エンジン関連修理・整備[2021.03.29 UP]
HONDA S600のエンジン全バラ&OH! その9
ホンダAS-E用エンジンスタンドに載せられたオーバーホール済エンジン。ポイントユニットにデスビカバー+ハイテンコードがレイアウトされ完成形に!!
コンプリートエンジンは空冷仕様で始動チェック
一般的な自動車エンジンのオーバーホールとはまるで異なる、ホンダAS系エンジン特有かつ 唯一無二のリビルド作業。ホンダスポーツ独自の世界には、ホンダスポーツ独自の技術が 必要なことが垣間見えたと思うが、いかがだろう。同シリーズモデルを気持ち良く楽しむためには、 そのシリーズエンジンに対応したリビルド&メンテナンステクニックが必要なのも御理解頂けたはずだ。 それにも増して、今回のエンジンリビルドメニューには「フルレストア要素」も含まれている。 ご覧のようにエンジンは、新品と見間違えるほど美しい仕上がりになった。
ぼく(たぐちかつみ)が本田技研工業の生産技術部門であるホンダエンジニアリングに勤務していた当時(本田技研狭山製作所内に所在)、正門前の駐車場にはAS-E型エンジンを搭載したシリーズモデルで通勤していた従業員がいた。80年代初頭、S800、S800M、S600クーペ、L700などを見られる日もあり、空冷エンジンのN360やホンダZ、1300の77Sは、数多かった。意外と珍しい水冷クーペ145インジェクションも目撃できた。狭山製作所内の川越市側にあるホンダパーツセンター本社前には、軽トラのTN360クローラー(キャタピラ仕様車)が常時駐車され、降雪時は除雪で大活躍していた。
ホンダが四輪車の生産を始めた当時、生産拠点は唯一、狭山製作所だった。エンジンの生産は、埼玉製作所大和工場に始まり、市町村合併後は、和光市の和光製作所が引き継いでいる。
当時、ぼくが所属していた職場は、様々な現場で経験を積んできたエキスパートが数多く集まっていた。四輪試作車部門に勤務していた大先輩の中には、S500のフロントフェンダーをシートメタル1枚からたたき出しで、しかもモックアップと寸分変わらずに作り上げる強者もいた。
そんな環境下で勤務していたので、数多くの先輩から様々な昔話を聞かされた思い出がある。ぼく自身、入社当時は狭山製作所の車体組立1課に赤腕章(実習生)で配属され、初期型のプレリュード(692)や、初期型アコードハッチバック(1600ccの671と1800ccの689)の車体組み立てラインでバッテリー搭載とバッテリーケーブルの接続、エアークリーナーケース下にあるヒーターホースの取り付けを担当していた。
今回、縁があってS600初期型エンジンのオーバーホールの様子、組み立て風景をダイジェスト的にレポートさせて頂くことができた。前職勤務当時、先輩達から聞かされていた様々なお話しを、「なるほど、このことだったか!!」などと、ある意味、撮影を通じて確認することもできた。
それにしても、ホンダというメーカーの突進力と言うか、意気込みの強さと言うか、極めて強烈な独創性は、今回の撮影執筆を通じて改めて思い知ることができた。そんな当時のホンダを愛する熱烈なファンは数多いが、それはぼく個人も同じである。
現在は、内外出版社刊のバイク雑誌(季刊誌)「モトメカニック」誌の編集者として、バイクいじりの楽しさを伝えるために、日々編集執筆させて頂く立場だが、やっぱりバイクの世界でも、この時代のホンダ車には熱烈なファンが多い。ものづくりの素晴らしさを、改めて思い知った企画進行、取材執筆だった。
ホンダAS-E型エンジンに組み合わされる京浜気化器製作所の4連CVB型キャブレター。S500から切り替わった直後のS600初期モデル用キャブレター。
ホンダライフの電磁ポンプを利用してガソリンを送り込み、バッテリーを接続してセルスターターON!! 極めてスムーズかつ静かにエンジンはアイドリングした。30秒ほどアイドリング&空吹かしさせ、エンジンオイルの回りや漏れを確認することができた。
4連キャブボディのフロートチャンバー下には、エンジン熱を避けるためのアンダーカバーことヒートセパレーターが装備される。フロートチャンバーはワンタッチ脱着式。
タープテントの通気ダクトのような形状のエアー吸入口を持つエアークリーナーカバー。4連キャブレターにはこのタイプの横長デザインがよく似合う。鈑金処理後に磨き込まれた後にユニクロメッキで仕上げられている。
エンジンオイルレベルを確認する部品も、もはや芸術的な造形だ、エンジンマウントラバーがダメージを受けると振動が増え、クラックが入りやすかった。
アッパークランクケースにセットされるシリンダースリープのフランジ外周は露出する。鋳鉄で錆びやすいので、この部分のみペイントで仕上げられた。
排気カムシャフトカバーに取り付けられるポイントは、燃料送給用電磁ポンプの切替え信号用のポイントで、マイナスアースで信号をコントロールしている。
この時代の燃料ポンプはリレー内蔵式ではなかった。
S600が登場したした直後の販促カタログの画像から抜粋。
S500とS600が並行生産されていた頃は、ストレートデザインのフロントバンパーが採用された。
からの記事と詳細 ( HONDA S600のエンジン全バラ&OH! その9|車検や修理の情報満載グーネットピット - Goo-net(グーネット) )
https://ift.tt/39pG1Ft
0 Comments:
Post a Comment