新型コロナウイルスのワクチン開発は、 ファイザーと モデルナがそれぞれ進める治験の最終段階で朗報が続いた。両治験で高い予防効果が示されたのを受け、 アストラゼネカなど他のワクチン開発企業には高いハードルが設定された格好だ。
ファイザーとモデルナのワクチンについて、これまでに分かっていることを以下にまとめた。
暫定結果
モデルナは16日、大規模な第3相臨床試験で94.5%の確率で効果を示したとの暫定分析結果を発表。ファイザーが独 ビオンテックと開発しているワクチン候補は先週、90%を超える確率で感染を防いだとの暫定結果を示した。モデルナのデータによると、副作用は全般的に短期間で、安全性に関する重大な懸念はなく、ワクチンを接種した被験者に重症患者は出なかった。
共通点
どちらのワクチンもメッセンジャーRNA(mRNA)という技術に基づいている。これまで世界で承認されたmRNAワクチンはない。
相違点
モデルナは米政府の「ワープ・スピード作戦」から9億5500万ドル(約998億円)の支援を受けている。ファイザーはワクチン開発で連邦政府の資金援助は受けていないとしているが、ビオンテックがドイツ政府から3億7500万ユーロ(約465億円)の支援を得ている。ファイザーは米政府との間で約20億ドル相当の供給契約を締結。米政府はモデルナにワクチン購入で最大15億3000万ドル支払うことで合意している。
保管方法
ワクチンが承認された後も、世界中での接種を実現するためには保管面などで多くの課題がある。ファイザーのワクチンは使用の数日前まで超低温で保存される必要があり、通常の冷蔵庫では5日間の保管が可能。モデルナは、通常の冷蔵庫の温度で30日間安定していることを新たなデータが示したと発表した。従来データでは7日間とされていた。30日を超える保管には冷凍庫が必要だが、ファイザーのワクチンのような特別の設備は必要ないという。
当初の供給量
ワクチンの世界的な需要は、当初は供給を大幅に上回ると予想される。モデルナは米国に1億回分、欧州連合(EU)に8000万回分を供給することで合意している。ファイザーとビオンテックも数億回分の供給契約を締結している。
緊急使用許可
モデルナとファイザーはともに、さらなる試験でワクチンの安全性が証明されれば、米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請する見込み。モデルナは数週間内に申請する可能性があるとした。 ファイザーは、安全性に関する2カ月間の追加データが11月第3週に示される見通し。全て順調に進めば、緊急使用許可を今月中に申請する可能性がある。
残る大きな課題
数億人規模の接種には、幾つもの課題を乗り越える必要がある。ワクチンによる免疫がどの程度続くのか、接種を拒否する人がどれほどいるのかはまだ不明だ。ワクチンに対する疑念の高まりが普及を妨げるかもしれないと指摘する声もある。生産と供給をどう拡大させていくかも課題だ。
原題:
Moderna, Pfizer Shots Look Strong. Here’s How They Stack Up (2)(抜粋)
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