Monday, March 2, 2020

【エンジンは? ハイブリッドは?? 安全装備は???】 2010年と比較! クルマはどれだけ進化した? | 自動車情報誌「ベストカー」 - ベストカーWeb

「100年に一度の大変革期」とも呼ばれる自動車業界。俗に「10年一括り」とも言われたりするが、自動車は2010年からの10年間でどれだけ進化したのか?

「エンジン」「ハイブリッド」「プラットフォーム」「安全装備」など、主要な6パートごとにその技術の進化をチェック。元自動車エンジニアの吉川賢一氏の解説で「自動車業界がこの10年間で積み上げたもの」に迫る!

■2010年は主にこれらが登場!
・日産ジューク
・日産エルグランド(3代目)
・日産マーチ(4代目)
・ホンダCR-Z
・ホンダフリードスパイク
・トヨタパッソ(2代目)
・三菱RVR(3代目)
・マツダプレマシー(3代目)
・スバルルクラ
・スバルインプレッサXV(初代)
・スズキスイフト(3代目)

【画像ギャラリー】2010年からの10年間…!! 自動車 技術革新の足跡をギャラリーでチェック!!!

※本稿は2020年1月のものです
文:吉川賢一(元自動車メーカーエンジニア)/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年2月26日号


■この10年で【ハイブリッド】はどれだけ進化した?

 世界初の量産ハイブリッド車であるトヨタプリウスは、初代のデビューが1997年。今から10年前である2010年には、すでに3代目となっていました。

 この3代目である30系プリウスは、小型で高回転なモーターによる高出力化と、リダクションギヤ(減速歯車)採用によって高トルク化を実現したリダクション機構付のTHSIIを搭載。

 当時世界トップの燃費性能と2.4L車並みの動力性能を実現していました。

 現在もTHSIIは進化を続けており、2017年発売のカムリに採用された「ダイナミックフォースエンジン+THSII」では、最大熱効率41%に達する燃費低減を実現し、JC08モードで28.4km/Lを達成しています。

トヨタのハイブリッドはカムリの2.5Lハイブリッドでさらに進化。このダイナミックフォースエンジンのTHSIIは最大熱効率41%を実現する

 その後、2010年になってようやく、日産が現行フーガに2モーター1クラッチ式ハイブリッドシステムを搭載。

 3.5L V6のVQ35HR型エンジンに非トルコン式の7速ATを搭載し、トルコンを搭載しない代わりに高度なモーターの制御を行い、クラッチ制御を行うことで変速ショックを吸収するシステムでした。

 日産からはその後、コンパクトカーへのハイブリッドシステムとして、2016年にe-POWERが登場。

 優れた低燃費やワンペダル操作の新鮮さによって、2018年の登録車販売台数1位に輝く人気のハイブリッドシステムとなりました。

 そのほかホンダから2013年に、通常走行時はモーター、中速走行中は主にエンジン、高速巡航時はエンジンがモーター駆動のサポートをするシステム「i-MMD」が登場。また、プラグインハイブリッドが多く登場したのもこの10年です。

●10年前の100点としたの場合の進化度は…150点

■この10年で【エンジン】はどれだけ進化した?

 今から10年前は、ちょうどダウンサイジングターボが見直され始めた頃。

 2005年、VWがターボチャージャーとスーパーチャージャーを組み合わせたTSIエンジンをゴルフVに搭載して以降、ダウンサイジングの有効性に注目が集まりました。

 今では当たり前ですが、たった排気量1.4LとDSGの組み合わせでCセグメントのクルマを軽快に走らせるなんて、誰が想像したでしょう。

 欧州では主流であったディーゼルエンジンですが、日本では排気ガスなど悪いイメージが原因で、各メーカーとも、国内への投入を避けていました。

 そんな国内市場に2008年に登場したのがクリーンディーゼルの日産エクストレイルです。当時の「ポスト新長期規制」をクリアした最初のクルマでもあります。

 ただし、登場初期は6速MTのみだったため、話題にはなったものの、それほど売れませんでした。

 その後の10年は、各メーカーともダウンサイジングターボとクリーンディーゼルの両者を活用する方向性に追従し、排気量を減らしてパフォーマンスを落とさずに燃費を稼ぐという方針をとっていきます。

SPCCI(火花点火制御圧縮着火)を実用化させたマツダのSKYACTIV-X

 なんと、VWゴルフVIには、1.2LシングルチャージャーのTSIモデルまで追加されました。

 しかし2015年9月に発覚したVWのディーゼルエンジンの排出規制不正事件により、クリーンディーゼル開発は世界的にトーンダウン、昨今は、ダウンサイジングターボ、ハイブリッド、EVの方向へと移っています。

 2018年に登場した日産のVCR可変圧縮比エンジン、また、2019年に登場したマツダのSPCCI技術を搭載したSKYACTIV-Xなど、これまで「夢」とされてきたエンジンを実現したのが日本メーカーだったことは、日本の技術者にとっては嬉しいニュースでした。

●10年前を100点としたの場合の進化度は…130点

■この10年で【プラットフォーム】はどれだけ進化した?

 プラットフォーム開発においては、この10年で「モジュール開発」という概念が誕生しました。

 自動車メーカーは現在、電動化や先進安全技術の搭載などによる開発コストやリソースの増大、といった課題を抱えています。

 プラットフォームを跨いで部品の共用化(モジュール化)を目指すモジュール開発は、それらの課題に対する対策として導入されたものです。

 もちろん、部品点数を減らしコストを下げる努力は、以前から行われてきたものではありますが、BセグメントやCセグメントといったくくりで行われるのが一般的であり、例えば、Cセグメントのハッチバック、セダン、ワゴンで部品を共用化するなど、同セグメントのなかだけで、考慮されるものでした。

トヨタは2015年登場の現行型プリウスで新世代のTNGAプラットフォームを採用。このプラットフォームは今年2月登場のコンパクトカー、ヤリスにも採用される

 その枠を撤廃し、「モジュール開発」を提案したのが、2012年2月にVWが発表した「MQB」です。

 セグメントの枠を超えて共通部品を増やし、生産コスト低減による車両価格の抑制、主要技術の共有、そして最高水準の安全性確保を実現させることが目的とされ、それにより、車両開発の効率化、商品ラインナップの柔軟性向上といった効果も期待されています。

 ほかにも、日産とルノーの共用化戦略CMF(コモン・モジュール・ファミリー)、トヨタの「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」、プジョーシトロエンの「EMP(エフィシェント・モジュラー・プラットフォーム)」など、現在モジュール開発は、自動車業界に広がっています。

●10年前の100点としたの場合の進化度は…160点

■この10年で【シャシー&サスペンション】はどれだけ進化した?

 クルマの走りを支える重要コンポーネントであるシャシーのなかでも、この10年で格段に進化したのが、ステアリング機構です。

 10年前、当時すでにコラムアシスト式などの電動パワーステアリング(以下EPS)システムが登場していたものの、その操舵感は従来の油圧式パワーステアリング(以下油圧式PS)に慣れたドライバーにとっては違和感がありました。

 そのため、燃費低減が求められる時代であったにもかかわらず、操舵感が重要な高級車においては、エンジン出力を使うために燃費低減に貢献できない油圧式PSが採用されたのです。

 しかし2010年頃、ラックアシスト式のEPSが登場したことで、油圧PSに近い操舵感を実現でき、これにより、高級車にもEPSが採用されることになりました。

現行型スカイラインで世界初搭載された電子制御のステアバイワイヤ技術であるDAS(ダイレクト・アダプティブ・ステアリング)

 また、2016年には日産が、機械的な接合がない操舵装置、ステアバイワイヤ(商品名はDAS)を現行型スカイラインへ世界初搭載したことも話題となりました。

 シャシーに電子制御の波が来たのも2010年代。シャシー制御とは、ABSやVDC、トラクションコントロールを制御することで、クルマの安定性を高め、かつ思いどおりのコーナリングが得られるよう、統合制御をすることです。

 現在では、エンジンの駆動力とブレーキを制御することで、デコボコ道での乗り心地と安心感を向上させるインテリジェントライドコントロール(2014年エクストレイル)など、ハンドリングにとどまらない部分まで、シャシー制御は広く採用されています。

 シャシーに関してはほかにも、2010年に周波数感応式ダンパー(日産現行フーガに初搭載)、2010年頃にはヤマハのパフォーマンスダンパー(高級車にオプション設定)、また、2009年には、乗り心地性能が改善された第3世代のランフラットタイヤなども登場しています。

●10年前の100点としたの場合の進化度は…120点

■この10年で【トランスミッション】はどれだけ進化した?

 2006年登場のレクサスLSに世界初の8速ATが搭載されて以降、2014年にはレンジローバーイヴォークに9速ATが、2017年にはレクサスLC500に10速ATが、それぞれ乗用車世界初搭載されるなど、近年、多段化が進んだATですが、所望するレシオカバレッジとトランスミッション本体のサイズと重量、コストを考慮すると、10速ATが上限段数だと言われています。

 また、CVTは、当初からの課題であった、ラバーバンドフィール(エンジン回転上昇と加速感が伴わない現象)も解消されつつあり、特に、2018年レクサスUXに搭載された、トヨタのダイレクトシフトCVTや、2018年登場のクラウンの電気式無段変速機(10段変速制御のCVT)などは、CVTとは思えないリニアな加速フィーリングを実現。

2017年にレクサスLC500は10速ATを搭載。現在このATはLS500にも採用されている

 また、2010年代にVWゴルフをはじめとして搭載車が増えたDCTは、キレのあるすばやい変速により、スポーツドライビングを好む世界のドライバーから絶大な支持を獲得しましたが、渋滞の多い日本では発進時のギクシャク感がネガティブに取られ、進化を続ける多段ATやCVTに人気が流れています。

 マニュアルミッションは、2011年登場のポルシェ911(タイプ991)カレラ、カレラSに設定された7速MTが、この10年で出た最多段となります。

 ほかにも、コルベットC7(2014年)やアストンマーチンV12ヴァンテージS(2016年)にも7速MTが設定されましたが、この10年で8速MTは登場していません。

 ちなみに過去の最多段MTは、三菱初代ミラージュ(2078年)に搭載の副変速機付き8段です。

●10年前の100点としたの場合の進化度は…130点

■この10年で【先進安全装備】はどれだけ進化した?

 10年前、2010年に登場したスバルの先進安全技術「アイサイトver. 2」は、積極的に宣伝活動を行い、「完全停止まで行う」とした消費者への高い訴求や、約10万円という手頃な価格もあり、非常に高い搭載率となりました。

 このアイサイトver. 2のヒットによって、衝突被害軽減ブレーキの普及が進むことになります。

 その後の2015年、国内では、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる死亡事故が58件発生(うち65歳以上の高齢ドライバーが50件)するなど、問題視されたことを受け、経済産業省と国土交通省が、2017年、誤操作事故防止を目的とした「安全運転サポート車」、通称サポカー制度を開始。

 衝突被害軽減ブレーキに関しては、2019年2月に日本やEUなどの40カ国の地域が搭載を義務づける、という国連の規則原案に合意しており、2020年から運用開始となっています。

 LKAS(レーンキープアシスト)は2000年初頭からすでにありましたが、2014年、ホンダからミリ波レーダーと単眼カメラで前走車、対向車、歩行者を検出するセンサーにステアリング支援を組み合わせて被害軽減を行う「ホンダセンシング」が登場(レジェンドに搭載)。

 これが、運転支援システムの始まりと考えられています。その後、2016年に同一車線内の運転支援技術としてプロパイロット1.0が日産セレナに初搭載。

 翌2017年には自動で駐車してくれるシステム、プロパイロットパーキングが日産リーフで初搭載され、メルセデスベンツからもリモートパーキングアシスト(Sクラスに初搭載)が登場しました。

 そして2019年には、BMWから高速道路渋滞時のみハンズオフできるトラフィックジャムアシスト(3シリーズ搭載)、同じく2019年、高速道路上の一定条件下でハンズオフができるプロパイロット2.0(スカイラインに搭載)が登場しました。

 2019年は、自動運転「レベル3」に近い「レベル2」登場のターニングポイントとなる年になりました。

昨年、スカイラインに高速道路上の一定条件下でハンズオフ可能なプロパイロット2.0が搭載

●10年前の100点としたの場合の進化度は…200点

■【2009年→2019年】メーカー別保有台数を10年前と比べると?

 ここ10年はメーカー別自動車保有台数も変化が表われている。国内保有台数を2019年3月末と10年前の2009年3月末で比べると、乗用車メーカーはトヨタ、ホンダ、スズキ、ダイハツが増えた。

 トヨタは2009年5月に3代目プリウスをトヨタ全チャンネル扱いで販売を開始し、ハイブリッド車を急速に普及させた要因が大きい。ホンダ、スズキ、ダイハツは軽自動車販売が増えたためで、輸入車も近年シェアを拡大させている。

 一方、保有台数の減少が目立ったのが日産。日産は’09年3月末ではトヨタに続く2位だったが、2019年3月末は5位に転落。三菱も大幅に落ち込んで、10年前から43.2%も減少している。

メーカー別保有台数(出典:日刊自動車新聞)

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