BMWのアイデンティティとなっているボクサーツインエンジンが、2024年のR1300GSで新世代に生まれ変わる。新たにエンジンの写真が公開されたので、従来モデルと比較してみたい。
10年ぶりの完全新作エンジンは軽量コンパクトに
BMWは、新型R1300GS用に水平対向2気筒エンジン(=ボクサーツイン)を完全新設計した。 排気量は従来から46ccアップした1300ccとなり、ボア×ストロークは 106.5×73mm(従来型:102.5×76mm)に見直された。最高出力は145PS(従来型:136PS)を発揮し、これまでのBMWボクサーツインエンジンの中で最も強力な出力を獲得している。
DOHCのシリンダーヘッドは、2018年のR1250GSから搭載されたシフトカムを踏襲し、吸気側のバルブタイミングとバルブストロークが可変できる。バルブ径は吸気が径40→44mm排気が径34→35.6mmに拡大され、圧縮比は13.3:1(従来型12.5)に高められた。
パワーアップ以外に新作エンジンの見どころはコンパクト化にある。新型R1300GSは、従来型と同様6速ギアボックスとクラッチがエンジン内に統合されている。 ただし、ギアボックスは従来のシリンダー後方ではなく左シリンダーの下に配置されており、前後長が短縮されているのだ。
これにより、従来型のパワーユニットと比較してエンジン単体で3.9kg以上、パワートレイン全体で6.5kg以上の軽量化を達成している。シャーシ設計においてもパッケージングと重量バランスが改善に結びついている。
エンジンの変更に合わせてシャーシも全面刷新
エンジンと同様に、新型R1300GSのシャーシも見直されている。 目玉となるのはスチール製の新型メインフレームで、コンパクト化を実現しただけでなく従来型よりも高い剛性を確保している。また、シートレールも鋼管フレームからアルミキャスト製として軽量かつ高剛性に仕上げている。
新しいシャーシとよりコンパクトになった新作エンジンとの組み合わせにより、車体全体の大幅なマスの集中を実現し、ハンドリング性能の向上を果たしている。前後サスはR1100GS以来のフロントEVOテレレバーとリアにEVOパラレバーを装備している。
サスペンションは、オプションでアダプディブ車高調整機構を設定。ダイナミックなライディングを犠牲にすることなく、停止時および低速走行時のシート高が850mmから820mmに30mm自動で下げられる。さらにストロークが20mmアップするスポーツサスもオプション設定される。
電子制御は前後にレーダーセンサーを装備することで、アクティブクルーズコントロール(ACC)、前面衝突警報(FCW)、車線変更警報(SWW)からなるライディング支援機能を導入。GSシリーズの伝統を受け継ぎながら、全方位での進化を果たしている。
2024年型R1300GS欧州仕様主要諸元
・全長×全幅×全高:2212×1000×─mm
・ホイールベース:1518mm
・シート高:850mm
・車重:237kg
・エンジン:空冷4ストローク水平対向2気筒DOHC4バルブ 1300cc
・最高出力:145PS/7750rpm
・最大トルク:15.19kg-m/6500rpm
・燃料タンク容量:19L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=Wディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70R19、R=170/60R17
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