[ニューヨーク 26日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は投資家をメタバース(巨大仮想現実空間)の深みに引き込もうとしている。25日に四半期決算を発表したフェイスブックは、決算の発表方法を変更し、拡張現実(AR)への取り組みやその先の事業展開において、財務情報の開示を拡充する方針を示した。何であれ透明性が高まるのは歓迎すべきことだが、今回の変更では画像共有アプリ「インスタグラム」などより重要な事業の情報を出すのを避けている。
新たに発足する「フェイスブック・リアリティ・ラボ」部門は、現実世界と仮想世界(VR)が相まみえる分野の事業について売上高と営業利益を開示する。社名を冠した旗艦のソーシャルネットワークやインスタグラム、対話アプリ「ワッツアップ」などの事業は「ファミリー・オブ・アップス」と呼ばれる第2の部門に別に集約されるが、同部門が扱うサービスはフェイスブックの売上高の大半を占めている。同社の第3・四半期の売上高は前年同期比35%増の290億ドルだった。
こうした事業は成長が鈍化している。特に米アップルがiPhoneなどの基本ソフト(OS)でプライバシー保護策を強化したことはフェイスブックの広告事業にとって打撃となり、「大きな不確実性」をもたらしている。シェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)は、広告事業でターゲットを絞り込んだり、効果を測定したりする能力を再構築するには時間がかかると述べた。同社にとって最も収益性の高いユーザー層を抱える米国とカナダは登録者数が頭打ちだ。また、中国の短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」や米写真・動画共有アプリ「スナップチャット」に利用者が流れ、若者会員の獲得が難しくなっていることはフェイスブックも認めている。若者の間で人気の高いインスタグラムについてより多くの情報開示されることが有益なのはそのためだ。
フェイスブックは内部告発者によって、ネットワーク上で発信される、分断化を促進し、有害なコンテンツの管理よりも、利益を優先していることを示す内部資料が暴露され、四面楚歌の状態に陥っている。今回のスキャンダルで、同社が広告急増の流れを維持することができるどうか疑念も深まった。ザッカーバーグ氏が未来に執着するのはある程度理解できるが、今はVR用ヘッドセットの陰に隠れている場合ではない。
●背景となるニュース
*フェイスブックは25日、拡張現実(AR)などの技術を活用した「メタバース(巨大仮想現実空間)」事業を担当する「フェイスブック・リアリティ・ラボ」について、第4・四半期から個別に業績を開示すると発表した。
*同日公表した第3・四半期決算は、売上高が前年同期比35%増の290億となった。第4・四半期の売上高は315億-340億ドルを予想。アップルがiPhoneなどでプライバシー保護策を強化したことが逆風になるとみている。
*自社株買い計画を500億ドル上積みすることも明らかにした。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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