Wednesday, February 5, 2020

エンジン終焉は本当か?ドイツ専門会議で見た反撃 - 日経xTECH

“電気自動車(EV)"シフトに走ってきた欧州で、異変が起きている。パワートレーン国際会議「アーヘンコロキウム(Aachen Colloquium)」で、欧州メーカーがエンジンの熱効率を高める成果を続々と発表した(図1)。自動車エンジンの専門家が、欧州を中心としたパワートレーン開発の最新動向を読み解く。

図1 アーヘンコロキウムの風景

(撮影:日経Automotive)

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 自動車業界で働く知り合いのドイツ人が最近、嘆いていた。彼の妻が環境活動家のグレタ・トゥンベリさんに深く共感し、「あなたはなぜ環境に良くないクルマ関係の仕事をしているの?」と、家で非難されているというのだ。妻は買ったばかりのクルマ(エンジン車)を売り払い、シャワーを毎日は浴びなくなった。

 彼によると自分の妻が特別なわけではないようで、ドイツで多くの女性がグレタさんの訴えに共感し、行動し始めているという。

 欧州でエンジン車が悪者になっている─。

 日本にいると気づきにくいが、欧州でエンジン車離れが加速している。背景にあると思えるのが、彼の妻と同じ考えの人が想像以上に多く、そして急速に広がっていることだ。グレタさんが脚光を浴びるのは、そんな人たちの考えが社会で顕在化し始めたことを象徴する。

 二酸化炭素(CO2)を中心とした温暖化ガス(GHG)の増加が地球環境に大きく影響していることは疑う余地がないし、気候変動が一因とされる悲惨な自然災害が世界中で発生しているのは事実だ。

 悪者として逆風にさらされる欧州の自動車業界は、ここ最近ずっと、電動化、特に電気自動車(EV)の開発にまい進してきた。

 この1年で、欧州乗用車市場に占めるディーゼル乗用車のシェアが40%から約28%に激減した。乗用車からディーゼルエンジンが消える勢いである。ディーゼルエンジンの砦(とりで)である大型商用車についても、この1年で燃料電池車(FCV)の開発が加速し始めた。ディーゼルエンジンは、風前の灯なのか。

 ガソリンエンジン車も、例外ではないように思える。欧州各国が2030年、2040年に純内燃機関車の新車販売禁止、欧州完成車メーカー(OEM)がEV、プラグインハイブリッド車(PHEV)、FCVの販売増強を公言している。加えて、ノルウェーを中心にEV市場が急拡大している。

 エンジンは終焉(しゅうえん)を待つばかりか。そんな気持ちになりそうな中、ドイツで毎年10月に開催されるパワートレーン国際会議「アーヘンコロキウム(Aachen Colloquium)」を訪れたところ、何か風向きが変わり始めていると感じた。

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