エンジン関連修理・整備[2021.03.26 UP]
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シリンダーヘッドASSYでタペット調整も可能
内燃機業者へ依頼することでその他の作業を進行できるエンジンオーバーホールだが、 ここでは敢えて、ホンダ純正特殊工具の「バルブシートカッター」を使っての シートカット&調整および、バルブフェースの摺り合わせをビルダー自身が行った。
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吸排気バルブのシートカット角度は、ドライバーセンターに対して60度、45度、30度の3種類の組み合わせによって行われ、バルブのアタリ幅は45度の角度で全周1.0~1.2mmで調整するのが標準だ。
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Sシリーズ用のホンダ純正バルブシートカッターセット。インテイクのガイド径はΦ6.0mm。一方、エキゾーストはΦ6.4mm。S8はいずれもΦ6.4mmを採用しステムの摩耗を抑えている。
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やや広めの当たっていたバルブシートは30度刃のカッターでアタリ幅を1.0mmに調整した。内燃機業者は専用の一枚カッターで一発仕上げだ。カット形状の変更でエンジン性能も変化。
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小排気量のバイクやボアサイズの小さなバイク用バルブでは使えないが、φ25mm以上の傘なら利用できるバルブラッパー。空圧で瞬時に摺り合わせ可能。
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インテイクバルブもエキゾーストバルブも標準指定通りバルブフェースの中心付近にアタリ位置を合せたが、エンジンチューニング時にはインテイクを外アタリに指定する例もある。
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シリンダーヘッドガスケットの座面となるヘッド面の歪みも重要な確認項目である。ここではストレートエッジと呼ばれる測定工具とシックネスゲージを利用し、歪みがないか測定してみた。
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縦横の両外及び対角双方にストレートエッジを当て、シックネスゲージの0.03mmがストレートエッジとヘッド面の隙間に入ってしまう際には、シリンダーヘッド面を面研依頼しよう。
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ホンダAS-E系エンジンを搭載したモデルは4タイプに分類されるが、AS285E系エンジンのバルブ傘径はインテイクφ30mm、エキゾーストφ26mmだった。部品レイアウトは現代的。
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バルブシートの摺り合わせを終えたら各パーツをしっかり洗浄、アッセンブリーペーストをバルブステムに塗って組み立て開始。ガイド部分の潤滑が悪いと作動初期に作動不良を起こしてしまう。
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シリンダーヘッドは重いため、きれいな作業台の上にシリンダーヘッドを立てて置き、バルブスプリングコンプレッサーを使うのが良い。コッターはピンセットで組み込もう。
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吸排気バルブをすべて組み終えたら、燃焼室側を下にしてシリンダーヘッドを木枠へ載せる。バルブコッターの入り具合を確認するため、バルブステムエンドを平ポンチで軽く叩くと良い。
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分解前に明記しておいた通りにインナーシムとタペットを復元する。本来、タペット外周は上下で同径だが、摩耗が進むと下側が痩せるそうだ。痩せすぎたタペットはメカノイズの原因に。
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木枠作業台の上でカムシャフトを仮組し、タペットクリアランスを測定する。カムを回転させたいときには、スプロケット側のカムエンド溝にマイナスドライバーを差し込むのが良いようだ。
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カム山ベース円側でタペットクリアランスを測定する。シックネスゲージを利用し、インテイク、エキゾーストとも基準データは0.20±0.02 mm。ベース円側を回し数カ所で確認。
ピストンはコンプリート状態にして何と「ヘッド側」から挿入!?
標準オーバーサイズを超えたオリジナルピストンを組み込むことで、当然ながら ウエットライナータイプのスリーブ肉厚は薄くなっている。それに伴い、シリンダーの ボーリングやホーニングにはより一層の緻密さが求められる。 さらに「知恵の輪」的な組み立て手順で、理想を追求してこそ「気持ちが良い」エンジンが完成する。
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オーバーサイズピストン径に合せてボーリングを終えた、スリーブ組み込み済みのアッパークランクケース。スタッドボルトを復元する前に、まだやるべきことはたくさんある。いよいよ始まる!!
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ホーニングを終えたスリーブ内径とピストン径を再度測り直し、指定した通りのピストンクリアランスに仕上がっているか確認する。ピストンクリアランスは35~45/1000mmで指定した。
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ピストンクリアランスを測定し、規定値範囲で仕上げられていることを確認したら、いよいよアッパークランクケースにピストンとクランクシャフトを組み込むが、ここに興味深い作業手順があった。標準範囲のオーバーサイズピストンなら、スリーブエンドのテーパーでリングが縮められてスムーズに挿入できるのだが……。
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ショップオリジナルのピストンキットに組み込むピストンリングは、現代のハガネ製リングで鋳物ではない。各リング単品をシリンダー内に挿入し、リング合口の隙間寸法を念のために測定。
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ピストンリングを挿入した時の合口隙間は、おおよそ0.15~0.35mmの範囲内。走行によって摩耗すると合口隙間が広がり0.6mm以上なら使用限度だ。ピストンリングを組み込む。
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4気筒エンジンなのに3箇所しか無いクランクジャーナル。このジャーナル数が各気筒両サイドの5箇所にあれば、AS-E系エンジンの耐久性は、もっと高かったとの声も聞かれる。
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ジャーナルベアリングを固定するノックピンには、オイル供給通路があり、それをシールするOリングが組み込まれる。クランクシャフトの組み込み前に、Oリングを新品に交換しよう。
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ピストンピンをコンロッドのスモールエンドに差し込み、ガタや首振りが無いか、念のために再確認しよう。ピンの挿入が渋いときには、メタルコンパウンドを使って摺り合わせるのが良い。
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ピストンリングの合口位置の決定には様々な考え方がある。メーカーのサービスマニュアルに従って組み込めば問題は無いが、メーカーによっても、合口位置の指定が異なっている。
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ピストンリング溝にエンジンオイルを塗布したら、1番2番のピストン、3番4番のピストンはエンジン中央側のピンクリップ片側だけをセットして、ピストンピンを差し込み位置関係を確認中。
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ピストンリングの合口向きを確認し、缶コーヒーをカットしたアルミ缶とホースバンドを組み合わせてピストンリングコンプレッサーとする。市販コンプレッサーが使いにくかったので自作対応。
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ピストンリングコンプレッサーの張力はホースパンドの締付け強さで微妙に調整する。シリンダー面に缶コーヒーツールのエンドを押し付け、ハンマーの柄でコツンッ!!
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この要領で、1~4番のピストンをすべて挿入。ピストンピンクリップは、2番3番が内側だけ、1番4番は外側だけセットする。ピストンピンも差し込んでから、スリーブ内に上側から挿入。
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こんな方法でシリンダー内にピストンを挿入したのは初目撃!? STD~1・00OSの純正ピストンならこのような作業は不要だが、この組み立て手順にしたのには、それなりに理由があった。
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