エンジン関連修理・整備[2021.03.28 UP]
HONDA S600のエンジン全バラ&OH! その8
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唯一無二の軸配列。 部品レイアウトを考え組み立て進行
バイクのエンジンに似ているようで、実はまったくの別モノ。その他の四輪エンジンとも、 異なるユニークなメカニズムを採用していたのが、ホンダAS系エンジンユニットの特徴だろう。 カムチェーンアイドラーと同軸上に遠心式オイルフィルターがレイアウトされるが、このメカニズムは、 ホンダのバイク、CB72やカブ90cc系で大きな実績があり、 OHCエンジンになってからのスーパーカブでは、エンジンの耐久性を 飛躍的に向上させたメカニズムとしても知られている。 しかしAS系エンジンでは、シリンダーヘッドを取り外さない限り、 このメカニズムを抜き取って、 フィルター内部を分解洗浄することができなかった……。
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エンジンの主要各軸の配列とカムチェーン関連レイアウト、スターター系のレイアウトを解説したS600純正サービスマニュアルから抜粋。シリンダーの傾斜角は、進行方向左側へ45度傾いていた。すべてが特異なホンダイズムと言えるデザインである。
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シリンダーヘッドを締め付けるスタッドボルトには通常のナットと袋ナットを使い分けている。シリンダースリーブの連結割部分の締め付けに使われるのが袋ナット。これはオイル漏れ防止策だ。
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カムチェーンを落とさないようにたぐり寄せながらシリンダーヘッドを載せ、ナットで固定したらカムシャフトをセットする。バイクのエンジン部品と違って、重い印象のAS-E構成部品。
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2本のカムシャフトを組み込む際には、タイミングマークの合せを間違えてはいけないが、カムスプロケットとジャーナル固定キャップに刻線があり、組み立てやすい印象だった。
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インテイクカムシャフトに刻まれるウォームギヤは、タコメーター駆動用のドライブギヤである。カムカバーにピニオンギヤが入るが、商用車用にはタコメーターの装備は無い。
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エキゾースト側カムシャフトに取り付けられるのがオイルポンプの駆動ギヤ。S500とS600の初期エンジンは、このポンプギヤの上にもうひとつの小さなギヤが載る特徴的な仕様だ。
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ツインカムの中間に組み込まれるヘッドガイドローラー。ボルト締付け側のラバーダンパーには部品設定があるが、ヘッドとローラーCOMPの間に入るダンパーラバーには部品設定が無い。
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ウォーターポンプのインペラは本来FC鋳造部品だが、今回分解したエンジンには砲金削り出しのインペラや対策メカニカルシールが組み込まれていた。インペラフィンは若干幅広のようだ。
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排気側カムにはオイルポンプの駆動ギヤユニットが組み込まれるが、S500とS600初期モデルはこのカムギヤの駆動で「燃料ポンプ用ポイント」が組み込まれる。アースコントロール回路だ。
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ほぼ完成したエンジンコンプリート。一般的なオーバーホールではここまでキレイにはならないが、レストア仕上げのリクエストもあったため、このように美しく仕上げられた。
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メーカー純正タコ足のエキゾーストパイプ。持ち込まれたときには点サビで覆われていたが、程度が良かったのでこのような美しい仕上がりになった。耐熱ブラックの焼き付けペイント仕上げ。
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ポンプに吸い上げられたエンジンオイルは最初に濾紙式オイルフィルターへ入るが、このエンジンはカートリッジフィルター仕様のアフター部品に組み換えられていた。フィルター交換も容易だ。
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インテイクカムシャフトのギヤはタコメータードライブ用。ピニオンギヤとケーブル接続部品はヘッドカバー側に組み込まれている。スチール部品はユニクロ再メッキで美しい仕上がりだ。
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