燃費の良いエンジンを作るためには、気筒の内径(ボア)を小さく、行程(ストローク)を長くすることが欠かせない。ところが、連接棒(コンロッド)がある現状のエンジンでは、それが難しい。Zメカニズム技研が開発したコンロッドのない低燃費エンジンを解説する。
※『日経Automotive』2018年2月号に掲載された記事を再構成・転載しました。記事中の肩書きや情報は掲載当時のものです。
ピストンの往復運動をクランクの回転運動に変えるコンロッド。レシプロエンジンには欠かせないものだというのが常識だ。しかし、コンロッドは燃費の良いエンジンを作る上ではむしろ邪魔になる。コンロッドのない新しいエンジンの開発が始まっている。
その代表例が、Zメカニズム技研が開発した「XY分離クランク機構」と呼ぶ技術だ。ピストンの往復運動を往復方向(X)と、それと直交する方向(Y)に分離して回転運動に変える。既に加圧力3kN、回転数800rpmの往復摺動摩擦試験機を実用化している(図1)。製作した圧縮機(コンプレッサー)では出口圧力3MPaで200時間の耐久試験を済ませた(図2)。
エンジンの試作機も3基製作した。市販している排気量50ccのガソリンエンジンを基にした単気筒と水平対向のエンジンはそれぞれ100時間の運転実績がある(図3)。最高回転数は単気筒が7000rpm、水平対向が1万rpm。最近は市販している排気量320ccのディーゼルエンジンを基にした直列(同社はU型と呼ぶ)2気筒エンジンも試作した。どれもコンロッドがない。
コンロッドに三悪あり
コンロッドには主に三つの欠点がある。いずれも、コンロッドが傾くために起こる。
第1の欠点はストローク/ボア比(SB比)を大きくできないことだ。今後、燃費の良いエンジンを作るためにはSB比を大きくする必要がある。ところがコンロッドの傾きが上限を決めてしまう。単純にSB比を大きくすると、傾いたコンロッドがシリンダーの下端に当たる。
コンロッドを長くすれば当たらない。その代わりエンジンの背は高くなる。日産自動車の試算によると、クランク軸から上死点でのピストン上面までの距離はSB比が1.07の場合に215mm〔図4(a)〕。SB比を2まで上げると527mmに増えるという〔図4(b)〕。これではエンジンルームに収まらない。
第2の欠点は2次振動だ。ピストンピンの高さはクランクピンの高さとコンロッドの高さの合計になる(図5)。クランクピンの高さは1回転に1回上下する。1次振動である。コンロッドは上死点と下死点では直立し、それ以外のところでは傾く。つまり1回転に2回直立し、2回傾く。だからコンロッドの高さは1回転に2回増え、2回減る。2次振動である。クランク・コンロッド系の振動は1次振動、2次振動両方の成分を足し合わせたものになる注1)。
注1)実際には3次以上、高次の振動もあるのだが、通常の設計ではコンロッド長(クランクピン中心とピストンピン中心の距離)がストロークの1.7倍以上あり、3次以上は無視できるほど小さい。
第3の欠点はコンロッドの横力だ。爆発力によって下に押されたピストンはコンロッドを下に押して回転力にする。コンロッドが傾いているため、その反力と爆発力を合成した力がピストンに働き、シリンダーの壁を押す(図6)。打音が発生するし、摩擦抵抗もある。
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