
ライトウエイト勢にゴボウ抜きされた
いきなり私見を述べ立てて恐縮だが、迷うことなく20ptを投じた立場から正直に言わせてもらうと、7位という順位はまったく不本意である。なにしろ私は、選評に書いた通り、「この100年の間にこの世に現れたクルマの中で、もっとも運転する歓びが凝縮され、かつそれを日常の生活の中で存分に味わうことができる究極の1台は911だったのではないか」と最近つくづく感じさせられているからだ。その究極の1台が、もちろんこれらも素晴しいスポーツカーで、私もその多くに点を投じているとはいえ、アルピーヌA110、マツダ・ロードスター、ロータス・エリーゼというライトウェイト勢にあっさりとゴボウ抜きされるとは、一体なんたることか。 私と同じく20ptを投じた高平高輝さんも、「何度も繰り返してきたが、それでもやはり実用性とパフォーマンス、そしてぎりぎり現実的な価格を考えるとスポーツカーとしての911の優位は揺るがない」と、太鼓判を押しているというのに。 アレッ、ちょっと待て。続く一文があったゾ。なになに、「コンパクトなボディのほうが好ましいので、最新型でなくても構わない」だって。 そういえば、もう一人の20pt投入者である藤野太一さんも、「930と997を乗り継いできて思うのが、唯一無二のスタイリング、4座ならではの実用性、それでいて第一線級のスポーツカーであること、こそが911の変わらぬ魅力だと思う」とコメントしており、要するに3人とも、1963年のデビュー以来、60年になんなんとする長きにわたり、スポーツカーの最前線を走り続けてきた911という存在のすべてを背負った存在として「いま・ここ」にある最新の911カレラ&カレラ4クーペに票を投じているのである。 そういう人はほかにもいる。「これまで、993、996と乗って997を足にしています。そうなれば最新の911に興味ないわけがありません。少し大きいですが大好きです」と言うのは15ptの九島辰也さん。本当は大きくならない方が良かったということなのか。編集部新井一樹に至っては、「乗る度に『ポルシェはやっぱり911だな』と思う。その中で味が一番濃厚なのがコレ。ただ、代をおうごとに“らしさ”が薄まっているのが残念」だって。コラッ、それを言っちゃいかんだろう。 とはいえ、いま、クルマをめぐる世界は時代の大きな潮目の中におり、911だってその潮流に逆らうことはできないわけで、だからこそ「おそらく911も現行型からハイブリッド・ユニットが導入されるだろうから、ガソリン・エンジン搭載モデルはまさに買い時」(渡辺慎太郎さん、18pt)という意見も、「最後のマニュアルを買えば、免許返納時に手放すとよいお小遣いになると思います」(国沢光宏さん、17pt)なんて邪な声も上がってくるわけだ。 ああ、収拾がつかなくなってきた。エエイ、最後にピュアな委員の声を紹介して締め括ろう。「このクルマも個人的には生涯、縁遠そうだが、男子たるもの、いつの時代でも911に憧憬の念を抱かないはずはない。そういうクルマだ」(島崎七生人さん、4pt)。あなたはエライ! 文=村上政(ENGINE編集長) 写真=望月浩彦 (ENGINE2021年9・10月号)
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