株式会社日立製作所(以下、日立)は3月31日、デジタルエンジニアリングサービスを手がける米GlobalLogicを買収すると発表した。GlobalLogicの有利子負債の返済を含む買収総額は96億米ドル(約1兆368億円)を見込む。買収は、2021年7月末までに完了する予定。
日立の東原敏昭執行役社長兼CEOは、「今回のGlobalLogicの買収は、日立がLumadaのソリューション・サービス展開を拡大し、お客さまにデジタルトランスフォーメーションによる価値を提供し、Lumada事業をグローバルに成長させるための、エキサイティングかつ新しい価値を生み出すものです」と述べている。
シリコンバレーに本社を置くGlobalLogicは、デジタルエンジニアリングサービス市場のリーディングカンパニーとして、世界14カ国に2万人以上の従業員を擁し、世界各地にデザインスタジオやソフトウェアエンジニアリングセンターを展開している。通信、金融サービス、自動車、ヘルスケア・ライフサイエンス、テクノロジー、メディア・エンターテインメント、製造など、各主要産業におけるマーケットリーダーやブランド企業をはじめ、400社を超える顧客基盤を有する。
GlobalLogicでは、Chip-to-Cloud(チップからクラウドまで)に対応するソフトウェアエンジニアリング技術に加えて、エクスペリエンスデザイン力や多様な業界に関する専門知識を有しており、これらを融合することで、顧客のプロダクトやプラットフォーム、デジタルエクスペリエンスを強化するソフトウェアを設計・開発し、デジタルテクノロジーを活用した新しい収益源の創出、エンドユーザーの価値向上に貢献するとしている。
日立では、デジタルトランスフォーメーション(DX)は、あらゆる組織にとって優先事項となっているが、多くの組織では新しいデジタルプラットフォームを設計・導入するための知識や経験が不足しており、新しいインタラクションモデルやデジタルエクスペリエンスを設計するためのスキル不足にも直面していると説明。こうした背景から、GlobalLogicが提供するサービスへの需要は急速に拡大しており、今回の買収を通じてさらに事業機会が広がっていくことが期待されるとしている。
日立はこれまで、社会イノベーション事業のグローバルリーダーを目指し、鉄道やエネルギーなどのインフラを、デジタル技術を活用して、より高度かつインテリジェントに変革、提供する取り組みを推進しており、「2021中期経営計画」においては、ITセクターとして1兆円規模の成長投資を実施する戦略のもと、日立ヴァンタラを中心にデジタル製品、ソリューション、パートナーシップ、フロントデリバリー力など、デジタル分野に関するケイパビリティを強化していると説明。今後、GlobalLogicは、こうした日立のLumadaソリューション・サービスのポートフォリオ成長のエンジンとして、不可欠な役割を担っていくとしている。
GolobaLogicは、2021年度に売上収益約12億米ドル(約1296億円)、調整後EBITDA率20%超を見込む。
買収は、日立の米子会社Hitachi Global Digital Holdings(以下、HGDH)と、HDGHが今回の買収のために設立したSPCの合併を通じて、GlobalLogicの親会社であるGlobalLogic Worldwide Holdingsを買収する。
HGDHとGolobalLogic Wordwide Holdingsでは、GolobalLogic Wordwide Holdingsの株式価値について約85億米ドル(約9180億円)、企業価値について約95億米ドル(約1兆260億円)で合意。GlobalLogicの有利子負債の返済を含む買収総額は、96億米ドル(約1兆368億円)を見込んでいる。
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