2020年も残すところわずか。連載「西田宗千佳のイマトミライ」の西田氏と「鈴木淳也のPay Attention」の鈴木J氏を迎え、携帯電話や決済、ハードウェアなど、2020年にホットだった話題を振り返りながら、2021年に起こることを前・後編に分けて考察します。
前編は料金値下げや5Gなど話題の多かった携帯電話業界や、集約の動きが見えてきた〇〇Payやドコモ口座問題など、決済関連についての話題をお伝えします(聞き手:Impress Watch 臼田勤哉 執筆:甲斐 祐樹)。
対談は12月18日に実施。25日時点の情報に基づき追記しています。
前編:5Gとahamoショック、決済は“経済圏”の戦いに。
後編:PS5体験とスーパーアプリ。M1 Macが加速するニューノーマルPC(仮。28日掲載予定)
携帯電話料金値下げは「わかりやすさ」の一方今後の課題も
--この冬、一番ホットな話題といえば「携帯電話料金の値下げ」でしょうか。9月に菅政権が発足してから、かねてから持論の携帯電話料金値下げの圧力が高まり、秋に発表したばかりの料金プランの見直しを迫られる会社も出てきています。
その中でも一番キーになるのはドコモの「ahamo(アハモ)」でしょう。ドコモのネットワーク品質がそのままで、5Gにも対応。月20GB・2,980円というシンプルでわかりやすいプランです。ただし、手続きは「原則オンライン」というところもポイントでしょうか。
ドコモ、月額2980円で20GBの新料金プラン「ahamo(アハモ)」
西田:確かに携帯電話料金の複雑で、他のサービスに移りづらいという傾向があった。それを是正したいと、政府と総務省が思っていたのは事実だと思います。
ただ、その是正の方法は疑問があります。事業者同士が競争する環境を作ると思いきや、値下げが優先で、結果的には大手3社でいい、もっというとドコモだけでいいと思われかねないような政治的判断になったな、という感想です。多くの人にとって料金が安くなったことはプラスだとは思いますが、これで10年後に小さなMVNOがみんないなくなり、大手3社の寡占で価格が動かない、となったらどうするのか。
鈴木:NTTがドコモを完全子会社化して上場廃止したことで、財務状態がわかりくくなり、周りの会社から見るとブラックボックス化するおそれもあります。
NTT、ドコモを約4.3兆円で完全子会社化。料金値下げも検討
--消費者としては、たしかに料金表示がわかりやすくなりました。
西田:そこはプラスに捉えるべきで、さらにいえば携帯電話事業者も消費者を見るようになりました。先日発表されたauのプランは、期間限定や条件を多数つけて割り引いた価格が非常にマイナスに捉えられ、炎上して株価も下がりました。
au、5G料金プランはAmazonプライムがセットに。「最強のセットプラン」
その後ドコモも「5Gギガホ」の料金改定を発表しましたが、2019年にギガホを発表したときより価格表示がわかりやすくなっていました。こういう面で総務省等々の指導が効いた部分もあります。ただ、競争施策としての疑問は残ります。
また、携帯電話の料金には販売店を維持する費用も含まれていて、それは携帯電話契約に対するインセンティブのマーケティング費でもあります。その点で、ahamoのようなオンライン専用のプランは販売店が儲からないけど、販売店にサポートして欲しいという要望は来るという問題は全然解決していない。
携帯電話の代理店という巨大産業に関係する話でもあり、お年寄りやITが苦手な人の駆け込む場所をどうするかという問題でもあり、ドコモだけでなく大手キャリアが今後考える課題だと思います。
どうなる楽天モバイル
--ahamoもNTTドコモの値下げも2021年3月以降の施策なので、3月までに大きな変化があるのかもしれません。一方でサブブランドでの値下げを発表したauとソフトバンクや、ahamoに近いプランを展開している楽天モバイルについてはどう思われますか。
楽天モバイル、5Gサービス開始。2,980円の「Rakuten UN-LIMIT V」
西田:安さとシンプルさを売りにしていた楽天に対して、同じ値段でよりインフラが充実しているahamoが来てしまったことで、楽天モバイルのユーザーが激減する可能性があります。楽天は携帯電話の参入を辞めたら電波を返さなければいけないので、事業が苦しくなってきたからサービスを売却するということもできない。楽天がどうなるのかはもちろん、政府が楽天をどう扱いたいのかも見えていないので、非常に難しいですね。
鈴木:楽天モバイルは単体で美味しいビジネスではなくて、ポイントプログラムやカードと結びつける必要があるのですが、このような状況で楽天としてビジネスとして成り立つのか、というのは大きな課題だと思います。
一方でドコモはdポイントやdカードといった経済圏に力を入れていますが、楽天はすでに楽天ポイントでの経済圏を構築していて、さらにリアル店舗も増やしている。NTTドコモも楽天も、リアル店舗とオンラインという消費経済圏で、どこで接点を増やすかが戦いになっています。
--通信から来たドコモ、非通信からの楽天がその中間で戦っているということですね。価格改定について言及が少なく見えるソフトバンクはどうでしょうか。
西田:総務省からサブブランドではなくメインでやりなさいと言われてしまったので、メインの料金プランに手を入れてきましたね。ドコモと同様にデータ無制限で6,580円の「メリハリ無制限」のほか、LINEを全面に出した「SoftBank on LINE」(仮称)で、20GB・2,980円で手続きはオンラインのみという、ahamo対抗的なプランを発表しました。
細かく見るとメリハリ無制限は、テザリングなどは30GBまでなどの違いはありますが、期間限定の割引をなくし、価格をシンプルにするという点ではドコモに近いかたちになりましたね。
5Gは必然のスロースタート。本格展開は2021年
--2020年は5G元年と言われていたのが、新型コロナウイルスの感染拡大もあって弱含みのスタートになりました。5Gという大きなテーマに対して、料金プラン以外での5Gはどうだったでしょうか。
ついに始まった「5G」とその課題。時間と「4Gでのカバー」が当面必須
「5G秋の陣」に見るKDDI・NTTドコモ・楽天モバイルそれぞれの事情
西田:オリンピック延期で、2020年夏までにがんばってインフラを構築する必要がなくなってしまい、5Gスマホも外出しないから買わないという状況にある。5Gのスロースタートはコロナ禍が来た段階で必然でしょう。
では2021年もこのままかというと、コロナが落ち着いた時に5Gが普及していないと諸外国の対抗上困るし、携帯電話事業者としてもデータ通信をたくさん使ってもらわないといけない。人が外出していない間に一生懸命5Gのインフラを構築しよう、というのが2020年後半の5Gの印象です。特にiPhone 12が発売されて以降、少なくとも東京都内は急速に5Gのアンテナピクトが見えるようになりました。
鈴木:5Gの話題でもう1つ、KDDIがAWSとの協業で発表した「AWS Wavelength」は、携帯電話キャリアの5Gネットワーク内にAWSの設備を配置し、応答速度を上げることで5Gの特徴である低遅延を体感できる仕組みです。これが2021年に広がるでしょう。
「本物の5G・低遅延」へ。AWSとKDDIが実現する「AWS Wavelength」
西田:Wavelengthを使うと5Gの遅延は4Gに比べて半分になることがわかっていて、リアルタイムで動くボールの映像解析は4Gだと追いつかないけど5Gなら試合展開に追いつく、なんてことができる。まだ東京だけなのでそんなに事例は広がらないと思いますが、「5Gってこんなことができるんだな」というのが見えてくる可能性があります。
「本当の5G」を目指せ。5G+低遅延でAWSとKDDIが提携
--ユーザーは5Gの普及を待っていて、端末を買ったらいつの間にか5Gになっている、というのが理想的ですね。
西田:その点でauが新端末を全部5Gにするという形はとても正しい。ドコモも5G契約者のうちギガホを契約しているのは4割で、残りは5Gだからといってたくさんデータ通信したいわけじゃなくて、単に料金プランを切り替えたけどパケットは使わないから安い料金プランにしているというだけ。データ通信がたくさんできるから5G、というのは2021年夏以降の話でしょう。
auの5Gは「みんなの5G」 豊富なラインアップと新サービス
鈴木:ドコモはいま4Gでもキャンペーンで月60GBまで使えますが、ドコモに聞くとそこまで使っている人は数%にも満たないごく一部だそうです。実際、私もビデオ会議などで使っても20GBか30GBがいいところですね。
西田:総務省はほとんどの人が大容量プランに入ってもデータ通信していないという統計を発表しましたが、それは当たり前で、単に使い放題もしくはそれに近い大容量プランを利用したい、心理的影響が大きい。これからの料金はデータ通信量を気にしないか、料金が安い代わりにデータ通信量を気にし続けるかという2つのプランに分かれていくでしょう。それは4Gが5Gになっても同じ話だと思います。
「◯◯ペイ」が出揃い、陣営ごとの経済圏確立が進む
--通信サービスとある意味不可分な決済周りの話題は鈴木さんの分野ですが、還元祭で「◯◯ペイ」が盛りだくさんだった2019年から一転して、2020年は先駆者だった「Origami」がメルペイに買収され、メルペイがd払い連合に加わるなど、集約が進んできた印象です。
メルペイによるOrigami買収。「時間切れ」と「加速する市場」
鈴木:決済の文脈では、「◯◯ペイ」が出揃ったこと、電子マネー、とくにSuica陣営に動きがあったこと、そしてクレジットカード、主にVISAの逆襲という3つが大きなトピックでした。個人的には決済の出口としてのチャネルが揃ってきたことで全体像が見え、その次の動きも見え始めてきたのが2020年かな、という感想です。
西田:PayPayの還元が派手だったこともあって携帯電話事業者系の決済が注目を集めましたが、気が付いてみると2020年はクレジットカードがベースになっています。
鈴木:最近の還元は、自社のクレジットカードと紐付けないと大きな還元を受けられなくなっています。例えばLINEは3%還元ですが、これは Visa LINE Payクレジットカードと紐付ける必要があります。LINEのビジネスがアプリからカードに比重が移っていて、その上でLINEというアプリとどう連携するのか、がLINEの2021年のテーマでしょう。
これは他の事業者も同じで、楽天は楽天カードと楽天ペイに組み合わせて楽天経済圏をいかに回すかが重要ですし、ドコモもd払いやdカード、dポイント、そしてauはPontaと、事業者ごとにブロックができあがっています。
その中で特殊なのがメルカリで、ユーザー層に女性が多く、回る経済圏が特殊で生き残りやすいポジションにあり、独自の経済圏ができはじめている。
--事業者ごと経済圏としての競争が固まりつつあり、そのタッチポイントとしての決済の見え方に整理されている、というイメージでしょうか。その中で銀行口座の連携がどう位置付けられるかという話もありますが、夏にはドコモ口座の問題があり、銀行口座とわざわざ連携するよりクレジットカードでポイントを付けるような流れになっている印象があります。
鈴木:クレジットカードはうまく回っているように見えるけれど、コアユーザーは30~40代男性層であまり広がっていません。経済圏を広げるには若年層や女性層を開拓する必要があって、そのためにはクレジットカードオンリーではダメでしょう。LINEがプリペイドカードをリリースしますが、これはクレジットカードが使えない若年層をターゲットにしたものです。
LINE Pay、Apple Pay・iDに対応。Visa LINE Payプリペイド開始
銀行口座の話に戻ると、決済事業者としてはキャッシュイン(入金)はさせたいけど手数料がかかるキャッシュアウト(出金)は最低限にしたい、そうなると銀行口座と連携したいというのがあります。PayPayはそれを一番実践していて、PayPayの経済圏の中で加盟店が増えるとキャッシュアウトする必要がなくなります。本来は入金したらすぐキャッシュアウトするのがクレジットカードの常識なんですが、入金したまま使えば会計的にも問題はない。それがPayPayの目指すところですね。
本人認証の課題を浮き彫りにした「ドコモ口座」問題
--ドコモ口座は結局何が問題だったのでしょうか。
鈴木:銀行もドコモも、どっちも悪い、というのが正解です。
西田:地銀中心に使っている振替サービスの本人認証がザルで、それを使っているサービスの中で一番最初に目立ったのがドコモというだけで、あれは氷山の一角に過ぎない。
鈴木:銀行もドコモ口座も本人認証がイマイチで、銀行の本人認証って口座番号や誕生日とか簡単で誰でも推測できてしまう情報で、ドコモも本人確認をしていないから「この口座が使われた」ということはわかるけれど、使った人が安全かどうかを確認できていないという状況です。
西田:本来携帯電話は、本人であることを確認して契約していることが担保されているのが大前提だったはずが、5年くらい前から通信外収入を増やすために携帯電話キャリアがユーザーの開放を始めたことで、携帯電話回線を持っていない人が決済に使えるという仕組みができあがってしまいました。そして、開放したことで何が問題になるかが精査されなかった。
鈴木:銀行の本人確認は口座番号とか当たり前の情報しかなく、本当に本人かどうかはわからない状態です。本人確認を厳しくすると口座を使ってもらえなくなり、手数料も入らなくなるから銀行としてはやりたくない。ドコモも同じことで、本来は店頭での本人確認がオンラインではできない。eKYCなどの仕組みも進化してきたけれどまだまだ登録失敗があり、もっと簡単にできるIDと本人認証の仕組みが重要です。
西田:eKYCに使うIDで一番楽なのは免許証ですが、僕は免許を持っていない。じゃあマイナンバーカードは? と言われるんですが、これも面倒くさくて作っていなくて。カードを作る強いメリットがないと作らない。これが普通の人で、この面倒くささが改善されるのを見届けたい、という言い訳をしてマイナンバーカードの取得をサボっています。
鈴木:マイナポイントの5,000円程度では西田さんは動かない、ということですね。
西田:ポイントをもっと上げるか、もしくは簡単に受け取れる仕組みがないと作る気が起きないですね……。
デジタルIDとしての「マイナンバーカード」はこの後の普及が課題
-- その面倒くささこそが本人確認につながっている、という逆接的な面もありますが、デジタルID問題の解決策の1つとしてマイナンバーカードは使われうるのでしょうか。
鈴木:免許証や保険証として使おうという話が出てきているので、今後はマイナンバーカードの情報をどのように使っていくべきかという議論が出てくるでしょう。ただし、免許証の一体化はまだ先ですし、免許証がゴールドの人は次の更新まで時間がかかるので、これは10年単位の話になります。
また、マイナンバーカードの発行枚数は3,000万枚と人口の1/4程度で、ここから人口の半分近くまではいっても8、9割に近づけるのはとても難易度が高い。マイナンバーカードを使わせるモチベーションや、強制化するドライブみたいなものが必要です。
西田:個人的にはスウェーデン式で、すべて国がやってくれて、確定申告は書類をチェックするだけで終わりくらいになるといい。
鈴木:スウェーデンは情報がフルオープンだからこそ透明性が確保できて、一気通貫で納税までできるという仕組みができているので、それを日本人が受け入れられるかというと難しい気がしますね。
Suicaのクラウド化でQRコード対応が実現。広がる交通系ICの可能性
--決済の話に戻すと、Suicaに関しては今年いろいろ動きがありました。
鈴木:モバイルSuicaやApple Payの対応に続いてようやくモバイルPASMOが出てきて、まだ発表だけですがモバイルICOCAも出てきました。ICOCAの場合はMaaSがメインで、ICOCAはおまけに近いようですが、電子マネーにおいてSuicaのような交通系ICが主役になるのは今後10年変わらない、というのは間違いないでしょう。
PASMO対応で注目を集める「Apple Pay」と世界の交通系ICカード
技術的にはICカードのクラウド化が進んでいます。QRコード改札はクラウドがないと実現できないので、今後どんどんシフトしていくでしょう。
--Suicaのクラウド化によるユーザーのメリットはどのあたりになるのでしょう?
鈴木:QRコードはその1つですね。今までは磁気切符をかわなければいけなかったのが、QRコードならスマホ表示やプリンタ印刷など応用例が広がります。もう少しすれば、スマートフォンで券を買ったらどこでも周遊できるようになる。
西田:周遊券がQRコード化することで、周遊券のエリア外に出たときには店舗のクーポンや決済と連携する、といった組み合わせがMaaSの本質で、QRコードといままでの決済との連携をどう考えるのかがやっと見えてきました。
タッチ決済によるクレジットカードの逆襲
--クレジットカードの逆襲というテーマが上がっていましたが、これはどういう意味でしょう。
鈴木:クレジットカードのタッチ決済ですね。日本では明確化されていませんが、来年にはクレジットカードのIC化が必須になり、それによってタッチ決済が標準で付いてくるようになります。そこで少額決済を現金からタッチ決済に置き換えていこうと必死にキャンペーンを展開しているのがVISAです。
ただし、日本のクレジットカードは、1つのクレジットカードに複数のブランドが載っていてどれを使うか、という問題があります。海外では磁気ストライプとIC、タッチ決済のどれを使ってもいい。これに対して日本はおサイフケータイの流れで、店員さんが決済方法を操作する必要があるため、どの決済を使いたいかを店員に伝えなければいけない。
店でのクレカ決済、カード取り扱いに統一性ないの気になりません?
テクニカルな話でいうと、Apple Payはプライマリカードを選択して自分の決済手段を選べるのですが、日本ではMastercard コンタクトレスとQUICPayの両方が使えてしまい、それを店員が選ぶというオペレーションが発生してしまう。
西田:古い話になりますが、Apple Payを作る時に日本のおサイフケータイの文脈にある決済をどう扱うかがすごく大きな問題で、無視してもいいけどそれでは日本で受け入れられない。禍根が残るのはわかっていたけど日本の独自仕様にしたのがこの結果で、無視していれば誰も使わないものになっていたでしょう。
--クレジットカードが逆襲している感がなくなってきましたが、クレジットカードは日本でも伸びているという話があります。コンビニエンスストアの7割で使えて、利用は昨年比15倍だとか。
鈴木:日本の決済の8、9割はクレジットカードで、いまだに最大ではあるのですが、もう1つの課題として日本ではデビットカードが普及していない。諸外国は6、7割、多いと8、9割は使われているのですが、その理由として日本のクレジットカードがほぼデビットカードのような使われ方をしているというのがあります。
西田:クレジットカードは長期間借金させるための仕組みなんだけど、日本は借金せずに翌月確実に引き落とす文化になってしまったので、デビットカードの価値があまり見えないですね。
鈴木:クレジットカードは与信が必要だから若年層が使えないという課題もあります。最近はコロナ禍の影響でオンライン決済が増えていますが、有名人のコンサートでクレジットカードがなくて決済できない子が続出するという話がありました。若年層にどう使わせるかというとプリペイドカードを強化するしかない、では与信を誰が保証するかというところで自分たちが保証します、というのがLINEの方針です。
--その点、2020年のトピックとして、メルペイのスマート払いやPayPayのあと払い、Paidyなど、“後払い”も注目された印象もあります。若年層がカードを持たない問題と、信用を個別に付けていこうというのが2020年はかなり増えた印象です。
鈴木:我々のように欲しいガジェットがあるとクレジットカードで10万20万と使うのは例外で、普通のクレジットカードは月数万円くらいで与信枠もそんなに必要ないんですね。後払いサービスも月の利用は5万円程度と少額なようです。
--カードローンに近い印象ですね。
鈴木:メルカリがわかりやすくて、出品されたものをその場ですぐに購入したいから臨時でちょっと借りるというイメージ。メルカリのスマート払いも多くて“数万円”程度ですぐに返せる手軽な若年層向けの金融サービスが広まりつつあります。
金融事業を強化。「楽天を目指す?」携帯電話キャリア
--:モバイルの話では楽天がモバイル参入という話題がありましたが、逆にauが金融に力を入れたり、PayPayやZホールディングスがシナリオ金融構想を発表したりと、キャリアがウォレットや金融に向かっていて、キャリアが楽天を目指すような流れもあるように見えます。
西田:携帯電話事業が10年前、15年前のようにまだまだユーザーが増えていたころは携帯電話事業だけでやっていけるのですが、ここからは日本の人口も減っていくし、ユーザー数も行き着くところまでいった。一方で総務省には値段下げろといわれ、通信サービスはどんどんスピードが上がって使い放題になっていってそんなにお金が取れない。とするなら顧客に対してどんなサービスを提供して収益を高めるかというと生活密着型しかない、つまりは金融だよね、という。
鈴木:一方で既存事業者との競争もあって、ドコモはdポイントで楽天とガチンコ勝負になっている。KDDIのPonta提携は、彼らとしては後発なので、強いリテールと組んでいこうということでしょう。
西田:そういう意味ではソフトバンクはうまくPayPayをやりましたね。
鈴木:あれは力というか人海戦術ですね。
西田:人とお金を出してバーンとやる、という正攻法でうまくやったなと。
PayPay銀行やPayPayカード誕生。ZHDの金融をPayPayブランドに
次回「PS5体験とスーパーアプリ。M1 Macが加速するニューノーマルPC(仮)」に続く(12月28日公開予定)。対談のPodcast(β版)も後日配信予定です。
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