ズームの純利益は8~10月期に前年同期の90倍になった(写真は19年のイベント)
【シリコンバレー=佐藤浩実】ビデオ会議サービス「Zoom」を運営する米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズは11月30日、2020年8~10月期の純利益が1億9844万ドル(約210億円)だったと発表した。新型コロナウイルス下で企業の利用が定着し、前年同期の90倍に増えた。
売上高は同4.7倍の7億7719万ドルだった。増収の最大の要因は企業との契約拡大だ。従業員10人超の企業・団体との契約数は43万3700件。前年同期の5.9倍で、5~7月期に比べても17%増えた。年間の契約規模が10万ドルを上回る大企業の利用数は1289件で、初めて1000件を超えた。このほか、基本機能だけを無料で使うユーザーもいる。
コロナを巡る状況が一進一退を繰り返すなか、ビデオ会議を利用し始めた企業が契約を継続・拡大している。地域別では、5億3850万ドルの売り上げがある米州が全体の7割を占めた。日本を中心とするアジアの売り上げは1億350万ドル。欧州やアジアで営業活動を強化しており、米国外の売上比率が徐々に高まっている。
ズームはセキュリティー対策に集中する期間を終えた6月末以降、新機能の開発を急いでいる。10月にはズーム上でファイル共有など他社のサービスを利用できる仕組みを発表した。
21年1月期の通期業績予想は売上高が25億7500万~25億8000万ドルと、3カ月前から上方修正した。
コロナの状況は世界で異なるものの、感染が急増している米国では再び外出規制の強化に動く自治体が増えている。ズームの株価はワクチン開発のニュースで上げ下げを繰り返しているが、年初から30日までに7倍近い水準になった。同日の時間外取引では終値を下回って推移している。
ズーム同様に在宅勤務を支えるサービスでも、ビジネスチャットの米スラック・テクノロジーズは収益化に苦戦している。同社は25日にIT(情報技術)大手の米セールスフォース・ドットコムによる買収交渉が報じられた。停滞していた株価が報道後に急騰しており、成長率や収益性によって市場の評価は割れている。
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