Sunday, May 22, 2022

HICAS、CVCC、GDIエンジン……一世を風靡した”ハイテク”技術はどこいった? - 自動車情報誌「ベストカー」 - BestCarWeb

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 巨大なマーケットを形成し、常に先端のテクノロジーが投入される自動車産業では、ユーザーの注目を集める革新的な技術がたびたび登場する。そのなかには、今後のクルマ業界を変えるとまで言われて脚光を浴びながらも、しばらくたつと話題にならなくなった技術もある。それらの技術は一過性のものだったのか? それとも別の理由で語られなくなったのか? 今回は一世を風靡した技術を紹介し、その後の推移を見ていくことにしよう。

文/長谷川 敦、写真/日産、スバル、ホンダ、三菱、マツダ、トヨタ、FavCars.com

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回頭性と安定性を両立した夢の4輪操舵システム「日産 HICAS」

HICAS、CVCC、GDIエンジン……一世を風靡した”ハイテク”技術はどこいった?
日産 R31型スカイライン。このモデルからHICASが装備され、操縦安定性が向上

 一般的な4輪車では、進行方向を変えたい時に車体に対する前輪の角度を変化させる。これを操舵と呼び、操舵の際も後輪の向きは一定に保たれる。

 詳細な説明は省略するが、前輪の向きを変えることでタイヤと路面の摩擦によってコーナリングフォースと呼ばれる力が発生する。これでクルマは旋回できるのだが、このとき操舵されている前輪と、まっすぐ行きたい後輪でコーナリングフォースの発生に時間差が生じるとクルマの動きは不安定になる。

 そこで前輪の操舵に応じて後輪も操舵してやれば、クルマはより効率良く旋回できることになる。これがいわゆる4輪操舵、または4WS(4 Wheels Steering)だ。

 日産が1985年に発売したR31型スカイラインにはこの4WSが搭載されることになり、そのシステムはHICAS(ハイキャス・High Capacity Actively Controlled Suspension)と命名された。

 HICASの画期的だった点は後輪の操舵に電子制御を用いたことで、単なる機械式の4WSに比べて速度に応じた繊細な制御が可能になり、操縦安定性は大きくアップした。

 HICASはその後もHICAS-II、SUPER HICAS、電動SUPER HICASと進化し、R33型スカイラインGT-Rにも搭載されたが、2000年代に入るとHICASを装備する車種も少なくなる。これは車体&サスペンション設計やブレーキなどの進化により、複雑で高価になりがちな電子制御に頼らなくても操縦安定性が得られるようになったため。

 とはいえ操縦安定性を高める、あるいはキビキビ曲がるクルマに仕上げる手段として4WSが有効なのもまた事実。その証拠に、近年になって4WSを装備するクルマは増えてきている。

 メルセデス AMG GT S/Cやルノー メガーヌなど、設計&製造技術や素材の進歩によって、HICASでは不可能だった高度な4WS制御を実現したクルマも次々とデビューしている。そうした流れから、最新テクノロジーで武装された新世代のHICASが登場する日も近いのかもしれない。

車高調整も思いのまま! しかしメジャーにはなれず……「スバル 電子制御エアサス」

HICAS、CVCC、GDIエンジン……一世を風靡した”ハイテク”技術はどこいった?
1984年に発売された3代目スバル レオーネ。最上級モデルのGTには、車高を保つオートレベライザーと減衰能力調整機能を持った電子制御エアサスが搭載された

 一般的なクルマのサスペンションは、路面からのショック吸収や走行中の姿勢制御に金属製スプリングを使用する。だが、一部のクルマでは金属製スプリングの代わりに空気圧を利用するものもある。これがエアサスペンション(エアサス)だ。

 金属製スプリングの難点のひとつに、車重によって縮み量が変化してしまうということがある。つまり乗車人数が多かったり、荷物が重すぎたりすると、それによって車高が一気に下がってしまい、乗り心地などに影響が出る。

 これを解決してくれるのがエアサスだ。空気圧によって車高を保つエアサスでは、荷重が加わったときに圧力を高めることにより、理想的な車高をキープできる。そしてそれを電子的に制御すれば、走行中の荷重変化に対してもアクティブな対応が可能になり、本来はオイル入りのショックアブソーバーが担当する減衰も空気の力で行える。

 このようにメリットの多い電子制御式のエアサスペンションを日本で最初に採用したのが1984年登場のスバル レオーネだった。そしてその後を追うように国内他メーカーからも電子制御エアサスを装備したモデルが登場した。

 自動車サスペンションの未来を担う技術として一時はもてはやされた電子制御エアサスだが、機構が複雑なためコスト高を招き、頻繁なメンテナンスも要求された。こうした理由から徐々に衰退してしまい、スバルも2000年代には採用をやめることになる。

 車高調整が容易な電子制御エアサスは、現在でも高級車やバスなどで使用されている。コストなどの問題が解消されれば、再び注目されてもよい技術と言える。

次ページは : 厳格な規定をクリアした奇跡の低公害エンジン「ホンダ CVCCエンジン」

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