米ヘッジファンド、アルケゴス・キャピタル・マネジメントが巨額の損失を出し、同社と取引していた内外の金融大手各社に影響が広がっている。アルケゴスに関係する株式売却は200億ドル(約2兆2000億円)強とみられ、巨額損失の可能性を発表した野村ホールディングスやクレディ・スイス以外にも影響が広がりそうだ。米証券取引委員会(SEC)など米金融当局は、複数の金融機関の代表を緊急招集し、実態把握に乗り出した。
「全てのプラン議論」
野村は29日の発表で米顧客への請求額が約20億ドルだと発表したが、顧客の具体名は明らかにしなかった。関係者はその顧客がアルケゴスだと明かした。クレディ・スイスも同日、「1~3月期業績に非常に大きく重大な影響を与える可能性がある」と説明したが、アルケゴスの名前は出さなかった。野村とクレディ・スイスの株価は同日、10%以上の急落となった。
複数の関係者によると、アルケゴスには、野村とクレディ・スイス、米ゴールドマン・サックス、米モルガン・スタンレーがプライムブローカーとして、さまざまなサービスを提供していた。スイスのUBSもアルケゴスと取引があった。金融各社が損失に直面しているかどうかは不明。モルガン・スタンレーとUBSはコメントを拒否した。関係者によると、ゴールドマンは株主などにアルケゴス問題が業績に与える影響は軽微な可能性が高いと伝えた。
ビル・フアン氏が運営するアルケゴスは29日、今回の問題で初めて声明を発表し、「フアン氏とチームが最善の進路を見極める中で全てのプランが議論されている」と表明した。
アルケゴスに資金を貸し付けていた金融機関は、アルケゴスが先週、マージンコール(追加証拠金の要求)に応じられなかったことを受け影響の封じ込めを急いでいる。
市場影響は限定的
アルケゴス問題での金融市場全体への影響は今のところ限られているが、関係者によると、同社の関連ポジションの解消は終わっていないという。
アルケゴスをめぐる展開は、低金利と株式の強気相場の中でここ何年にもわたりレバレッジ(借り入れを利用した投資)比率を高めていた金融業界の目をくぎ付けにしている。
こうした中でSECが招集した緊急協議には金融取引業規制機構(FINRA)も関与。当局者らは業務への影響、予想されるクレジットリスクや他の脅威について金融機関から事情を聴いたという。
アルケゴスが困難な状況に陥り、金融各社がポジションを解消したスピードがトレーダーに衝撃を与え、金融規制・監督機関に状況の把握を急がせたとみられる。アルケゴスが他の市場参加者にポジションを開示することなく数百億ドル単位の資金を株式に投じていたこともあって、今回の騒動は金融監督の在り方に疑念を生じさせた。(ブルームバーグ Cathy Chan、Jesse Westbrook)
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