1991年にハドソンから発売された「スーパー桃太郎電鉄II」は、通称「桃鉄」で有名な「桃太郎電鉄」シリーズの第3作目にあたるボードゲームで、キングボンビーが初めて登場するなど、基本システムがほぼ完成の域に達した名作だ。「スーパー桃太郎電鉄II」および前作の「スーパー桃太郎電鉄」はPCエンジン版がオリジナルであり、その後ゲームボーイ版やスーパーファミコン版(スーパー桃太郎電鉄はファミコン版)も発売された。
「桃鉄」シリーズは、コンシューマー機向けだけでも20作品を超える製品が発売された人気シリーズであり、2020年にはシリーズ最新作となる「桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~」がNintendo Switch版としてKONAMIから発売予定だ。基本的なルールはシンプルで、サイコロを振って出た目の数だけ線路を進み、ライバルより先に目的の都市にたどり着くことを目指す。
最初に目的地に到着したプレーヤーには、数千万円から数億円もの優勝賞金が与えられる。プレーヤーはそれぞれ鉄道会社の社長という設定であり、お金を貯めて主要な駅にある工場やスタジアム、店舗、農地などの物件を買い占め、その利益でさらに会社を大きくしていくことが目的だ。
線路にある駅は色分けされているが、青色はプラスの駅で所持金が増え、赤色はマイナスの駅で所持金が減る。また、黄色の駅に止まると、ランダムでカードが1枚もらえる。「桃鉄」シリーズの魅力は、このカードを使うことで、相手より先に目的地についたり、相手の邪魔をしたり、一発逆転を狙ったりできることだ。カードは黄色の駅でもらえるだけでなく、★印が付いたカード売り場では、カードを売買することができる。
例えば、「とっきゅうカード」を使うと、一度にサイコロを3つ振れるようになるので、遠くの目的地にライバルより早く近づける。また、「うんちカード」を使うと、その場所に大きなうんちが登場し、うんちが消えるまでそこを通ることができなくなるので、足止めに有効だ。他にも、物件を通常よりも安く買える「ゴールドカード」や何かがもらえる「ふくびきカード」など、さまざまなカードが登場する。カードをうまく使うことで、ライバルとの勝負が有利になる。
もう一つの大きなポイントが、貧乏神の存在だ。貧乏神は、前作の「スーパー桃太郎電鉄」から登場したシステムだが、プレーヤーの誰かが目的地に到達した時点で、一番目的地から遠いプレーヤーに貧乏神が取り憑く。貧乏神は毎ターンプレーヤーに余計なこと(物件の勝手な売買や子会社の設立など)をしてくれるのだが、本作から、一定確率で貧乏神が「キングボンビー」か「ミニボンビー」に変身する要素が加わった。
ミニボンビーは、貧乏神の小型版であり、プレーヤーへの損害もより少なくなるので助かるのだが、キングボンビーは凶悪だ。サイコロを10個振って、その目の合計に応じた額が引かれたり、手持ちカードをすべて捨てる、未購入の物件をローン払いで購入させ、しかもその物件自体は他のプレーヤーにプレゼントするなど、その悪行はすさまじい。そのため、キングボンビーに取り憑かれたプレーヤーは1位から最下位に転落することも珍しくない。
なお、貧乏神は他のプレーヤーとすれ違うことで、その相手になすりつけることができるので、その駆け引きも熱い。他にも地方博への出資の誘いや、スリの銀次の登場など、さまざまなイベントがあり、プレーヤーを飽きさせない。また、目的地ぴったりで止まらないと、目的地に着いたことにならない。目的地の隣まできたのに、サイコロで1が出ないというのもスゴロクあるあるだが、確定で1だけ進めるカードがあるので(2だけや3だけなどもある)、それを持っていれば確実に目的地にたどり着ける。
「スーパー桃太郎電鉄II」の年度は、4月に始まり、3月で終わる。毎年3月になると、1年間の収益が公開され、順位が発表される。プレイ年数は自由に設定できるが、2年や3年ではろくに物件を買うことができないので、最低でも5年、できれば10年以上はプレイしたい。「スーパー桃太郎電鉄II」は最大5人でプレイできるのだが、コントローラーが1つしかなくても多人数プレイが可能なので、是非家族や友人を集めてプレイしていただきたい。盛り上がること請け合いだ。なお、プレイ年数は途中で延ばすこともできるので、多人数でプレイしていると、最下位のプレーヤーが「あと2年やろうよ!」とか言い出して、終わらなくなることもよくある。
また、対コンピュータ戦も可能で、コンピュータの強さも見習いから名人まで8段階用意されている。「スーパー桃太郎電鉄II」は、プレーヤーの数が増えるほど楽しくなるので、プレーヤーが2人しかいない場合は、コンピュータプレーヤーを追加して遊ぶことをおすすめする。
筆者はPCエンジンが登場したときに高校生であり、即購入していろんなゲームで遊んでいた。「スーパー桃太郎電鉄」も初代とIIを両方購入しており、特にこの「スーパー桃太郎電鉄II」は、大学時代、下宿していた友人の家にマルチタップを含む本体一式持ち込んで、友人4、5名と徹夜で延々とプレイしていた記憶がある。青春の1ページといった感じで、とても楽しかった。
今回、約30年ぶりに本作を再びプレイしてみたが、ゲームとしての面白さ、完成度の高さは少しも色褪せていないと感じた。ルールはシンプルで反射神経なども関係ないので、ゲームが苦手な人でも楽しく遊べる秀作だ。是非、一度友達とプレイしてみてはいかがだろうか。
©さくまあきら ©Konami Digital Entertainment
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March 15, 2020 at 10:00PM
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【PCエンジン mini全タイトルレビュー!】「スーパー桃太郎電鉄II」 - GAME Watch
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