● 日本政府に反旗? 豊田章男自工会会長の発言 日本の自動車産業を率いる日本自動車工業会(自工会)の豊田章男会長が「日本政府の2030年代半ばまでに新車販売を電動車に切り替える方針に“反旗”を翻す発言」との報道が大きな波紋を呼んだ。 その発言は豊田章男会長が17日、メディアとのオンライン懇談会に臨んだ際に出たものだ。 恒例の年末会見でなく、懇談会という形で、自由な質問に豊田章男会長が答えた。その際の質問の多くが、2050年までに温暖化ガスを実質ゼロにするという、菅政権の「カーボンニュートラル」目標を巡る日本車の脱エンジン車・EV転換に関するものだった。 菅政権が掲げる2050年カーボンニュートラル宣言は、いわば国際公約であり、これにともない政府は「グリーン成長戦略」を25日に発表するが、その中で「30年代半ばに新車販売は電動車のみとする」ことが盛り込まれる。また、東京都の小池知事は「30年までに都内で販売される新車を電動車に切り替える」という方針を示した。 これに対し、懇談会で豊田章男自工会会長が発言した「国のエネルギー政策の大変革なしにはできない」「(日本の)自動車産業はギリギリのところに立たされている」との内容がクローズアップされた格好だ。
政府の50年カーボンニュートラル目標に向けて、走行中にCO2が発生するクルマのゼロエミッション(無公害)車化=脱ガソリンエンジン・ディーゼルエンジン車への切り替えについて問われた豊田会長は、「日本自動車業界も全力でチャレンジする」とした上で、「画期的な技術のブレークスルーなくして一気に進めるのは難しい」とも述べた。加えて「欧州・米国・中国と同様の政府による政策的・財政的支援を要請したい」と、日本も国策としての支援・連動が必要であることを強調したのだ。 特に豊田会長が、自動車のカーボンニュートラル化には自動車の走行にかかわるすべての段階、ウェル・トゥー・ホイール(Well to Wheel、油井から車輪まで)で発生するCO2をゼロにする必要があること、また電力をカーボンフリーにするには火力発電の比重が高い日本のエネルギー政策を大変革しないと、日本国内での自動車生産が不利になることを重ねて述べたため、「“ガソリン車禁止”に反旗」といった見出しが躍ったのだろう。 そもそも「EV大転換」という言葉が先行しているが、必ずしもすべての車がEVに切り替わるということではない。豊田会長が、日本の乗用車400万台がすべてEVになると電力不足になるという懸念を表明したことも、「反旗」と報道される要因となった。 また、日本市場には欠かせない存在で、独自の規格でもある軽自動車のEV化について聞かれた際には、「軽は、日本の国民車で地方のライフラインだ。CASE・電動化でも軽の存在感を」と、日本の自動車産業全体の電動化の方向にも配慮を示した。 最近、世界的に「EVシフト」が進むと言われるが、電動車とは動力源に電気を使うクルマの総称である。必ずしも電気自動車(バッテリーEV=BEV)だけでなく。ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)のほか、水素を燃料とする燃料電池車(FCEV)がある。 世界主要各国の新車販売を電動車に切り替える方針の期限については、概ね30年代から40年という格好で出そろった。ここでいう電動車には、これら4種類が含まれている。 豊田会長も「4つの電動車の中でどうカーボンニュートラルに向かうか、日本の生きる道を目指して軽自動車や二輪車や大型車(トラック)含めて全体でチャレンジしていく」と結んだが、質問の中でEV転換に対し「電動化イコールEV化ではない」との説明に長い時間を割いたのが、「政府に反旗」の誤解を与えてしまったことも否めない。 いずれにしても電動車とは「電動駆動車」ということであり、モーターとエンジンの併用のハイブリッド車も含めて、ゼロエミッション車への切り替えには段階を踏んで行くのが「世界的な流れ」であろう。
からの記事と詳細 ( 豊田章男自工会会長、脱エンジン車に「反旗発言」報道の真意とは(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース )
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