Wednesday, May 20, 2020

ロールス・ロイス、9000人削減へ 新型コロナで民間機エンジン需要減 - Aviation Wire

 ロールス・ロイスは現地時間5月20日、大規模な組織再編を労働組合に提案した。全世界で働く5万2000人の従業員のうち、最低でも9000人を削減する。工場などの費用削減も計画しており、毎年13億ポンド(約1710億円)以上のコスト削減を見込む。中国から拡散した新型コロナウイルスの影響で、民間航空機エンジンやそのアフターサービスに対する需要が大幅に減少していることから、中期的な構造変化が必要になったとしている。

大規模な人員削減を計画しているロールス・ロイス=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 13億ポンドのコスト削減のうち、人員削減による効果はこのうち約7億ポンドを見込む。これらに関連した再編コストは約8億ポンドを想定しており、2020年度から2022年度にかけて計上する。

 組織再編案は、主に民間航空機部門に影響を与えるもので、同部門の施設資産を見直す。また、本社の間接部門にも影響が及び、パワーシステムズ部門とITPエアロ部門は大規模な対応策を取る。英国と米国に拠点を持つ防衛部門は、新型コロナウイルス流行時も堅調で、見通しも変更がないことから人員削減は実施しない。また、組織再編の一環として、社内の民間航空機部門のサプライチェーンが継続的に防衛プログラムを支援し、防衛部門への配置転換も検討する。

 ロールス・ロイスのウォーレン・イーストCEO(最高経営責任者)は、「自ら招いた危機ではないが、対応しなければならない状況に変わりはない。各国政府は事業を支援する短期的な対応策を講じているものの、安定的な顧客需要の代替とはならず、多くの航空機が再び空を飛び始めるまでの中期的な市場の状況に対応する必要がある」と、リストラ案に対する理解を求めた。

 日本の航空会社では、全日本空輸(ANA/NH)と日本航空(JAL/JL、9201)がロールス・ロイス製ジェットエンジンを採用。ANAのボーイング787型機がトレント1000、エアバスA380型機がトレント900を、JALのA350 XWBがトレントXWBを採用している。

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