【2000年式 ホンダ シビック タイプR Vol.3】
タイプR専用のB16B型は、SiRに搭載されたB16A型を基本に、インテグラ・タイプRに搭載されたB18C型のブロックや多数の専用部品を使い、高回転&高出力化を狙って開発された。
このような徹底したチューニングを施すことで、SiRと比較して最高出力15ps、最大トルク0・3kg‐mアップ。リッター当たり116psというハイスペックを実現したのだ。もちろん、数字では表せないフィーリングも大幅に向上しており、レーシングユニットのようなハイレスポンスを堪能できる、珠玉のエンジンに仕上げられている。
ただし、エンジンのパワーが向上しても、そのパワーを生かせるボディやサスペンションを持ち合わせていなければ意味がない。そこで、タイプRでは、アルミ製ラジエーターの採用、遮音材の廃止、トランク内の内装など、徹底的な軽量化が施された。また、ハッチバックのウイークポイントといわれるテールゲート周辺を徹底的に強化。さらに、サスペンション取り付け部にも補強を施し、各所にパフォーマンスロッドを追加することで、強固なボディとパワーを生かす足回りを造り上げている。もちろんショックアブソーバーやスプリング、ブッシュなどもチューニングされているのはいうまでもない。
エンジン、ボディ、サスペンションとトータルでチューニングすることにより、タイプRのポテンシャルは飛躍的にアップしたのだ。そして、デビューから15年近くたった現在でも、ジムカーナやダートトライアルなどのモータースポーツでいまだにトップクラスの実力を発揮していることから、その戦闘力の高さがうかがい知れるはずだ。
たしかに、絶対的な速さでは後に登場するEP3やFD2のタイプRにはかなわない。しかし、1tちょっとのコンパクトなボディをガンガン振り回せる楽しさは、EK9のタイプRでしか味わえない特権なのではないだろうか。
タイプRの証しでもある赤いヘッドカバーが採用されるエンジンルームなど【写真7枚】
シビック タイプR・X(EK9)主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 4185×1695×1360
ホイールベース(mm) 2620
トレッド(mm) 1480
車両重量(kg) 1090
エンジン型式 B16B型
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC
総排気量(cc) 1595
ボア×ストローク(mm) 81.0×77.4
圧縮比 10.8:1
最高出力(ps/rpm) 185/8200
最大トルク(kg-m/rpm) 16.3/7500
変速比 1速3.230/2速2.105/3速1.458/4速1.107/5速0.848/後退3.000
最終減速比 4.400
ステアリング ラック&ピニオン式
サスペンション ダブルウイッシュボーン式(前後とも)
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 195/55R15(前後とも)
発売当時価格 219.8万円
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