2021年03月10日07時14分
日銀が18、19日の金融政策決定会合で行う大規模緩和策の「点検」をめぐり、市場で思惑が交錯している。焦点の一つである長期金利の変動幅拡大に関し、黒田東彦総裁と雨宮正佳副総裁の「温度差」が浮き彫りになったため。長期金利の指標である10年物国債利回りは乱高下し、債券相場は振り回されている。
日銀は現在、長期金利を0%程度に誘導する政策を行っており、実際にはプラスマイナス0.2%程度までの変動を容認している。ただ、低金利の長期化で金融機関の収益悪化などの「副作用」も目立っており、点検では変動幅が拡大されるとの思惑が広がっていた。
これに対し、黒田総裁は5日の衆院財務金融委員会で議論の必要性を認めつつも、「(拡大の)必要があるとは考えていない」と明確に否定した。米国市場に連動した長期金利の上昇基調を背景に、「日銀は変動幅拡大が急激な金利上昇を招くリスクを懸念した」との受け止めが市場で台頭、長期金利は急低下(債券価格は急上昇)した。
一方、雨宮副総裁は8日の講演で「私自身は緩和効果が損なわれない範囲内で、金利はもっと上下に動いてもいいと思っている」と指摘した。変動幅拡大に前向きな考えを示唆したことで、市場では黒田総裁の発言を受け広がった拡大の「見送り論」が後退、長期金利は一転して上昇基調を強めた。
もっとも、変動幅拡大をめぐっては日銀内にもさまざまな意見があり、黒田総裁、雨宮副総裁の真意は分からないまま。日銀は19日に点検結果を公表する予定だが、両首脳の発言の食い違いに、市場関係者は「どちらの結果になるのか最後まで予想がつかない」(国内証券)と困惑している。
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