水素とEVにコンバート
それはパワートレインの変更だ。愛好家から「パンダ」などと呼ばれる白黒2トーン・カラーに塗られた2台の後期型AE86をベースに、トレノは既存のガソリン・エンジンをベースに燃料を水素に変更した水素エンジンに、またレビンはガソリン・エンジンをモーターに置き換えた電気自動車=バッテリーEV(BEV)にコンバージョンされている。
既存車側からもカーボン・ニュートラルを目指す
狙いはカーボン・ニュートラルの実現をこれから世に送り出される新車側からではなく、すでに販売済みのモデルの側からも図ることにある。また、旧車愛好家にとってはカーボン・ニュートラル時代にも愛車を延命できるというメリットの方がうれしいかもしれない。
出力はAE85+α
豊田社長曰く、車名にEVの2文字が含まれていたというレビン(LEVIN)には、トヨタとレクサス両ブランドで培ってきた電動化のノウハウを投入されている。北米向けのピックアップ・トラックの「タンドラHEV」用モーターとプリウスPHEV用バッテリーを用いることでBEVに変更。さらにBEVとしては異例の6段MTを組み合わせることで、従来のBEVに足りない操作する楽しさを求めているのも大きな特徴だ。
モーターの最高出力は93ps(68.4kW)、最大トルクは190Nm。グロスで130ps/15.2kgmだったAE86の4A-GEU型には及ばないものの、AE85と呼ばれる1.5リッター版の85ps/12.0kgm(後期型)を上回る出力を有する。車両重量は1030kg。ベース・モデル900kg強だったことを考えると比較的抑えられていると言えるだろう。そういえば、レビンの名は「稲妻」を意味する英語から取っているから、電気との相性はいいのかもしれない。
4A-Gへのこだわり
一方のトレノもスペイン語の「雷」から命名されているが、こちらは電気ではなく燃料を水素に変更した4A-GEU型を搭載している。トヨタの水素エンジンといえば、S耐のカローラに搭載されている1.6リッター直3ターボが存在するが、それではAE86ではなくなってしまうからと、あえてGRヤリスやGRカローラ由来の最新ユニットでなく、オリジナルの4A-Gをベースにしているのがトヨタのこだわりだ。なお、最高出力などエンジンの諸元は非公開とされたが、今のところパワー不足が否めない状態らしい。
インジェクターとプラグ、燃料供給パイプなどを水素仕様に変更しているが、改造範囲を最小限にとどめている。駆動系もトランスミッションなどは純正品のまま。ただし、リア・デファレンシャルにはAE86チューンの定番と言えるTRD製のLSDが備わる。また、ミライ用を流用した水素タンクは荷室に積まれ、BEVのレビンでは取り去られた後席が残されている。
今回出展された2台はどちらも研究段階だが、クルマ好きにとっては大きな一歩になるかもしれない。
文=関耕一郎 写真=宮門秀行
(ENGINE WEBオリジナル)
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