Wednesday, March 25, 2020

PCエンジン mini ミニレビュー。旧友に再会する格別の楽しさ、PCE文明のタイムカプセル - Engadget日本版

コナミが発売した復刻ミニゲーム機、PCエンジン mini のファーストインプレッションをお伝えします。

感想文の前に、これから買う人向けの注意点から。

  • 連射パッドは欲しい。PCエンジンの華のひとつであるシューティングを遊ぶなら、当時から連射前提だったゲームは連射パッドなしでは厳しい
  • ターボパッド(純正連射パッド)は出荷遅延。専売のアマゾンでは現時点で4月末出荷。
  • PCエンジン mini を製造するホリのNintendo Switch用アーケードスティック(RAP)やホリパッドは非公式ながら動く。
  • RAPなどスティックまたは軸のある十字キー搭載コントローラ(かつ連付き)を強く推奨。スイッチ用ホリパッドの十字キーは独立4ボタンにカバーを乗せた設計で中央に軸がなく、全体が沈む(上下左右同時押しができてしまう)。アクションやシューティングでは意図しない動きが頻発して不向き。細工で多少改善できても解決は難しい

製品について短く結論を述べれば、
  • 中身は信頼と実績のエムツー製。CD-ROM²やスーパーグラフックス含むPCエンジンの名作群をいま、快適に遊ぶ環境としては文句なし。その場セーブやCD-ROM読み込みの短縮など。
  • かつて夢中になったゲームを再訪するのはもちろん、選ばなかったタイトルも時を超えて体験することで、大げさにいえば「人生の選択」を振り返る絶好の機会にもなる。

復刻レトロゲーム機を買うのは直撃世代の元プレーヤーが大多数とは思いますが、まずは基本から。PCエンジンはハドソンとNECが共同開発し、1987年にNECホームエレクトロニクスが発売したゲーム機。1983年のファミコン発売から4年を経て、新しい世代の家庭用ゲーム機の先駆けとして登場しました。ライバルは翌年のメガドライブ、そして90年発売の王者スーパーファミコン。

ハドソンを吸収したコナミの製品である PCエンジン mini は、PCエンジンを約85%サイズまで縮小してHDMI接続・USB給電にした本体に、58本のゲームを詰め込んだ製品(海外版重複多数を含む)。

ニンテンドークラシックミニ ファミコン・スーパーファミコン以降、各社が競って投入した「名作ソフト入り純正ミニチュア復刻レトロゲーム機」カテゴリの最新作であり、残りの家庭用ゲーム機を考えると、少なくともしばらくのあいだは最後の製品になりそうです。企画開発はコナミ、ハードウェアの製造はゲーム周辺機器でおなじみのホリ、ソフトウェアはメガドライブミニでも職人技を見せたエムツー。

オリジナルのPCエンジンは標準ではコントローラ端子がひとつだけ、マルチタップを接続して多人数プレイ対応でしたが、復刻ミニはUSB端子を二つ備え、専用コントローラを二つ接続できるようになっています。本体同梱は通常のパッドがひとつ。別売りでは連射付きのターボパッドや、マルチタップも用意します。

(注意:一人プレイの場合、コントローラは上の1P端子に。下だとメニューは動かせてもゲームが反応しません)

コントローラは基本的に専用の純正のみ。Switch用ホリパッドなど一部動くコントローラもありますが公式に保証するものではありません。端子は汎用のUSBですが、市販のUSBハブはマルチタップの代わりにはならず、純正を買う必要があります。

ラインナップ


Konami

ラインナップはこちら。全58本(プラスアルファ)はこの海外版 TurboGrafx-16版の重複を含みます。『ネクタリス』が『MILITARY MADNESS』など一見して分かりにくい重複もある一方で、J.J. & JEFF ((加トケン)など、日本版としては収録されなかった人気作もあります。

本体の形状はいわゆる無印の初代PCエンジンですが、ソフトとしてはYsやスナッチャー、天外魔境II、スプリガン等々CD-ROM2 / SUPER CD ROM2 のソフトも、上位機種スーパーグラフックス専用ソフトである大魔界村、オルディネスも含まれています。

PCエンジンは市場でソフトが供給されていた期間が長く、本体のバリエーションも多く、ソフトもアーケードの良質な移植から黎明期のいわゆるギャルゲーまで幅広い大きな存在であり、数十本程度ではそのすべてを網羅することはもちろん不可能ですが、ミニの収録作はPCエンジンの様々な側面を代表するゲームを集めています。

PCエンジンmini発売。裏技でキャラバン限定ソルジャーブレイド、グラディウス+ファンタジーゾーン特別版も

その場セーブ・ロード対応、携帯機GT風表示まで


エミュレータゲーム機としての機能は、全ゲームで個別に4つまでステートを持てるその場セーブ・ロード対応(『カンタンセーブ機能』)、アスペクト比やブラウン管の走査線を再現するCRTフィルターなど。

カンタンセーブ機能、いわゆるステートセーブは実機では不可能、復刻ゲーム機には不可欠と言って良い機能。当時挫折したゲームも、当時は余裕だったのに歯が立たなくなったゲームも、小刻みにセーブしてやり直しを繰り返せばいつかはクリアできます。

スクリーン設定には引き伸ばしやアスペクト比選択のほか、まさかのPCエンジンGT再現も。あのさあ......

外装やらラインナップやら何かと比較される復刻ミニゲーム機ですが、PCエンジン mini が完璧に、反論の余地なく圧勝している点は「付属コントローラのケーブルの長さ」。なぜか3mもあります。

現在の復刻ミニレトロゲーム機ブームの立役者、任天堂のクラシックミニ ファミコンは、コントローラが本体と合体する元々のデザインからコントローラまで小さくなり、ケーブルも短く、操作に苦労するプレーヤーが続出しましたが、それにしても3mは意外な長さです。

いくら最近の大画面テレビでもそんなに離れないでしょ!むしろ邪魔でしょ!と一時は思いましたが......

プロジェクターの大画面でも余裕のある長さで大勝利。長いHDMIケーブルを引っ張り出したり買い足したり、電源も長いケーブルやモバイルバッテリーで面倒な思いをするよりも、最初から3mケーブルが含まれているほうが確かに助かります。

ブラウン管を前提にしたビジュアルのレトロゲームは、画素がぼやけるプロジェクターと好相性。最新のモニタでピクセルパーフェクトにパキッとしたドット絵を鑑賞するのも乙なものですが、地味に増えている安価なポータブルプロジェクターでも、オリジナルの解像度が低いため問題なく楽しめます。電源をモバイルバッテリー給電にすればどこでもPCエンジンパーティー。マルチタップは要純正。

悩みに悩んだ末、最初に起動したのはネクタリス、プレイしたのはゴーファーの野望でした。

(ネクタリスを起動しただけでプレイしていないのは、コントローラを誤って下側の端子に挿したおかげで、メニューは操作できるけれどゲーム本編は操作できない(RUN/SELECTは効く)仕様に一瞬悩んでゲームを切り替えたため。一人プレイ時は上の端子に。)


旧友と変わらぬ時を過ごす楽しさ、知らなかった側面に触れる喜び


日々復刻ゲーム機のニュースを紹介していると、典型的な反応がいくつかあります。ラインナップに対して、ひとつは「遊んだことあるゲームばっかりだから微妙だな」もうひとつは「遊んだことあるゲームばっかりだ!嬉しい!」。逆に「遊んだことないゲームが多いから微妙」もあれば、「遊んだことないゲームが多くて楽しみ」も。

かつての全国放送テレビや、現在のネットのように手軽に触れられるコンテンツとは違い、家庭用ゲームは、特に年少者にとっては、まずどの機種を選ぶかという大選択があり(あるいは、家族兄弟が決めたなら選択肢すらなく)、そのなかでもどのゲームに貴重な小遣いを投入するかは、大げさにいえば重大な人生の選択でした。

よほど幸運なら(あるいは不運なら)、家族がゲームマニアだったりお小遣いが無制限で物心ついたころから全機種コレクターという場合もありますが、それでも有限の時間で何を遊んだかは紛れもなくその人だけの選択であり、同じ機種のゲームを貸し借りして一緒に遊べる友人がいたか、他機種の知らない世界を見せてくれる友人と出会ったかも、その人にしかない運勢のめぐり合わせです。

与えられた環境と日々の選択がその人を作る以上、ゲーム歴は選んだ人生・選ばなかった人生そのものでもあり、こうした企画の収録ラインナップへの反応が大きく異なるのはむしろ必然といえます。

というのは一般論ですが、各人に代えがたい「PCエンジンと私」体験があったとしても、コナミが製品としての収録ラインナップをどういった基準・狙いで選んだのか、ひとつの時代、大げさにいえばひとつの文明圏の始まりから終焉までをどれだけレペゼンできたのか、といった議論は可能です。

(「PCエンジン文明」の生き残りによる貴重な証言は例えばこちら)
祝PCエンジン mini発売決定、当時現役で遊び倒したライターが「PCエンジン」を回顧する(2019年8月)

そのうえで今回のラインナップを眺めれば、粗はあっても新世代のゲーム機を印象づけた初期作品、ナムコを始めとする良質なアーケード移植(妖怪道中記欲しかった)、CD-ROMを活かした超移植のRPGやアドベンチャー、上位機種の専用ソフト、いわゆるギャルゲーに分類される作品、そしてもちろんPCエンジンだけの、あるいはPCエンジンから始まった人気シリーズの原点など、驚くほど多彩で豊かなPCエンジン文化の各側面を捉えることには成功しています。

もちろん、どれひとつをテーマにしてもまだまだ収録すべきタイトルはあり、ライセンスの難しさで収録できなかったタイトルも多数あるはずです。

それでも、収録タイトルは重複多数を考慮しても比較的多く、当時愛機として楽しんだプレーヤーはもちろん、他機種・多機種ユーザーで未履修のPCエンジンゲームをいまから再訪するにも適したタイムカプセルに仕上がっています。

特典としてファンタジーゾーン・グラディウスのグラフィックやBGMを新たに作り直した「near Arcade版」も、酔狂なオマケ企画でありつつ、PCエンジンの底力とあり得たかもしれない可能性を見せることで、収録されたPCエンジンの歴史全体を新鮮に見せてくれます。

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ごく個人的な話をすれば、一番楽しんでいるのは当時遊ばなかった「(遅れてきた)PCエンジン移植」シリーズ。移植元のオリジナルを遊んでいたり、もっと完成度の高い別プラットフォームの移植版で事足れりとしていて、当時も「(いまさら)PCエンジンでも出すの?声とか足して??」とスルーしていたのが、完全移植どころかアーケード版そのものが家庭で遊べるようになったいま、むしろ不完全さやアレンジが面白く、知っているゲームの新鮮な別バージョンとして楽しめています。

特に当時から残念評価だったファンタジーゾーンのBGMなど、PCエンジンminiの裏技として追加された改善版 near Arcade版と聴き比べると、へっぽこ音色がおかしくて仕方なく逆に癖になるレベル。

メガドライブやファミコン・スーパーファミコンと異なり、ライセンス的な事情もあってアーカイブ移植や企画に比較的恵まれなかったPCエンジンだけに、参照点として手元においておきたい製品です。

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March 26, 2020 at 08:06AM
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