長期金利は上昇している。日本銀行の雨宮正佳副総裁が前日、長期金利の変動幅拡大を一定程度容認する 発言をしたことを受けて、来週の金融政策決定会合で行う政策点検を巡り不透明感が一段と強まったことが背景。前日の米国市場で10年国債利回りが上昇したことも売り材料となっている。
バークレイズ証券の海老原慎司ディレクターは、日銀による長期金利の許容変動幅拡大の可能性について「正副総裁の意見が異なるため、3月会合では政策点検を巡って執行部の中で票が割れる事態も想定されるだろう」と指摘する。
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雨宮副総裁は読売経済フォーラムでオンライン形式で講演し、質疑応答で長期金利について「緩和効果が損なわれない範囲内で金利はもっと上下に動いてもよい」との見解を示した。黒田東彦総裁は5日の衆院財務金融委員会で、長期金利の変動許容幅を「拡大する必要があるとは考えていない」と 言明していた。
新発10年債利回りは前日比2bp高い0.13%で取引を開始した。前日夕方には雨宮副総裁の発言を受けて0.11%から一時0.125%まで水準を切り上げた。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは、日銀正副総裁から異なる情報発信が行われ「市場参加者の頭は混乱している」と指摘。長期金利の変動幅拡大の有無を巡り、どちらを織り込んだら良いか分からないため、投資家はリスクを削減させざるを得えないと述べた。
大和証券の小野木啓子シニアJGBストラテジストは、日銀の点検を巡るコミュニケーションが「迷走度合いを強めている」と指摘。債券相場が値動きを荒くする中、「入札に向けた準備が十分整っていないようにも見える」として、5年債入札には「慎重に臨まざるを得ない」としている。
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