Friday, October 1, 2021

ダイハツe-SMART HYBRIDの発電用エンジンを考えてみた[WA-VEX] - MotorFan[モーターファン]

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日本のメーカーで唯一、パワートレインの電動化を進めていなかったダイハツが、ついにハイブリッド化のアナウンスを発した。シリーズハイブリッドシステム「e-SMART HYBRID」のエンジンの姿を予想してみる。

 10月1日現在で判明しているのは「1.2L、3気筒、ロングストローク。基本素性を徹底的に磨き上げるとともに、⾼効率な⾼速燃焼を実現する『⾼タンブルストレートポート』をはじめとした新技術を採用し、ハイブリッド用にチューン。最⼤40%という⾼い熱効率を実現しました。さらに、ハイブリッド車では発電専用となるため、効率の良い回転域で運転することで低燃費に貢献します」というサイトの紹介文。ここから、これまでのダイハツエンジンなどからこの新しい発電用エンジン・WA-VEX型の姿を想像してみる。

 2021年10月現在、国内向けのダイハツエンジンは2機種。KFとKRである。それぞれ0.66Lと1.0Lで、いずれも3気筒。ちなみに、ボア×ストロークは以下のとおり。

 KF:63.0 × 70.4mm ストローク/ボア比:1.117
 KR:71.0 × 83.9mm ストローク/ボア比:1.18
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 さらに調べると、両機はボアピッチ(シリンダー間の距離)が同一で78mm。これをそろえることで、生産時の効率を高められる。ということでWA型も(市販車であるロッキーに積むことを考えれば)ボアピッチをそろえそうに思われる。

 シリンダ間の寸法を勘定すると、KF型で15mm/KR型で7mmという数字である。KR型のボア71mmを踏襲することを考えると、1.2Lの排気量を作り出すためにはストローク値は101mm。S/B比は1.422という途方もない数字になる。「ロングストローク」であることはクリアできるが、これは現実味に欠ける値だ。

【ボア×ストロークの計算】
 71 × 101mm:1200cc S/B:1.422 ボア間:7mm
 72 × 98mm:1197cc S/B:1.361 ボア間:6mm
 73 × 95mm:1193cc S/B:1.301 ボア間:5mm
 74 × 93mm:1200cc S/B:1.257 ボア間:4mm
 75 × 90mm:1193cc S/B:1.200 ボア間:3mm
 76 × 88mm:1198cc S/B:1.158 ボア間:2mm

 ならば、かなり強引な手段ではあるがS/B比から想像してみる。現在のS/B比最大値はホンダのS07B型で1.293。高効率追求を訴求して登場したトヨタのM15A/M20A型が1.212。スズキがハスラーから搭載し始めたR06D型が1.200。上の計算からすると、S/B比1.200となるのはボア75mmで、そうなるとボア間寸法はわずか3mm。トヨタM15A/M20A型もボア間寸法は7mmを確保していることから考えても、相当な数字である。解決するとなると、サイアミーズシリンダーを用いてボアピッチを極限まで詰め、ボア間パスで冷却水路という手段か。

 もちろん、エンジンの設計はストロークから決めるわけではまったくない。「ロングストロークを目指して設計」などとは考えにくく、まず考えるのは目標性能から弾き出したボア径とバルブ開口面積である。今回デビューするWA型はシリーズハイブリッド用エンジンということで定回転高効率運転だが、その後の「通常のエンジン」の登場を考えると「それにも使える燃焼室」として設計しているだろう。高タンブルストレートポートの存在をアナウンスしていることから、バルブ挟み角は大きな数字になると思われる。トヨタが採用したレーザクラッドシートはコストを考えると難しいか。

(FIGURE:DAIHATSU)

 ボアピッチをKF/KRと共通化しないということも当然考えられる。おそらく、WA型はシリーズハイブリッド用の型が最初に登場するものの、その後は通常のエンジン車用ユニットとしてバリエーションが創出されるだろう。完全新造にふさわしい、新たなエンジンを仕立ててくるか。とはいえ、ロッキーをはじめとするDNGA車のセグメントはAないしはBレベルで、横置きだけにエンジンに与えられる絶対寸法にも限りがある(ボアピッチを広げれば当然エンジンブロックは長くなっていく)。ちなみに、KF型の先代に当たるEF型のボアピッチは80mmだった。

(FIGURE:DAIHATSU)*画像を反転、一部修正

 いずれにせよ、日産e-POWERに続くシリーズハイブリッド市販車の登場である(ちなみにe-POWERのHR12型は78.0×83.6mm:1198ccの3気筒)。小さなクルマをモーターだけで走らせ、高くて重たいバッテリ搭載量は極小にとどめるコンセプトだろう。ダイハツe-SMART HYBRID、果たしてどのようなメカニズムで登場するか。

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