
カワサキ ニンジャZX-25Rの心臓部として現代に蘇ったニーゴー並列4気筒エンジンは、過去のそれとは完全に決別。唯一無二の存在として最新の技術が惜しみなく投入されており、クラス最強の45ps、ラムエア過給時には46psを叩き出すハイパフォーマンスぶりを示している。
現代唯一の直4エンジンは期待以上のマジ仕様
ZX-25Rの注目ポイントは、何と言っても並列4気筒エンジンだ。最高出力は45ps。ラムエア過給時は+1psで46psを発生。ピークパワーは1万5500rpmで発生し、これは約1万2000rpm付近の2気筒勢に対し3000rpm以上も上。しかもレッドゾーンは1万7000rpmからで、レブリミッターが作動するのは1万8000rpm! エンジン自体のポテンシャルは海外仕様から50㎰まで行けることが判明しており、まだまだ力を秘めているのは間違いない。

現在ではクラス唯一となる直4ユニットは完全新設計。最新の電子制御テクノロジーも詰め込まれ、1万7000rpm以上までブン回せる。■水冷4ストローク並列4気筒DOHC16バルブ249cc ■ボア×ストローク:50.0×31.8mm ■圧縮比:11.5:1 ■最高出力:45ps/15500rpm ラムエア作動時46ps/15500rpm ■最大トルク:2.1kg-m/13000rpm
クラス史上最強のこのパフォーマンスを導くために投入された技術も、また250の域を超えている。高回転化を支えるためにボア×ストロークは50.0×31.8mmのショートに設定。そのピストンはアルミ鋳造で、アルミシリンダー内壁にはZX-10R/6Rと同じメッキ処理を実施。動弁系まわりも鍛造カムシャフトを採用したほか、排気バルブにはニンジャH2と同じ高額なインコネルを使用。吸気ポート出口は10R同様の2段階形状加工で吸入効率を高めている。他にも狭角28度というバルブ挟み角など、リッタースーパースポーツクラス顔負けのスペックから、このマシンの本気度がビシビシと伝わってくる。
エンジン本体だけでなく、補機類まわりもこれまた妥協がない。ECUにはZ H2と共通プラットフォームのユニットを使い、φ30mm大径スロットルバルブのFIはライド・バイ・ワイヤーで制御。これにより街乗りでの低中回転域トルクとスポーツ走行やサーキットでの鋭い高回転パワーを両立した。クラス初のトラクションコントロールまで装備している。クラス唯一となるニンジャH2譲りのラムエアレイアウトや、クイックシフターによって戦闘力が倍増するアシストスリッパークラッチなど、そのどれもが別格だ。

主要3軸はSS定番の三角配置ではないが前後長を極限まで短縮。さらに4気筒ながら2気筒並みの車幅を実現するなど、現代にふさわしい非常にコンパクトなエンジンに仕上がっている。

【過去計測データに重ねてみると、ZX-25Rはまさに別格】カワサキが公表したパワーグラフには数値が盛り込まれていない。そこでヤングマシン編集部が過去に計測した2気筒・Ninja250に重ねてみたものがこのグラフ。公称1万5500rpmのピーク回転数は2気筒勢より3000rpm以上も上だ。カタログ38ps&実測33psのCB250RR、カタログ37ps&実測31.5psの2気筒ニンジャよりはるか上なのは間違いない。しかも走行中はラムエアでさらにパワー上乗せだ。
●文:宮田健一 ●写真:カワサキモータースジャパン
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