Friday, January 6, 2023

全方位で全力攻勢! カワサキがEVもハイブリッドも水素エンジンも開発を進める理由 - webCG

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太平洋をまたにかけた水素実装の取り組み

一方で、水素エンジンの実用化に関しては、まだまだチャレンジが続くという。

川崎重工は、2010年から次世代エネルギーとして水素に着目し、水素を製造・運搬・貯蔵・使用するための技術開発を進めてきた。現在、同社は日豪間の水素サプライチェーン構築を目指すコンソーシアムに加入しており、オーストラリアの褐炭から精製した水素を液化するシステムに加え、極低温で輸送する世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」を建造。天然ガスの輸送や貯蔵で培った技術を生かして、液化水素を貯蔵および供給する技術を開発し、運用を進めてきた。加えて2018年に世界で初めて成功した、市街地における水素のみを燃料とするガスタービン発電で培った水素燃焼技術をベースに、航空機用、船舶用、二輪車用といったモビリティー向け水素燃料エンジンの開発を進めている。

EICMA 2022で展示された水素エンジンは、その開発の結果のひとつだ。水素エンジンは現在、四輪完成車メーカーを含め、業界の枠を越えた幅広いメーカーがコンソーシアムを組んで開発を進めている。そしてカワサキは、ニンジャH2の998cc直列4気筒スーパーチャージドエンジンをベースに、水素燃料を直噴する燃料供給システムを開発。北米などで販売しているオフロード四輪車に搭載し、EICMA 2022の前にメディアを招いた走行デモンストレーションを行った。今回発表された水素エンジンは、そのデモ用エンジンと同型である。先述のとおりカワサキは「まだ課題が多い」としているが、これら現時点の成果を思えば、彼らの言う「2030年代前半の実用化」という目標も現実的に感じられるというものだろう。

ここまでハイブリッドと水素の話を聞いた後、筆者はふと思い出して、冒頭で紹介したエンジニアの妄想について真偽を問うてみた。松田氏の回答は「それはちょっと考えすぎですね」というもの。いささか話の腰を折ってしまったが、松田氏は最後にこう付け加えた。「新しい技術を市場に出せば、状況は変化します。それに対応しながら、走りながら考えて技術やカタチを固めていく。未来のモビリティーには、地域や環境によって、EVとHEV、そして水素のすべてを使っていきます」

(文=河野正士/写真=カワサキモータース、EICMA、河野正士/編集=堀田剛資)

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開発中の水素エンジンは、「ニンジャH2」に搭載される排気量998ccの直列4気筒スーパーチャージドエンジンをベースとしたもの。既存のスーパーチャージャーとは別に、エアーコンプレッサーが装備されているのが分かる。
開発中の水素エンジンは、「ニンジャH2」に搭載される排気量998ccの直列4気筒スーパーチャージドエンジンをベースとしたもの。既存のスーパーチャージャーとは別に、エアーコンプレッサーが装備されているのが分かる。拡大
新しい技術を世に問えば、市場もまた変化する。将来的には、地域や環境に応じてEVとHEV、水素エンジンを使い分けるというのが、カワサキの次世代戦略の骨子だったようだ。(写真:河野正士)
新しい技術を世に問えば、市場もまた変化する。将来的には、地域や環境に応じてEVとHEV、水素エンジンを使い分けるというのが、カワサキの次世代戦略の骨子だったようだ。(写真:河野正士)拡大

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