Wednesday, March 18, 2020

【PCエンジン mini全タイトルレビュー!】「ときめきメモリアル」 - GAME Watch

 「PCエンジン mini」は、ほかに「TurboGrafx-16 mini」と「PC Engine Core Grafx mini」の3種類のバリエーションがあるが、「PCエンジン mini」にしか収録されないタイトルのうちの1本が「ときめきメモリアル」だ。このソフトに人生を狂わされた人も大勢いると思うが、かくいう筆者もその一人。今回は、そんな当時の思い出を交えつつ、「ときめきメモリアル」のプレイレビューを書き綴っていこう。

筆者が当時ハマった、名作恋愛シミュレーションゲーム「ときめきメモリアル」

 筆者が「ときめきメモリアル」と出会ったのは、1995年も夏の終わりが見えてきた頃。某プレイステーション雑誌の編集部にて、KONAMI(当時)から送られてきたプレイステーション版「ときめきメモリアル」のサンプル版CD-ROMを担当者が起動し、オープニングアニメーションが流れるのを後ろから覗いたのが最初だったと記憶している。

 あまりにも良く動く映像と、そこから流れてくる曲(「もっと!モット!ときめき」)にコロリとやられてしまい、発売日に限定版を手に入れてしまったほど。そこから約2年間は毎日欠かさずプレイしていたが、メモリーカードは13人分+α用意する始末だし、イチオシキャラの朝日奈さんに至っては何度エンディングを迎えたかわからないほどやり込んでしまった。おかげでディスクが読めなくなり、後にベスト盤を買い直すハメに……。気づけば、仕事方面でもメーカーのファンページ担当として関連コンサートやイベント、アフレコスタジオの取材などにも出向くようになり、中の人と親しくなったのも良い思い出だ。

 後にセガサターン版が発売されるが、こちらも全キャラクリアした頃に、今度はオリジナルのPCエンジン版がどうしてもプレイしたくなってしまった。そこで、秋葉原のT-ZONEミナミ(当時)で投げ売りされていたPCエンジンDUO-Rを「ときめきメモリアル」専用本体として購入し、その向かいにあったメッセサンオー(当時)に足繁く通い、たびたび品切れになる本作を何とか手に入れることに成功した。プレイしてみると、プレイステーション版とはオープニングや操作性の違いなどがあったものの、本質的な面白さは同じ。結局、13人クリアするまでみっちりと遊んでしまった。

 そんな思い出がある「ときめきメモリアル」が今回、「PCエンジン mini」に収録されるというのだから、心ときめかないわけがない。とはいえ、初登場からは約四半世紀が経過しているため、今や「ときめきメモリアル」という名前すら知らない人もいるかもしれない。本作は、恋愛シミュレーションというジャンルがまだ話題にならなかった当時に大ヒットを記録し、このジャンルを確立させると同時に、以降の恋愛シミュレーションゲームブームを巻き起こすことになった記念碑的作品と言えるタイトルだ。

アニメーションするオープニングと、それに合わせて流れる歌が、当時の記憶を思い起こさせてくれる

 プレーヤーは私立きらめき高校に入学した主人公の男子生徒として、3年間の学生生活を送っていく。学校には、「卒業式の日に、校庭の外れにある伝説の樹の下で女の子に告白されると、永遠に幸せな関係になれる」という言い伝えがあり、当初は伝説の樹の下で主人公の幼馴染みである藤崎詩織から告白されることを目指すことに。

 しかし彼女以外にも、学業がダメだがスポーツ万能の生徒や、成績優秀で物静かな人物など、それぞれ個性豊かな魅力を持った12人のキャラクターも登場する。最終的には13人の中から、プレーヤーの意中の相手となる女の子から告白されるようゲームを進めていく。

導入部分では、主人公の親友である早乙女好雄が、上記のことを教えてくれる。他にも女の子の情報を聞いたりと、後々までお世話になることに

 システムは非常にシンプルで、週の初めに一週間単位で行ないたい行動を選択するだけ。理系を選ぶと理系のパラメータがアップするが運動と体調は下がりストレスは上昇、雑学を選択すれば容姿と雑学が上がるものの理系や文系のパラメータはダウン、といった具合。

 各種パラメータ次第では藤崎詩織以外の女の子も出現し、学校帰りには彼女たちと一緒に下校したり、休みの日にはさまざまな場所でデートを楽しむこともできる。こうして3年間の高校生活を送り、卒業式の日に伝説の樹の下に意中の相手から呼び出され、告白されればハッピーエンド。誰からも告白されなければ、バッドエンドを迎えることになる。

 なお、ゲーム中に一度登場した女の子は何のアクションも採らないと徐々に機嫌が悪くなっていき、一定レベルを超えると爆弾マークが表示され、何もしないと最終的には堪忍袋の緒が切れて爆発してしまう。すると、他の女の子の好感度まで下がってしまうのだ。いかにして意中に相手の好感度を上げつつ、この“爆弾処理”を上手に行なえるかが、ハッピーエンドへのカギとなる。

女の子との関係がどうなっているかは、好雄に電話することでチェック出来る。爆弾マークがついている女の子は、ご機嫌状態が危険水域。デートしてご機嫌を取るか、意中の相手ではないからと放置して、今風にいうとキレさせるか……どうする!?

 本作の特徴の一つは、登場する女の子たちが持つ豊かなキャラクター性だろう。勉学はダメでも流行には敏感で、ちょっとロマンチストな朝日奈さんのような人がいれば、入学式で主人公に一目惚れしてからは一筋に追いかけてくる当たり屋(?)の館林さんなど、とにかく各キャラの魅力が際立っていた。13人がそれぞれの特徴を持っていたため、プレーヤーのツボにハマる相手がほぼ必ず見つかり、結果としてそのキャラクターにドップリとのめり込むことになるのだ。

高校の実験室で怪しげな事をしている人がいるかと思えば、学校にファンクラブがある女の子もいるし、テニス部に所属しているのんびりお嬢様も登場する。これだけバリエーションが豊かなら、どんなプレーヤーでも好みの彼女が見つかる……はず?

 これだけの破壊力を持ったゲームなので、今ならネットで大きな話題になっているだろうが、当時はインターネットの普及率は低く、パソコン通信がその役割を担っていた。人気を反映してか、行きつけの“某京BBS”には「ときめきメモリアル」専用の掲示板が設けられ、そこに多数のプレーヤーが集まって日々その面白さや、自分が好きなキャラクターの良さなどを語っていたのだ。筆者もその一人だったが、その掲示板をきっかけにしてつきあい始めた友人とは今でも交友があるほど。大勢の人の人生に影響を与えたゲームなのは、まず間違いない。

 また、“女の子たちと過ごす高校生活3年間を、ゲーム上で追体験することが出来る”というのも、本作の人気が高かった一因だろう。男子校だったり、共学だったものの彼女を作る暇なく高校を卒業してしまった人などにとって、「ときめきメモリアル」は理想の高校だ。彼女と一緒に下校したり文化祭、修学旅行、体育祭、クリスマス、お正月など、主立ったイベントを楽しめるのがたまらなかった。ただし、その世界観に呑まれすぎて道を踏み外してしまうと、悲しいかな筆者のように脳内嫁しか存在しなくなる危険性があるので、のめり込みすぎには要注意を……。

筆者が呑まれてしまったのが、夏の遊園地で発生するイベントでのこのセリフ。こんなことを言われたら、もはや現実世界に戻ってこなくても良い! と当時は思ったものだが、今回プレイしたところ、その思いは今でも変わっていなかった(笑)。

 一時代を築いた「ときめきメモリアル」だが、現在プレイしてもその面白さはまったく変わっていなかったどころか、今でも魂が震えるほど夢中になれるゲームだった。残念ながら、当時のCD-ROM1トラック目に収録されていたメッセージは聞けないものの、それ以外はそのままなので、プレイ感覚も同じ。少し遊べば、夢中になったあの頃が脳内にフラッシュバックしてくるはず。現代でも色あせることなかった名作をプレイして、13人の彼女たちに一喜一憂した若かりし頃をぜひ思いだしてほしい。

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March 18, 2020 at 10:00PM
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