Monday, November 23, 2020

新型コロナ:「イエレン長官」で財政・金融連携 コロナで強力布陣 - 日本経済新聞

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次期財務長官に起用される見通しのイエレンFRB前議長=ロイター

次期財務長官に起用される見通しのイエレンFRB前議長=ロイター

【ワシントン=河浪武史】米大統領選で当選が確実となったバイデン前副大統領(民主)は、財務長官に米連邦準備理事会(FRB)前議長のジャネット・イエレン氏(74)を起用する方針だ。追加の財政出動へ強力な布陣を整え、低金利政策を敷く中央銀行との連携を強める狙いもある。

バイデン陣営は、週内にも財務長官人事を正式発表する。就任には連邦議会上院の承認が必要になる。次期財務長官は巨額のインフラ投資を軸とした「バイデノミクス」の最重要ポストだ。FRB議長として十分な実績があるイエレン氏を登用して、経済政策全般の司令塔を委ねる。

イエレン氏はオバマ大統領(当時)の指名で2014年から4年間、女性として初めてFRB議長を務めた。財務長官としても初の女性起用となる。

クリントン政権時代には、ホワイトハウスのチーフエコノミストである米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長も務め、経済界・政界ともに深い人脈がある。景気や雇用の立て直しを最優先するバイデン体制にとって、イエレン氏の登用は目玉人事となる。

真っ先の課題は、追加の新型コロナウイルス対策の発動だ。イエレン氏は16日の討論会で「金融政策は既に利下げ余地がなく、財政政策が極めて重要だ」と追加財政出動を求めていた。民主党は2兆~3兆ドルの財政出動案を既に議会に提示。失業給付の積み増しのほか、家計への現金給付なども計画する。米経済は失業対策など公的支援が相次いで切れる「財政の崖」の直面している。景気の失速を回避するには、素早い財政出動が不可欠となる。

FRB議長経験者がホワイトハウスに転じる例は過去にもある。1979年に当時のミラー議長がそのまま財務長官に横滑りした。1980年代の「インフレ退治」で知られたボルカー元議長も、オバマ前政権時代にホワイトハウス入りし、金融危機で傷んだ銀行システムの改革役を担った。

ただ、バイデン体制がイエレン氏を登用するのは、財政政策と金融政策の連携を一段と強める必要があるためだ。バイデン氏は4年で2兆ドルという過去最大規模のインフラ投資を公約する。社会保障費などの積み増しも含めれば、歳出増は10年で10兆ドル規模とされ、1930年代の「ニューディール政策」以来の大型投資となる。

連邦政府債務は既に27兆ドル弱と国内総生産(GDP)比で130%を超す。長期金利は歴史的な低水準にあるが、ひとたび金利が上昇すれば、連邦政府の利払い負担も跳ね上がって財政悪化は止まらなくなる。「バイデノミクス」の実現には、FRBの低金利政策の維持が不可欠だ。

イエレン氏はFRB議長時代、金融緩和に積極的な「ハト派」として知られてきた。パウエル議長らFRBの現執行部は、イエレン氏の「部下」として仕えたメンバーが多く、財務長官候補に挙げられたブレイナード理事も「ハト派」と評される。トランプ政権はFRBとの摩擦が絶えなかったが、財務長官にイエレン氏が就けば、中央銀行と低金利政策で連携しやすくなる。

バイデン氏は主要7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)を軸に、国際協調体制の立て直しも目指している。トランプ政権は友好国にも制裁関税を発動するなど、グローバル市場の波乱要素となってきた。イエレン氏は海外の財政当局や中銀のトップとも深い人脈があり、国際金融体制の再構築にも適任だ。

金融政策の「ハト派」はドル安を求めがちだが、イエレン氏の基軸通貨ドルに対する姿勢が今後の1つの焦点となる。

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