Tuesday, August 31, 2021

ポルシェ開発トップ「CO2排出、問題はエンジンではなく燃料だ」 - 日経ビジネスオンライン

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 世界の自動車業界を揺さぶる米テスラが意識しているのが、独高級車メーカーのポルシェだ。テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は、6月に電気自動車(EV)「モデルS」の上位機種を発表した際に、「どんなポルシェよりも速い」とツイッターに投稿した。ポルシェは販売台数は少ないものの、フォルクスワーゲン(VW)グループのブランド別の稼ぎ頭であり、テスラはその優良顧客の切り崩しを図っている側面がある。

 対するポルシェも手をこまぬいてはいない。2020年に初のEV「タイカン」を発売し、EVシフトを加速している。21年1~6月期のタイカンの世界販売台数は、前年同期比4.4倍となる1万9822台だった。これは独アウディのEV「eトロン」に迫る台数だ。

 ただし、同社には「911」などガソリン車に対するファンが多い。ポルシェは既存のファンを守りつつ、どのように新ジャンルのEVを開発し、新たな顧客を獲得していくのか。同社の隠し玉とも言える水素を利用した合成燃料の開発の狙いは何か。同社のミヒャエル・シュタイナー研究開発担当取締役に話を聞いた。

ミヒャエル・シュタイナー氏
独ダイムラーを経て、2002年に独ポルシェ入社。16年から現職

EV「タイカン」の販売が伸びています。EVを開発した狙いは何でしょうか。

シュタイナー氏:タイカンの主な目標は、ポルシェでもEVが作れることを証明し、真にサラブレッドなEV車を生み出すことでした。市場と顧客が支持し受け入れてくれたモデルだと感じています。当初は顧客も警戒していたかもしれませんが、もうそうではなくなりました。

ポルシェを代表するスポーツカー「911」とタイカンは、いずれも1000万円を超える高級車で、モデルごとの価格帯は近くなっています。EVは電池コストが高いので、ガソリン車のように利益を出すのは難しそうです。EVが従来の車と同じ程度の利益を得るには、どのくらいの時間がかかりますか。

シュタイナー氏:どの製品も利益を得られるものでなければなりません。それは必須です。正確な数字は申し上げられませんが、タイカンではすでに利益を出しています。一方で、大まかに言えば、現時点ではほとんどのエンジン車の利幅は、まだEVより大きい状況です。ただ、この10年でその状況は変わります。

 10年以内に電池単体であるセルのコストが下がり、利益率には変化が出てくると確信しています。欧州連合(EU)の新しい燃費規制とユーロ7(排ガス規制)の導入を待ち遠しく感じています。この規制により、燃焼エンジンは(規制対応が必要になり)さらに高価になりますから。

 プラグインハイブリッド車(PHV)は、燃焼エンジンに加えて電池が必要ですが、EV用の電池より小さくて済みます。ただ、そうした車でもエンジンから様々な種類のガスを排出します。EVの利益率がPHVと同じぐらいになるかは、排ガス規制に左右されるでしょう。将来的にPHVの利益率がエンジン車と五分五分になることも、少なくとも私たちが考える限りでは、10年以内に起きると思います。

ポルシェ初のEVである「タイカン」の21年1~6月期の世界販売台数は、前年同期比4.4倍となる1万9822台だった。

EVのコストが下がるまで、EVの販売が伸びるほど利益率が低くなる可能性があります。ポルシェを含むVWグループは、こうしたジレンマを抱えていると思います。

シュタイナー氏:移行期間では利益率はまだエンジン車の方が勝っています。EVの生産量が上がり、エンジン車の生産量が減れば、それは変わるでしょう。

 誰も確かなことは分かりません。ただ、これが我々の理解であり、ここから目標を導きだしています。さらに、これは利益だけでなく、サステナビリティーの問題でもあります。ポルシェは(地球温暖化対策の国際枠組みの)パリ協定に大変真剣に取り組んでいます。私たちの目標は、さらにそれを超え、2020年代の終わりまでにカーボンニュートラルを達成することです。

 2030年には、ポルシェのすべての製品はカーボンニュートラルになっているでしょう。また、生産工程やバリューチェーンにおいてもカーボンニュートラルとなるように働きかけています。

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