昨今では必ずしもそうとは言い切れないものの、一昔前の2輪用エンジンの寿命は、数年~10年が一般的だった。ただし、秀逸な基本設計が高く評価され、20年以上の歳月を生き抜いた長寿エンジンも存在する。
当記事では、様々なモデルに搭載され、時代を超えて愛された「名エンジン」を紹介していきたい。
1975/76年型TT500(XT500の輸出名)/XT500用として開発され、1978年からSR400/500に搭載されたヤマハ製4ストビッグシングルは、2020年で45周年を迎える。
単純な生産年数の長さでは、60年以上の歴史を持つホンダ・スーパーカブのそれには及ばないものの、スーパーカブが数回の全面刷新を受けているのに対して、ヤマハ製4ストビッグシングルの構造は1975年型TT500も現行SRもほとんど共通。
そう考えると国産2輪車の最長寿エンジンは、TT/XT/SR系と言うべきかもしれない。
ちなみに、昨今ではクラシックなフィーリングが味わえる牧歌的な単気筒、あるいは、チューニングを楽しむ素材として認知されているSRのエンジンだが、デビュー当初のTT/XTは本格的なスポーツシングルで、オフロード系を中心にして数々のレースで栄冠を獲得。黎明期のパリダカールラリーでは2連覇を飾っている。
「ザッパー」とは風を切る音、「ZAP」を語源とするカワサキの造語。
同社はZ1の開発時にもこの言葉を使っていたが、一般的にカワサキ・ザッパー系と言ったら、1976~2006年に販売された650/750cc並列4気筒車のことである。
そんなザッパー系の歴史を振り返って興味深いのは、時代に応じて存在意義が変化したことだろう。
第1号車のZ650がZ1/Z2の弟分だったのに対して、1980年代以降のザッパー系は排気量を738ccに拡大し、他社のナナハンに対抗。そして過給器を装着した1984年型750ターボで、いったんザッパー系の進化は終焉を迎えるものの、1990年代以降はネイキッドのゼファー750、ベーシックスポーツのZR-7に搭載されることとなった。
なおパッと見の印象はZ1/2とよく似ているザッパー系の並列4気筒だが、Z1/2のクランクがボール+ローラーベアリング支持の組み立て式だったのに対して、ザッパー系は軽量化と高回転化、コスト抑制を意識した結果、プレーンメタル支持の一体鍛造を採用していた。
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May 27, 2020 at 04:51PM
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