日野自動車は7日、エンジンに関する一連の不正問題で国土交通省に再発防止策をまとめた報告書を提出し、役員らの処分も発表した。国内事業が厳しさを増す中、当面は海外事業を頼みに組織改革に注力するというが、不正の影響は海外事業にも及んでいる。頼みの綱どころか、海外戦略の見直しを余儀なくされる恐れがある。
「今回の問題が発覚する前までは台数や車種の拡大が優先されていた。お客様にかけている迷惑が解決するまでは(成長の)踊り場だ。今の身の丈のまま、しっかり向き合っていく」
エンジンの排ガスや燃費試験で不正をしていた問題の再発防止策を発表した7日、日野自動車の小木曽聡社長はこう話し、成長よりも社内の改革を優先する考えを示した。
現時点で、国内で出荷や生産が認められているトラックは一部のみ。強みを持つ大型を中心に、累計販売台数の半数を占めるトラックのエンジンについて、国交省に型式指定を取り消されたままだ。依然として生産再開のメドは立っていない。
日野自は7日、不正問題で会見を開き、取締役ら幹部4人の辞任や役員報酬の減額を発表。歴代社長にも報酬の自主返納を求めるとした。
国内事業が厳しさを増す状況で社内改革を進めざるを得ない日野自。業績面で頼みとするのが海外事業と、既存車両のメンテナンスなどを手掛ける保有ビジネスだ。小木曽社長は「(当面は)この2つで財務的には何とかしのいでいく」と話す。
もっとも、頼みの綱とする海外もとても盤石とは言えない。今回のエンジン不正問題は海外事業にも深い影を落としているからだ。
先進国市場、総崩れの懸念
一連の問題が発覚する契機となった米国では現在、当局による捜査が継続している。日野自はこれまで北米市場の開拓に力を入れており、新型コロナウイルス禍が起きる以前の2019年3月期の販売台数は約1万7000台と10年間で3倍超に拡大していた。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り1261文字 / 全文1989文字
日経ビジネス電子版有料会員になると…
特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題
ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題
日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題
この記事はシリーズ「クルマ大転換 CASE時代の新秩序」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
ウェビナー開催、「なぜ世界はEVを選ぶのか」(全2回)
日経ビジネスLIVEでは2人の専門家が世界のEV事情を解説するウェビナーシリーズ(全2回)を開催します。
9月30日(金)19時からの第1回のテーマは「2035年、世界の新車6割がEVに 日本が『後進国』にならない条件」。10月14日(金)19時からの第2回のテーマは「欧州電池スタートアップのCTOが現地報告、巨大市場争奪の最前線」です。各ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。
■第1回:9月30日(金)19:00~20:00(予定)
テーマ:2035年、世界の新車6割がEVに 日本が「後進国」にならない条件
講師:ボストン コンサルティング グループ(BCG)マネージング・ディレクター&パートナー滝澤琢氏
■第2回:10月14日(金)19:00~20:00(予定)
テーマ:欧州電池スタートアップのCTOが現地報告、巨大市場争奪の最前線
講師:フレイル・バッテリー(ノルウェー)CTO(最高技術責任者)川口竜太氏
会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
主催:日経ビジネス
受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。
からの記事と詳細 ( 日野自のエンジン不正問題、「頼みの海外事業」にも暗雲 - 日経ビジネスオンライン )
https://ift.tt/Epjtz98
0 Comments:
Post a Comment