に入り、自然吸気の500ps V型10気筒エンジンを、シャープなシャシーに搭載したクルマ。2005年に登場したE60型M5の魅力はいまでも色褪せないが、兄弟モデルといえるE63型M6クーペという存在もある。わずかだが、M5より速い。

【写真】BMW M6:2代目E63と3代目F13 (33枚)

4ドアサルーンが必要ならM5を選ぶべき。反面、実用性を備えた、エキゾチックな大排気量エンジンを搭載したパワフルなクーペが欲しいなら、M6こそ正解の選択肢となるだろう。

ただし、気軽に手を出さない方が良い。うっかりハズレを引くと、財布の中身はすぐに空になる。維持費は安くはない。以前にM6の購入ガイドを手掛けた時、専門家からの意見で挙がったのは、「SMG(シーケンシャル・マニュアル・ギアボックス)の信頼性が低い」 「保証が高すぎる」 といった内容だった。

ディーラーは怖がって中古車を流通させず、下取り価格も安かったため、中古車サイトに出ているM6のクーペやコンバーチブルの半数は個人売買のもの。価格帯は1万ポンド(140万円)から2万ポンド(280万円)程度で、この手のクルマにしては魅力的な金額に見える。

だが、個人売買のオークションで安価に落札しても、その後に後悔することも少なくない。M6のメンテナンスには、オイル交換はもちろん、高性能なブレーキやタイヤの費用が求められる。故障の予防としてクラッチにフライホイール、スロットル・アクチュエーターにビッグエンド・ベアリングも新品に交換しておきたい。

通帳の残高は大丈夫だろうか。通常ならクラッチ交換などは過走行車に該当するが、M6の場合、わずか5万km程度で交換が必要になってしまう。

選ぶなら、特に際立って良い個体

BMW M6は諦めるべきなのだろうか。そう簡単に断念するのはもったいない。歴史に残る最高のエンジンが搭載されているのだ。アクセルを踏み込めば、M5よりわずかに鋭く、安定した加速が楽しめる。

車重を軽く、重心を60mm低くするために、M6のルーフはカーボンファイバー製。その他の違いも重なり車重はM5より50kgも軽量で、リアのトレッドもわずかに広い。

ローンチコントロールで更に鋭い加速も披露できるが、クラッチとリアデファレンシャルに負担を強いてしまう。個人売買で手に入れるのなら、少なくともオーナーに1度会って、どれくらいお熱い運転が好みだったのか確認した方が良い。

電子制御のダンパー(EDC)には、3段階の硬さの設定がある。2007年にフェイスリフトを受け、ライト周りのデザインが変わり、インテリアも手直しが施された。英国市場に存在するM6の場合、クーペはカブリオレの2倍ほどの台数がある。

カブリオレのソフトトップは複雑で高品質。ボディには補強も施され開放感は素晴らしいが、クーペに匹敵する落ち着きと鋭い走りは得られない。

クーペでもカブリオレでも、完璧な整備記録が残り、装備が充実したクルマを狙って購入するべき。数ある出品車両の中でも、特に際立って良いものを。そうすれば、自然吸気V型10気筒エンジンの素晴らしい走りに、どっぷり浸ることができるはず。

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