ホンダのエンジンは、今季限りで撤退するF1で、春から夏にかけて5連勝した。33年ぶりの快挙だ。連勝さなかの6月下旬の株主総会で、株主から異論が出た。「F1撤退は残念だ」「エンジンをやめるなんて、創業者が悲しむ」
社長の三部敏宏は「今後は脱炭素のレースで勝負していく」と言う。2040年に世界で売る新車すべてを、走る時に二酸化炭素を出さないEV(電気自動車)かFCV(燃料電池車)に切り替える。純粋なエンジン車だけでなく、エンジンと電池を併用するハイブリッド車(HV)にも見切りをつける。
「できもしない目標」といった反発や違和感は社内にも広がるが、突き進む。栃木県真岡市にあるエンジン部品工場は25年に閉めると決定。55歳以上を対象にした早期退職を全社的に募り、2千人超の応募があった。国内正社員の5%だ。
「ノスタルジー的な思いはある」
エンジン技術者出身の三部は話す。「エンジンへのノスタルジー的な思いはある。しかし、電動化が進んで、いずれなくなるのでは、という予感は、私がエンジニアの時代からすでにあった。それが、脱炭素の流れで近づいてきた」
欧州連合は、35年にガソリン車の新車販売を事実上禁止する方針だ。米バイデン大統領は、30年に新車販売の半分を「排ガスゼロ車」にする大統領令に署名した。欧米のメーカーも、次々とEVシフトを打ち出している。
海外の動きに流されたようにも映る「脱エンジン」だが、「ホンダらしい」と見る人もいる。
あるOBは「2階に上げて…
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