Monday, September 7, 2020

ボルボ P1800が現代に蘇る! カーボンボディと420馬力エンジンを搭載した「P1800 シアン」デビュー - GENROQ Web(ゲンロク ウェブ)

Volvo P1800 Cyan

ボルボ P1800 シアン

ボルボのスペシャリストが手掛けた名車のリバイバル

スウェーデンのレーシングディベロップメント「シアン・レーシング(Cyan Racing)」は、1960年代のボルボを現代に蘇らせた「ボルボ P1800 シアン」を発表した。

シアン・レーシングは、ボルボやLynk&Coのモータースポーツ活動を担うほか、様々なスポーツモデルの開発も手掛けてきた。また、世界ツーリングカー選手権(WTCC)や世界ツーリングカーカップ(WTCR)に参戦し、数多くのタイトルを獲得している。

今回発表されたボルボ P1800 シアンは、高強度スチールとカーボンファイバーが組み合わせたボディ、オーナーの要望に合わせてカスタムメイドされるシャシー、最高出力420hpを発揮する2.0リッター直4ターボエンジンなど、魅力的なパッケージで販売される。

ボルボ P1800 シアンのエクステリア

1960年にデビューし、その洗練されたスタイリングが今なお高い人気を誇るP1800をベースに開発。基本設計は現代基準に改められながら、あえてプリミティブな操作系を採用してリリースされる。

シアン・レーシングの創立者であり、CEOを務めるクリスチャン・ダーリは、ボルボ P1800 シアンについて以下のようにコメントした。

「シアン・レーシングは、1996年にスウェーデンにおいてボルボでレース活動を行うために設立されました。今回発表したボルボ P1800 シアンは、その活動の一環と言えるでしょう」

「2017年、WTCCにおいてボルボで初のワールドタイトルを獲得し、その後、ヒュンダイやLynk&Coでもタイトルを手にしてきました。この初の世界王座獲得は私たちにとって大きなマイルストーンとなりました。そして、かつてボルボでレースを楽しんでいた人々と繋がりをもつべき時期にきたと判断したのです。このボルボ P1800 シアンには、私たちの伝統を象徴するブルーとイエローのレーシングカラーが採用されています」

ボルボ P1800 シアンのエクステリア

1960年代にチームが存在していたら・・・という「if」を現実化したシアン・レーシング。電動化、自動運転などが急激に進む現代にあって、あえて過去を振り返るプロジェクトを立ち上げた。

電動化の時代にあえて立ち止まり、過去を振り返る

オリジナルのボルボ P1800が発表されたのは1960年。ジャガー Eタイプの1年前、フェラーリ 250 GTOの2年前、ポルシェ911の3年前となる。

「ジャガーもフェラーリも、そしてポルシェも、すべてのモデルがその後に続いています。それが、今回のボルボ P1800 シアン開発のインスピレーションになりました。もし1960年代に私たちがレーシングチームとしてP1800でレースを戦っていたら・・・。そして、そのレーシングカーのロードバージョンをデザインしていたら・・・と考えたのです」

「私たちはレーシングカーのロードバージョンの製作経験があります。ボルボ C30、ボルボ S60 ポールスター、そして昨年発表したLynk&Co 03 シアンは、非常に大きな反響がありました。ボルボ P1800 シアンは私たち自身の解釈を込めて開発しました」

自動運転、電動化、コネクティビティの時代にあって、シアン・レーシングはあえてこれまでの技術を再定義し、時代を超越した存在を開発すべきだと考えたという。

「もちろん、最新のテクノロジー、快適性、豪華さなど、すべてを兼ね備えた電気自動車版のボルボ P1800を開発することもできたでしょう。でも、それは私たちが望んでいたものではありませんでした」

「このパラダイムシフトの真っ只中で、私たちは時間の歩みをスローダウンさせて、その一部を私たち自身のタイムカプセルのなかで冷凍保存することにしました。黄金時代である1960年代から最高のものを採り入れ、ピュアでありながらも洗練されたドライビング体験を保ちながら、私たちが持つ最新技術と組み合わせようとしたのです」

ボルボ P1800 シアンの走行シーン

1960年当時のピュアなドライビング体験を再現するために、シアン・レーシングはスタビリティコントロール、ABS、ブレーキブースターなどを、あえてボルボ P1800 シアンには採用しなかった。

1960年代のピュアなドライビング体験を現代に再現

ボルボ P1800 シアンの開発において、シアン・レーシングは、1960年代のデザインとエンジニアリングを慎重に再検討。注意深く技術をアップデートする方針を採った。シアン・レーシングの開発部門トップを務めるマティアス・エベンソンは、開発状況を以下のように説明する。

「開発においては、我々が持つエンジン、エアロダイナミクス、シャシー設計の専門知識が応用されています。1960年代の軽量かつ、アナログなドライビング体験を維持しながら、シアン・レーシングのエンジニアリング哲学である予測可能性とドライバーの直感的なコントロールが備わったクルマを開発することにしたのです」

そのため、ピュアなドライビング体験に介在するデバイス、例えばスタビリティコントロール、ABS、ブレーキブースターなどは採用されていない。

「ボルボ P1800 シアンは、ドライバーとタイヤ、そして路面との直接的なつながりを邪魔するものを排除しました。ピュアなドライブフィーリングをキープしつつ、現代最高の技術でそれを洗練させています」

ボルボ P1800 シアンのエクステリア

正確でシャープな走りを実現するため、シアン・レーシングはボディやシャシーに高強度スチールとカーボンファイバーを使用。990kgという極めて軽量な車重を実現した。

高強度スチールとカーボンにより実現した車重990kg

ベースとなったボルボ P1800から、トラックを拡幅化してホイールを大経化、さらにキャビンも拡大するなど多くの再設計が行われた。シアン・レーシングのデザイン部門責任者のオーラ・グランルンドは、ボルボ P1800のデザインについて以下のように説明する。

「ボルボ P1800のように象徴的なデザインを再解釈することは、大きな挑戦です。今回、オリジナルのボルボ P1800が持つ特徴を失うことなく、新しい技術を融合させることに成功したと思います」

ボルボ P1800 シアンは、1964年式のボルボ P1800をベースとしており、高強度スチールとカーボンファイバーを使用することで、ボディやシャシーを改良・強化した。

「正確でシャープな走りを実現するために、基本となるのがしっかりとしたボディ構造です。1960年代のクルマは当時のスチールの品質を基にしており、ある程度の“遊び”を許容しています。そのためこのようなコンセプトの理想からは程遠くなってしまいます」と説明するのはシャシー開発を担当したマティアス・エベンソンだ。

「オリジナルのシャシー構造を再設計しました。高強度スチールを使用することでシャシーの弱点を強化し、カーボンファイバー製ボディとシャシー構造を一体化させています」

この結果、車重はわずか990kgに収めることに成功し、シアン・レーシングが求める高い応答性を実現することになった。

ボルボ P1800 シアンのエクステリア

様々なエンジンが検討されるなか、WTCC用レーシングカーに搭載されていた2.0リッター直列4気筒ターボをベースとするエンジンを選択。最高出力は420hp、最大トルクは455Nmを発揮する。

WTCC用エンジンベースの2.0リッター直4ターボを搭載

フロントに搭載される2.0リッター直列4気筒ターボエンジンは、世界タイトルを獲得したレーシングカー「ボルボ S60 TC1」に搭載されていたエンジンをベースに開発。最高出力は420hp、最大トルクは455Nmを発揮する。

このエンジンはターボでありながら自然吸気エンジンのようにリニアなパワー&トルクカーブを実現するべく開発された。1960年代のような“ワイルド”な走りを実現しつつ、性能と精度を高めたエンジンキャラクターとなっている。

ボルボ P1800 シアンの開発にあたって、搭載エンジンはオリジナルのP1800に搭載されていた「B18」、レッドブロックの「B230」、直列5気筒や直列6気筒、そしてボルボの現在の主力エンジンである直列4気筒「VEA(ボルボ・エンジン・アーキテクチャー)」エンジンなど様々なタイプを検討したという。

「結果的に、効率的で軽量なVEAが、最高のベースエンジンになると判断しました。過去10年間、レーシングカーやパフォーマンスカーのために我々が開発してきたVEAエンジンの、様々な仕様での経験を活かすことができますからね」と、マティアス・エベンソン。このエンジンは2011年のボルボ C30に搭載されてWTCCでデビュー。2017年のWTCCタイトル獲得に大きく貢献したことで知られている。

「堅実な設計でありながら、非常に効率的な燃焼システムを提供するエンジンです。ボルボ P1800 シアンに適合させつつ、パワーバンド全域を通して出力を向上させています。ピークパワーは遅めに設定して高回転を多用しつつ、トルクが直感的にドライバーへと届くようにしました。これは我々のレース経験から得たセッティングを導入しています」

ボルボ P1800 シアンの走行シーン

前後の足まわりは、レース経験豊富なシアン・レーシングが開発したダブルウィッシュボーン・サスペンションを装着。ラップタイムを追求するのではなく、操る楽しさを追求したセッティングが採用された。

速いラップタイムでなく、ワクワクするドライブを実現

トランスミッションは、WTCCにギヤボックスを供給しているホリンジャー製の5速マニュアルを採用した。よりリニアなドライブを実現すべくLSDも搭載。足まわりに関しては前後サスペンションをシアン・レーシング製ダブルウィッシュボーンに変更している。

タイヤはフロントにピレリP Zero 235/40、リヤに265/35サイズを装着。ホイールは18インチ鍛造リムがチョイスされた。

2017年のWTCC王者であるテッド・ビョークは、ボルボ P1800 シアンについて以下のようにコメントしている。

「引き締まったシャシーと、レスポンスの良いステアリングによって実現したグリップと精度の高さには本当に満足しています。あなたが行きたい方向にダイレクトに向かってくれるでしょう。コーナーに進入時、ミリ単位で正確なラインをトレースすることができるはずです」

「速いラップタイムを目指すのではなく、楽しくワクワクするようなドライビングを実現するためのセッティングです。コーナーでドリフトの角度をコントロールするたびに、自然と笑顔が広がるのを感じます」

ボルボ P1800 シアンの走行シーン

レーシングカーや市販モデルの開発経験豊富なシアン・レーシングにとっても、ボルボ P1800 シアンのプロジェクトは大きなチャレンジになった。開発段階においてベンチマークとなったのはボルボ C30 ポールスター コンセプトだった。

ベンチマークとなったボルボ C30 ポールスター

シアン・レーシングの開発チームは、20年以上にも及ぶレーシングカー開発、そして10年以上のパフォーマンスロードカーの開発に携わってきた。この開発チームには、デザイン、エアロダイナミクス、エンジン、シャシー、エレクトロニクスのスペシャリストが集まっている。

「今回のボルボ P1800 シアンには、世界タイトルを獲得したボルボ S60 TC1シアンの設計、製造、開発に携わった多くのスタッフが参加しました。これまで我々が積み上げてきた開発経験の成果と言えるでしょう」と語るのはクリスチャン・ダーリ。

また、シアン・レーシングにとっては初のロードカープロジェクトだった、ボルボ C30 ポールスター コンセプトは、開発段階における様々な指標のベンチマークとなったという。

ボルボ P1800 シアンの価格、具体的な仕様は、購入希望者に直接伝えられる。

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September 07, 2020 at 09:55AM
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