「走行中にエンジンから異音が発生する場合があるが、走行に異常を来す問題はないことを確認している」──。スズキの新型軽自動車「ハスラー」のエンジンで異音が生じる不具合が発生していることを受けて、同社取締役常務役員の長尾正彦氏は、2020年2月7日に開いた2019年度第3四半期累計(2019年4~12月)の連結決算会見で、安全性に問題がないことを強調した(図1)。
スズキが2020年1月20日に発売した新型ハスラーには、新開発の自然吸気(NA)エンジンを搭載する車両と、既存の過給エンジンを搭載する車両がある。異音が発生する不具合が見つかったのは、NAエンジン車である(関連記事)。2020年1月24日に同車の生産・出荷を停止した。
不具合の原因は調査中であり、現時点で生産・出荷の再開のメドは立っていない。ただ、不具合が見つかった後に生産したNAエンジンのうち、問題がないことを確認できたエンジンを搭載した車両は、同年1月31日から出荷しているという。不具合が見つかる前に出荷した車両については、「何らかの市場措置を検討して対応する」(長尾氏)とした(図2)。
新型ハスラーの月間販売目標は6000台。「スペーシア」や「ワゴンR」、「アルト」などと並ぶスズキの基幹車種である。先代ハスラーの場合、販売台数全体に占めるNAエンジン車の比率は70~80%だった。
「新型車でも販売台数の半分以上をNAエンジン車が占めるだろう」とスズキは見る。原因の究明が遅れ、生産・出荷の停止期間が長引くと、2020年度通期(2019年4月~2020年3月)の業績に悪影響を及ぼす恐れがある。
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