Saturday, August 28, 2021

【ヤマハ MT-09 試乗】エンジンを回すことがとにかく楽しくてたまらない…丸山浩 - レスポンス

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ヤマハの3気筒ネイキッド、『MT-09』が3世代目に進化した。異質な造形のヘッドライトまわりなど、凝った外観デザインにまず目を奪われる。ただ、私としてはちょっとここまでやらなくてもという思いも。と言うのも、MT-09をあまりよく知らない人に私が外観よりも一番見てほしいと感じたのは、そのエンジンだからだ。

排気量アップはロングストローク化で実現

ヤマハ MT-09 STDヤマハ MT-09 STD
このエンジンは、3気筒の良さ・楽しさをとことんライダーに伝えるためにパワーフィーリングであるとか音であるとか、それはもうありとあらゆる面で練り込まれている。

低回転域では2気筒のような鼓動感を楽しませながら、回転を上げていくにつれてモリモリとパワーが立ち上がっていき、高回転域に入るとロケットのような爆発的加速感…というのが3気筒のフィーリングなのだが、これに新型では排気量アップも加えられた。

排気量アップはロングストローク化で実現されており、低速域から高速域に至る全域でトルクが上乗せされ、さらにこの3気筒らしいフィーリングが強調されるようになっている。

エンジンを回すことがとにかく楽しくてたまらない

ヤマハ MT-09 STDヤマハ MT-09 STD
さらに、新設計された吸排気系まわりによってサウンド面でもトルクフルなパワー感を演出。真下に向いたマフラーが独特の反響で加速音を響かせ、燃料タンク左右のエアスクープから吸い込む空気のモゾモゾっとした感触が音とともにダイレクトに伝わってくる。

エンジンを回すことがとにかく楽しくてたまらない。この楽しさをどんどんブラッシュアップしてきたのが歴代MT-09だが、中でもこの新型は最高のエンジンに仕上がっていると言っていい。

安定感とロケットような加速を両立

ヤマハ MT-09 STDヤマハ MT-09 STD
このエンジンを活かすための車体がまた秀逸だ。初代『MT-09』はドーンとパワーが出てピッチングも激しい、いわば暴れん坊だった。最初は3気筒の凄さをアピールするためにそれで良かったのかしれないが、知名度が広まった2代目でピッチングを抑える方向に。

そして、今回はフレームもフルチェンジすることで、3気筒フィーリングを最大限に活かして走れるようにより磨きがかけられた。6軸IMU(車体姿勢センサー)を導入した電子制御も進化したことで、暴れん坊だった初代から比べると、この3代目では全体的に前後輪をしっかり接地させながらロケットような加速を存分に見せてくれる非常にバランスのいいものへと生まれ変わっている。

比較的リーズナブルな車両価格も嬉しい

ヤマハ MT-09 STDヤマハ MT-09 STD
また、この加速フィーリングやハンドリングの向上には、回転塑性加工を用いた超軽量&高強度の新型ホイールを用いていることも見逃せない。なにしろ馬力アップ、排気量がアップしたのに車重自体は従来よりも軽くなっているのだ。

3気筒を楽しませるために、細部に至るまで進化した新型MT-09。これだけ楽しめてSTDでは110万円という比較的リーズナブルな車両価格も嬉しい。刺激的なバイクが欲しいライダーには、オススメの1台となるお買い得なマシンとなっている。

ヤマハ MT-09 と丸山浩ヤマハ MT-09 と丸山浩

■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★
足着き:★★★
オススメ度:★★★★

丸山浩|プロレーサー、テストライダー・ドライバー
1988年から2輪専門誌のテスターとして活動する傍ら、国際A級ライダーとして全日本ロード、鈴鹿8耐などに参戦。97年より4輪レースシーンにもチャレンジ。スーパー耐久シリーズで優勝を収めるなど、現在でも2輪4輪レースに参戦し続けている。また同時にサーキット走行会やレースイベントをプロデュース。地上波で放送された「MOTOR STATION TV」の放送製作を皮切りに、ビデオ、DVD、BS放送、そして現在はYouTubeでコンテンツを制作、放映している。また自ら興したレースメンテナンス会社、株式会社WITH MEの現会長として、自社製品、販売車両のテストライド、ドライブを日々行っている。身長は168cm。

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