北海道で自動車部品を生産する中小企業が完成車メーカーからの受注を開拓している。トルク精密工業(北海道赤平市、高橋新作社長、0125・32・5222)は、マツダからガソリンエンジンで使う部品を受注。佐藤鋳工(同妹背牛町、佐藤孝造社長、0164・32・2130)は、エンジンを車体に固定する部品をトヨタ自動車から受注した。道内には完成車の工場がなく物流で不利だが、技術力や実績が評価された格好だ。(取材=札幌支局長・村山茂樹) トルク精密工業は、マツダの新しい燃焼方式を採用したガソリンエンジン「スカイアクティブX」で使う部品を受注し、2019年11月から月2万個で量産している。道内中小企業でマツダから量産部品を受注したのは初めてとみられる。部品はステンレス製の電動吸気バルブに使う弁で縦3センチ×横2センチ×厚さ1ミリメートル。マツダのスポーツ多目的車(SUV)「CX―30」と小型車「マツダ3」に搭載されている。 きっかけは北海道経済産業局から次世代自動車関連部品の参入支援事業でコーディネーターを紹介されたことだ。コーディネーターがマツダのニーズと、トルク精密の技術力を勘案してマッチング。トルク精密はステンレスの薄板のプレス加工で、バリ取りのための研磨加工が不要な技術を確立した。 物流費を入れても研磨加工費がかからないので低コストだ。通常は系列サプライヤーが部品供給に連なるため新規参入は難しいが、トルク精密の高橋信幸常務は「顧客ニーズが直接わかったので開発できた」と話す。高橋社長は「別の部品に加工技術を展開したい」と意欲を示す。 佐藤鋳工は19年12月末からトヨタ自動車の上郷工場(愛知県豊田市)に「エンジンマウントブラケット」の納入を始めた。20年5月にはトヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)にも納入する。両拠点への納入は初めて。小型車「ヤリス」に搭載されている。 これまではトヨタ自動車北海道(北海道苫小牧市)に、自動車の駆動系部品であるディファレンシャルギア(デフ、差動装置)を収納するデフケースの素材を納入していた。 エンジンマウントブラケットは、これまでの実績が認められた上で、鋳造に加工作業を加わえた部品として仕上げた。佐藤鋳工の佐藤社長は「一つの挑戦だった」と、加工機などに億単位の設備投資を行った。本当の狙いはデフケースの素材を加工し、部品として納めることだった。佐藤社長は今回の取り組みは「次へのステップ」としており、自動車部品事業のさらなる飛躍に意欲を示す。
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March 22, 2020 at 04:00AM
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マツダ・トヨタからエンジン部品受注、北海道の中小企業2社の正体|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 - ニュースイッチ Newswitch
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