VR30DDTTはECU+排気チューンで550馬力が狙える
新型Zは約束されたチューニングベースだ!
世界中の注目を集める中、ニューヨークの特別イベントで発表された新型フェアレディZの北米市販モデル。チューニング業界の反応を見るかぎり、発売後は歴代モデル以上のスピードでチューニングが進んでいくだろう。
その大きな理由のひとつがパワーユニットだ。新型Zが搭載するエンジンはVR30DDTT型で、これはスカイライン400Rに採用された3.0LのV6ツインターボそのもの。最高出力も405㎰/48.4㎏mと変化がないことから、タービンや補機類の構成はイコールと考えていい。
もちろんノーマル状態でも十分パワフルなのだが、このエンジンの凄さは異常なまでのチューニング適合度の高さにある。
デリバリー直後にスカイライン400Rをデモカーとして導入し、新世代3.0Lターボエンジンの可能性を追求し続けている“フェニックスパワー”の横山代表は語る。「VR30DDTTのポテンシャルは凄いですよ。ライトなECUチューンのみで簡単に500ps超えるんですから」。
その言葉に嘘偽りはなく、同ショップのテストでは、エンドマフラー+ECUチューンという初歩的なチューニングアプローチで539.17ps&85.61kgmを実測で記録している。
「ECUにはタービン回転などのパラメーターもあって、一筋縄ではいかない部分がありましたね。最大ブーストは1.45キロの設定ですが、この辺がストリート仕様のベストって感じです。ここから先はタービン交換の領域になりますが、必要ないです(笑) めちゃくちゃ速いですから」と横山代表。
続けて「唯一のネックは吸気温度です。VR30DDTTのインタークーラーは空冷式ではなく水冷式。高負荷をかけ続けるとフェイルセーフが介入するレベルまで温度が上昇してしまうんです」。
ちなみに、水冷式は空冷式に比べて「車速や走行風に影響されずに温度を安定させられる」「空冷と比べると同じパワーに対してコアを小さくできる」「コア設置場所の自由度が高い」など多くのメリットを持っているものの、構造的にキャパシティアップ等のチューニングが難しかったりする。
現状、アフター市場にVR30DDTT用の大容量インタークーラー(水冷式)は存在せず、インタークーラーの空冷化はコストまで含めると現実的ではない。そこで横山代表は、ECU側からこの問題に立ち向かった。
具体的なアプローチは“各ギヤごとのブースト制御の見直し”なのだが「根本的な解決にはなりませんが、スロットル制御の介入を抑えるプログラムは構築できました」とのこと。
それと同時にさらなるパワー増強チューンにも着手。エキゾースト環境をトラストのキャタライザーとパワーエクストリームRマフラーで統一。キャタライザー導入の効果は非常に大きく、ピークで40ps近い出力向上を実現したという。なお、現状の最高出力はブースト1.6キロ時に561psである。
「新型ZのECUは400Rがベースとなることは間違いありません。となると、チューニングは物凄いスピードで進化していくでしょうね。内外装のデザインも良いし、発売が本当に楽しみです!」。
明確な発売時期や価格等はまだ公表されていないが、それも近いうちに判明するだろう。ともあれ、チューニングシーンを活性化させる新世代FRスポーツとして、センセーショナルなデビューに期待したい。
●取材協力:フェニックスパワー 福井店:福井県坂井市丸岡町朝陽2-317 TEL:0776-67-2980/京都店:京都府久世郡久御山町佐古外屋敷37-2 TEL:0774-48-1157
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フェニックスパワー
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