2019年11月に上陸した新型ボルボS60は、フロントタイヤを前出ししてロングホイールベース/ショートオーバーハングのプロポーションを作り出すSPAプラットフォームの特徴を最大限に生かした美しいフォルムを実現して登場した。現状ボルボでは唯一のセダンだが、今後の活躍が大いに期待される。搭載エンジンはすべて4気筒2L。モデル展開はシングルターボで190ps/300Nm のT4モメンタム、同じく254ps/350Nm のT5インスクリプション(いずれもFF)、253ps のツインチャージエンジンで前輪を、87psのモーターで後輪を駆動するT6ツインエンジンAWDの3種。今回は新刊ムック「Motor Magazine 輸入車年鑑 2020」から、 T6 ツインエンジン AWD インスクリプションを中心とした新型ボルボS60の試乗記をお届けしよう。
美しいセダンスタイルはまるでクーペのようだ
取材に同行したスタッフの誰もが、ボルボS60のスタイリングを見て「カッコいい」と呟いた。それはまったく同感である。
試乗したのは新しくなったS60 T6 AWD ツインエンジン。足まわりの動きに不自然なところはなく、快適性は上々。操舵力が軽めのハンドルも洗練されたフィーリングで好印象だった。
ワインディングロードを走り始めて驚かされたのは、前輪だけに重い荷重がかかって後輪はそれにただついていくだけというFF特有の感覚が極めて薄く、まるで4輪駆動か後輪駆動のように4輪が均等に接地しているように感じられたこと。
たしかにツインエンジンはオンデマンド式4WDではあるが、通常走行時は後輪にさほど大きな駆動力が伝えられているとは思えない。それでも、バッテリーやモーターを搭載したことで重量バランスが改善され、4WDや後輪駆動に迫る後輪の接地感を実現できたのだろう。これはツインエンジンモデルの見逃せない魅力といっていい。
同じワインディングロードでFFのT5に乗り換えて比較試乗もできた。こちらのほうが足まわりの設定はだいぶ柔らかく、ローリングやピッチングの動きは大きめ。したがってコーナでボディの動きが安定するまでに時間がかかるので、先々を早めに読んだドライビングが必要となる。
それとともにハイブリッドシステムを持たないT5はFF特有の重量配分になり、路面をしっかり捉える役割はあくまでもフロント中心。リアの接地性には、どこかふわっとした印象がつきまとった。
だからといって「T5はコーナリングが苦手」と断ずるつもりはない。ステアリング特性は安定しているし、リアのスタビリティ感も高く、したがってペースを上げても不安感は少ない。ただ、T6に比べるとコーナリング時の挙動が大きめで反応にも時間がかかるというだけ。だから、コーナリング性能よりもソフトな足まわりによる快適性を重視したいという向きにはT5がお勧めかもしれない。
パワートレーンについて言えば、スロットルレスポンスという面では、2L直列4気筒ターボエンジンにスーパーチャージャーを組み合わせ、電気モーターが後押しするT6の方が有利だが、絶対的なパワーでいえばT5でも十分以上なのである。(文:大谷達也/新刊ムック「Motor Magazine 輸入車年鑑 2020」より)
ボルボ S60 T6 ツインエンジン AWD インスクリプション 主要諸元
●全長×全幅×全高:4760×1850×1435mm
●ホイールベース:2870mm
●車両重量:2010kg
●エンジン:直4DOHCターボ+SC+モーター
●排気量:1968cc
●エンジン最高出力:253ps/5500pm
●エンジン最大トルク:350Nm/1700-5000pm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●WLTCモード燃費:13.7km/L
●車両価格:779万円
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April 20, 2020 at 06:09PM
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【輸入車年鑑 2020】ボルボ S60 T6 ツインエンジン AWD インスクリプションは高性能だが上品なキャラクター - Webモーターマガジン - motormagazine.co.jp
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