
■エンジンを通さず、「生」のガス噴射で切り抜け
着陸後に燃料漏れのトラブルが発生。はやぶさからのデータも受信できなくなった。 着陸の4時間後、スラスタと呼ぶ姿勢制御の小型ロケットエンジンに異常が発生します。上昇を止めるためにエンジンを噴射したところ燃料漏れが起きたのです。喜びにわいていた管制室は静まりかえりました。 燃料を供給するバルブを閉じて燃料漏れは止まりました。しかし12基あるエンジンには期待ができなくなりました。エンジンを噴射できなければ、姿勢を制御するリアクションホイールの故障したはやぶさは安定した姿勢を保てません。はやぶさとの通信はとぎれとぎれになり、イトカワに着陸したときの詳しいデータも受け取れない状態です。 正直言って、このトラブルには「またか」という気持ちもありました。日本の探査機や人工衛星に起こるトラブルで一番多いのが、エンジンだからです。はやぶさの前に関わった火星探査機「のぞみ」でもバルブが開かないトラブルが起きました。金星探査機「あかつき」のトラブルもエンジンです。対策を工夫したつもりですが、米国に比べて経験の少ない日本では気づいていない盲点があるのかもしれません。 はやぶさの姿勢を安定させることができないか。そう考えていたときに、イオンエンジンのチームが奇策を思いつきます。イオンエンジンの燃料をエンジンを通さずにガスのまま噴射しようというのです。加速用のイオンエンジンは普通に噴射しても姿勢制御に使えませんが、ガスのままならできるのでは、と考えたのです。12月4日にガスを使った姿勢制御用のソフトが完成。なんとか姿勢を安定させることができました。 [日経産業新聞 2020年5月26日付]
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