Wednesday, November 4, 2020

燃費良くても規制強化で廃止続出!! ディーゼルエンジンに未来はないのか - ベストカーWeb

 ディーゼルエンジンを搭載した乗用車がピンチに立たされている。

 理由はクルマの燃費規制がエンジンだけではクリアできそうになくなって、モーターと組み合わせたハイブリッドが必須となってきたからだ。

 しかし、「クリーンディーゼル」という呼び方もあるように、これまでディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンより燃費が良く、最近ではかつて問題となった窒素酸化物も少なくなってきているともいわれてきた。

 欧州メーカーではディーゼルエンジン車のラインナップを廃止する例が相次いでいるが、果たしてディーゼルエンジンに未来はあるのだろうか。

文/高根英幸
写真/Photo by Victor Decolongon/Getty Images for Mazda Motor Co.、日産、マツダ、トヨタ、BMW、Mercedes-Benz

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そもそもディーゼルエンジンの特長や優位性は?

 エンジンだけの駆動力で走行するなら、ガソリンエンジンよりもディーゼルエンジンのほうが環境性能は高い。

 それは空気だけを圧縮して、燃やすぶんだけの燃料を噴射すればいいディーゼルエンジンは熱効率(燃料の熱エネルギーをどれだけ駆動力として取り出せるか)に優れているから。ガソリンエンジンは基本的に燃焼室内の空気を完全燃焼させる必要があるためリーンバーンが難しいのだ。

 ガソリンエンジンのほうがドライバーのアクセルペダル操作に対する反応に優れ、高回転まで回るためスポーティなドライビングには向いている。

 だが、ル・マン24時間レースでのアウディの強さをご存じなら、実際の速さではディーゼルもヒケを取らず、トルクの太さから加速時の車体の反応性などガソリンエンジンを上回るドライバビリティを見せるなど、走りの楽しさも充分に備えている。

ヨーロッパではディーゼルエンジンを搭載した乗用車の割合が多く、MTとの組み合わせで省燃費とキビキビした走りを楽しむ(写真:MINI 60 YEARS EDITION)

 そのため欧州ではディーゼルエンジンを搭載した乗用車の割合が多く、MTとの組み合わせで省燃費とキビキビした走りを楽しむドライバーが多い。

 燃費が良いということはCO2の排出量が少ないということだから、NOx(窒素酸化物)とPM(粒子状物質=黒煙の主成分)を解決させれば、エンジンとしてはガソリンよりクリーンになる。

 最近のクリーンディーゼルは燃料の噴射と排気ガスの後処理装置で環境性能をクリアしているのだ。

ディーゼルとモーターによるハイブリッドの相性は高い!

 それでもガソリンエンジンとモーターのハイブリッドのほうが、クルマ単体の走行状態だけで見れば環境負荷は小さい。

 エンジンとモーターが補い合って走るハイブリッドは、減速時には惰性で走っている運動エネルギー(余ったエンジンの駆動力)をモーターが回生して電力として再利用するから、エンジン自体の効率だけでなく車体全体の効率で燃費を向上させることができる。

 ならばディーゼルエンジンにモーターを組み合せたディーゼルハイブリッドにすれば、より熱効率が高まってガソリンハイブリッドよりも環境性能も高まるハズ。

日本初のディーゼルプラグインハイブリッドとして導入されたベンツE350de

 昔から筆者はそう思っていたのだが、ディーゼルハイブリッドは極めて少数派なのである。どうしてハイブリッドはガソリンエンジンばかりなのか。それには大きく分けて、2つの理由がある。

 ディーゼルエンジンとモーターの組み合わせは、相性が悪いと思っているなら、それは違う。

 ディーゼルエンジンは低速トルクがあるから、モーターによるアシストの恩恵は少ないように思えるが、モーターがアシストすることでエンジンの負荷が減れば、加速時のNOxやPMの低減につながるので、排気の後処理システムの負担も少なくなる。

 クリーンディーゼルの場合、排気ガスを浄化するための装置が必要なだけでなく、高負荷時にはPMが多く発生するために、浄化装置であるDPF(PMなどの有害物質を除去するフィルター)の負担も増え、定期的なメンテナンスを必要とするようになるのだ。

 ハイブリッドにより高負荷時にはモーターによるアシストが加われば、こうした浄化装置の負担は減ってより耐久性も高まるハズだ。

なぜハイブリッドはガソリンエンジンばかり?

 だが、ディーゼルエンジンの場合、前述の排気ガスの後処理装置や、ターボチャージャー、高応答性なインジェクターや高圧の燃料ポンプなど、クリーンディーゼルとして仕上げるにはガソリンエンジンよりもかなり高価な部品が必要。エンジン単体で見た場合、ガソリン車よりも生産コストが掛かってしまう。

 さらにハイブリッドとすると、パワーユニットとしてのコストは車両価格を押し上げてしまうため、価格競争力が低下してしまう。つまり、高すぎて売れないクルマになってしまう可能性が高い。

 これまではエンジン単体で燃費性能を魅力として訴求できたディーゼル車だから、ハイブリッド車と並んで消費者の選択肢に入ってきたが、価格が上昇すれば燃料費が安いというメリットは薄れ、ガソリンハイブリッドに対して優位性がある要素はかなり減ってしまう。

 今まで以上に年間の走行距離が多いオーナーしか、恩恵を受けにくくなってしまうのだ。

ディーゼルエンジンから、クリーンディーゼル、ハイブリットに派生させるにはコストが掛かりやすい。さらに燃料費が安いディーゼルエンジンのメリットが薄れてしまう

 ディーゼルハイブリッドが普及しにくいもう一つの理由は、ディーゼルはエンジンの断続的な運転が苦手、という特性だ。空気を圧縮して高温にすることで燃料を燃やすディーゼルでは、燃焼室の温度が重要なのである。

 現在のクリーンディーゼルではアイドリングストップを実現できるほど、開発エンジニアの努力によりこの弱点も解消されつつある。

 しかし、ガソリンハイブリッドでもエンジン稼働時間の少なさは、エンジンオイルに対して厳しい環境だ。

 さらにエンジンオイルが黒煙で汚れやすいディーゼルにとって、ハイブリッド化によるエンジンの断続運転の増加は、オイルの劣化を招き、エンジンの消耗を早めてしまう可能性がある。

 こうしたディーゼルエンジンの弱点を理解した上で、本当にディーゼルエンジンに将来性はないのか、考えてみることにしよう。

ディーゼルエンジンはe-POWER的な発電用との相性も良い

ノートe-POWERなどの発電専用エンジンを搭載した車種のパワーユニットとしても、ディーゼルエンジンの特性を活かすことができる

 ノートe-POWERなどの発電専用エンジンを搭載したシリーズハイブリッドのパワーユニットとしても、ディーゼルエンジンの低回転で高トルクを発生できる特性は活かせる。

 現在は低コストなエンジンが主体となっているが、大型SUVなど、モーターのトルクを必要とされる車種向けにディーゼルエンジンで発電するクルマが開発される可能性はある。

 ちなみに砕石場などで活躍する超大型のオフロードダンプは、ほとんどがディーゼルエンジンを搭載したシリーズハイブリッドだ。ディーゼルエンジンで大型の発電機を駆動し、土砂を積み込んだ巨体を4輪のモーターでグイグイと走らせている。

 モーターとエンジンで走行時の駆動力を分担するパラレルハイブリッドは、エンジンをより細かく断続的に運転させる必要があるため厳しいが、一定の電力をバッテリーにため込んで、必要に応じて発電のためにエンジンを運転させるシリーズハイブリッドなら、ディーゼルの良さを活かせそうだ。

バイオ燃料でディーゼルがカーボンニュートラルに!?

2020年8月に、マツダは「次世代バイオディーゼル燃料のバリューチェーンを構築」したことを発表

 さらに現在研究が進んでいるバイオディーゼル燃料。これは食用油などの使用済み廃油や、油を溜め込む微細藻類を培養してディーゼル燃料を精製するもの。

 ガソリンエンジンと比べ、燃料の自由度が高いディーゼルエンジンは人工的に燃料を作りやすいのだ。

 このバイオディーゼルが普及すれば、エンジンが排出するCO2はそもそも大気中にあったモノを植物が取り込んだだけなので、大気中のCO2は増えない、いわゆるカーボンニュートラルが成立するのである。

 バイオディーゼルが普及すれば、ディーゼルエンジン車はEVよりも環境性能の高いクルマにも成り得る。これまで時代により人気の浮沈を繰り返してきたディーゼル車だが、再び脚光を浴びる可能性は高いと言えそうだ。

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